第15話 おいが能力は塩うどんやなか
第15話 おいが能力は塩うどんやなか
「チェルビアッタ…誰だその男は」
おいん事見えっとけ、国王さあ。
おまんさん嫁じょと抱き合うちょっど、さあどげんすっと?
「さあね」
「くそ、愛人など作りやがって…どうりで最近色気づいてきたと思ったら」
「愛人? 無礼だな、これのどこが愛人だ?
言って見ろ、ハーレムで粋がってるだけのキモオタが」
「チェルビアッタ、お前その男を好きなのか? 愛してるのか? この俺を差し置いて!」
「はいはい、愛してる愛してる…とりあえずお前より絶対にまし!」
やるね、直さんも…わっぜか挑発しちょっ。
国王は飛びかかって来よった。
テレポーテーション、おいは笑ろっせえ消えた。
置いて行った声が再生ば始めっ…。
「捕まえてごらん、俺の可愛い子猫ちゃん」
どげんね、おいがイケメンボイスは!
直さんがげらげら笑うちょっ。
テレキネシス…送っど、もういっちょ!
「これ、俺の物だから。手出さないでくれる?」
「何の真似だ、どんなチートだ?」
おいは屋根ん上から再生機んタッチパネルばいじっせえ、
次ん言葉ば用意しっせえ再生した。
あいからストックば増やしたど…。
「塩うどんお待ち!」
しもた、間違えた。塩うどんやなか。
「塩うどん? それがチートか!」
「アホけ! こいんどこがチートね! おいが能力は塩うどんやなか!」
おいはむかつきっせえ、つい地声ばそんまま送ってしもうた。
「何だそのひどい訛りは、どこの出身だ?」
「むき! こいは『おっかん語』じゃっど! 貴様マジむかついた、ぶち喰らす!」
テレポーテーション、直さんが部屋へ。
おいは国王ん前ん出た。
まずは顔ば殴っ、国王は部屋ん隅へふっ飛んで行きよった。
さすがキモオタ、どうせろくん外に出ちょらんヒキニートじゃっど。
ひょろかね、弱かね。
「おいが塩うどんちすっとなら、貴様はイケメンアイドル声優じゃっど…」
「は? 頭おかしんじゃねえの?」
「そん世界でしか通用せんち事じゃっど、そん世界ではよかにせ…イケメンでん、
全体的に見りゃあそうでんなか…むしろぶにせ…ブサメンなくらいじゃっど」
おいは国王ん腹ん上に座り込んだ。
ポケットからナイフば出しっせえ、ぱっと開く。
「何者だお前、ステータスオープン…何、空白だと?」
おいはナイフで国王ん首ば軽く掻いた。
空いちょっもう片手で別んポケットば探っ。
「…おいは新井悠、『ゆう』やなかでね…『はるか』じゃっど。
よそもんにステータスはなか、貴様ら勇者とは訳が違うちょっ。
じゃどん、こんおいが最強じゃっど…貴様ら勇者が最強ち言っとならな」
おいはもう一度国王ん首ば掻いた。
「貴様に聞きたか事があっと、ナカムラ先生じゃ…ナカムラ先生が居場所ば知りたか」
「中村? 知らんな…この辺りは中村姓が多い」
「おもらしフェチんナカムラ先生じゃっど、むっきむきんおんじょじゃが。
あと、『サクライゼーション』3秒TAS動画ん天才ゲーマーじゃっど」
国王は直さんば見よった。
「…知ってるか?」
「知らんな」
直さん、知らんぷりしてくれっとか。
おいは拳銃ば抜きっせえ、国王ん額に突きつけた。
「…ならもう良か」
「私を殺すか、塩うどん…私ひとりを殺せばそれで終わると思ってるのか?
私が死んだところで何も変わらない、また次の勢力が侵略して支配するまで」
「せがらし!」
おいはテレキネシスば発動した。
見えん力は国王ん首ばぎりぎり締め上げっ…。
「アタ、ウスミ、ヒユガ…この辺りは日本と文明が近い、エルフもドワーフもいる、
冒険者にとっては喉から手がでるほど欲しい夢の国…」
「…こん国は『はやとん国』、はやとん民が国…そい以外なか!」
国王はもうそれ以上喋れんかった。
目ん玉ばむき出しっせえ、大小便ば垂れ流っせえ、舌ば出しっせえ、
力に首ば捻られっせえ、ちょん切られてしもうた。
「すまん、直さん…おまんさんだんな、殺してしもうた」
「さて…忙しくなるな。手伝ってくれるか、勇者殺しのはるか先生」
直さんは笑うた。
「もちろん、おなごんすっ事ば手伝うとが男じゃっど」
「はるか先生の能力は死体を隠せるか?」
「いけっど…何でん指示しやんせ、ハンドラー」
おいは死体と死体がまき散らしよった血液や排泄物、王に関係すっ全てば対象にした。
テレキネシス、湾の外ん海へ。
死体は転送され、じゅうたんに染み付いちょっもんもすうときれいん消えっせえ、
直さんが部屋はすっかり元通りんなった。
「行こけ、直さん」
おいは直さんば抱き上げっせえ、肩ん担いだ。
「えっ、でも…てか放せ、どこへ連れて行く?」
「じゃどん、何ね? 構わん」
直さんはおいが肩で手足ばばたつかせよった。
「ちいと休暇じゃっど! な?」
テレポーテーション、おいは直さんごと部屋から消えた。




