第11話 わっぜか下品なおいが同志
第11話 わっぜか下品なおいが同志
「は? イケメンボイス再生ち…アホけ直さんは」
「どうせ無修正動画ばっかハードディスクに溜め込んで、夜な夜な抜いてるんだろ、
イケメンボイスデータだって相当にストックがあるはずだ」
直さんはベッドの上からおいが腰に脚ば巻き付けっせえ言うた。
本気ですっつもいけ…さすがに人妻、そいも王妃はまずかと。
「顔出しが嫌なら声出し、声出しも嫌ならここは完全アニメーション制作!
ストックから選んだ声を編集して再生すればいい…ボカロを使ってもいいぞ。
よし、私がアニメーション制作するから、お前台本考えろ」
「てか、今日は何の用ね? おまんさが来いちゅうから来たけんど…。
そいからこげんしっせえ部屋で密会ち、不倫ごたじゃっど。まずかと」
「何がまずい。ほら、もう大きくなってきたぞ…はは、結構でかいじゃん」
おいは腰ば引きっせえ、前かがみんなった。
直さんは笑ろっせえ、爪先で余計にいじりよっ。
王妃に選ばれるだけあって、悪りかおなごやなかけんど…。
「不倫? 上等だね、だんなはハーレムとか言って新しい子に夢中だよ。
ほったらかしにした女に不倫されても因果応報じゃね?」
「そいは違う、直さん。一度手に入れたおなごはほったらかしにしてん、
いつまでも自分のおなごぞ、他ん男と浮気すっとは許せんもんじゃっど。
男はいつまでも自分だけんもんでいて欲しかち思もちょっ」
「私はごめんだね、あんな男は好かん…先っぽ濡らしながらその台詞か? 笑える」
やばか、もう頭ん中まっ白じゃっど…。
直さんは急に起き上がっせえ、化粧台ん引き出しから金属製ん札ば取り出しっせえ、
おいにそん札ばくいた。
「あげる、はるか先生。この城に自由に出入りするための通行証だ。
次からは正々堂々正面からおいで」
「通行証…!」
「新井悠、今日から王妃専属のミンストレル…まあ要は芸人だ」
直さん…! おいが同志、助けてくれっとけ…!
「おおきに直さん…! 芸人でん良か、まこちおおきに!」
「私は王家の人間だが元民間人、王家の支配には疑問を持っている。
だんな…この国の王との結婚が少しでも民の役に立つならば、喜んで応える」
「まさかおまんさ、そんために王と結婚ば…」
「さあな、望まれたから応えただけ…ちょうどその時男もいなかったし」
直さんはまたベッドに座っと目ば閉じっせえ、片手でおいが腰ば抱き寄せた。
もう片手で腹に触れっせえ、唇ば寄せっ。
ひどかおなご、そげん事されたら男は言いなりんなっしかなかち知っちょっが。
人妻ん白か手が中に触れっ、濡れた唇が動きよっ…。
「…おいはおまんさん事抱かんでね」
「面白い。やってみろ、逃げ切ってみろ、出来るもんなら…イフ・ユー・キャンだ。
この国で初めて見る生きた人、私の同志。それがはるか先生で良かった。
お前は面白いよ、私と同じよそ者でありながらその能力だ。
アメリカが放っておかないんじゃないか、これほどの能力は…」
またそげんしゃべっせえ、事ば中断しよっ。
あとちょっとちゅうとに…まこちひどかね、おまんさは。
じゃどん直さん、おまんさも面白か人じゃっど。
おまんさこそ生きた人…おいはおまんさん頭ば身体ん押し付けた。
「アメリカはおったど、能力者ん施設に…こんはやとん国に来っまでずっと。
まだこまんか子どんの頃、最初はただ他人よりちいと勉強ばしとうて…、
『ギフテッド』んクラスが、高度な教育しちょっ言いよっから」
頭ん中がまただんだんに白うなっせえ、白ん極致ば見た後じゃった。
おいは直さんが頭ば腹ん上に乗せっせえ、アメリカん事話した。
「あ、やっぱり? そうかなと思ってたけど」
直さんは濡れちょっ腹ば唇で撫でっせえ、笑うた。
「じゃどんおいごときん能力じゃ、ちいとも使いもんにならん。
かと言うてアメリカん機密ば知ってしもうた男ば、そうやすやす外ん出す訳にゃいけん…。
施設ん中でずうっとゲームばっかいん毎日じゃったど、廃人じゃっど」
「使い物にならない…? はるか先生、それは違う。
逆に強大過ぎたんじゃないかな、国の手に負えないくらい」
腹から脚ん付け根、太腿、内股…直さんが唇はぬるりと滑りよっ…。
そこは触ってくれんのけ、ちんたかね。
「能力そのものは普通レベルだとしても、『ギフテッド』のクラス出身なら、
能力を能力以上の物にする方法を必ず編み出す。
同時に国の支配から逃れる方法も、国家の力を転覆させる方法も…。
こりゃ危険人物だね、閉じ込めてゲーム廃人にもしたくなるわ。
…ね? その気になった? しようよ、はるか先生…またそんな身体してる」
おまんさん方がよっぽど危険人物じゃっど。
直さん、おまんさはあまりにも嫌がらせが過ぎっ…。
じゃどん嫌いやなかでね、そげん愛らしか嫌がらせは。
「せん…そいじゃつまらん、そげん簡単にしとうはなか。
もっと楽しませてくいやんせ…おいは男、おまんさん事追いかけたか生きもんじゃっど」
おい自身がそん虚しさば一番わかっちょっ。
すっとは簡単、じゃどんそいじゃ毎晩与えられっ人形と何も変わらん。
「じゃあ、はるか先生が私の中に入って来たら負け、そういうゲームでどう?
まあ、もっとも私があの手この手で誘惑して引きずり込むけど?」
ゲームなあ…直さんもさすが王妃んなっほどんおなごじゃっど。
たぶん相当頭が良か、ゲームばさしたらきっと強うなっと。
タビタはナカムラ先生ばゲームん天才ち言うちょっけんど、
ナカムラ先生も相当に頭ん良かおんじょじゃったろうか。
「そういや直さん…直さんはナカムラ先生に直接会うた事あっとけ?」
「あるよ」
「えっ、どこでね? 元気んしちょっけ?」
直さんは尻ば向けっせえ、おいが脚ん間にうずくまりよった。
長かスカートが目ん前に夜ば作りよっ。
おいは首ば伸ばっせえ、指で濡れた太陽ば探っせえ口づけっせえ白昼ん戻そうとした。
「…独身の頃、カゴ島の白い小屋で」
「おいが家やなかかね…あ、旧ナカムラ家住宅じゃったな」
「中村先生はひとりでいたよ。朝は灰かきから始まって、昼は家で仕事して昼寝して、
夜は星空の下で、灰の降る中で孤独に浸りきっててさ…淋しい人なのさ」
おいは直さんが言葉ん端に、何か特別な感情ば感じ取った。
…たぶん直さんは昔、ナカムラ先生がおなごじゃった。
家に落ちちょったあん髪の毛はナカムラ先生がおなご、直さんがもん…。
「今は…? 今はどげんしちょっ?」
そしてきっと、直さんはナカムラ先生の行方ば知っちょっ…。




