再会と忘れていた物
魔窟の敵ですら手加減しながら倒す。
(うっかりしたら、魔窟を壊しちゃうからね)
信じられない勢いで進んで行く。
(人がいた気配がある。かなり前…この魔力は……レオ!)
生きている可能性を見出し、どんどん奥地へとかけていく。すでに踏破された形跡のあるボス部屋。そこに残る暖かい魔力。
(3週間くらい前の残留……これなら追いつけるかも!)
魔眼のおかげで道は分かる。誰かが通った時に一掃していったのか、魔物も少ない。
(洞窟型ダンジョンって言ったて、迷わないし、トラップにも掛からないから問題はそんなにないんだよねー)
その勢いですべてのボス部屋を突破し最奥にたどり着く。ボスは勿論瞬殺だ。
「ここに来たのは2人目だ。よく「あ、忙しいんで。もしかして、1人目って黒髪の優男ですか?」おい……。いや違うぞ。白い髪でお主のようにオッドアイだったな」
「ありがとうございます。さよなら。」
《紡ぎ歌うは、奏。その魂を流せ。》
(なっ!これはなんだ!!)
声を発せられないようにされ、全身を氷で突き刺されても生きているのは流石だろう。しかし、長くは持たずにすぐに力尽きた。
(さっきの話だと、白髪のオッドアイ。それが今の彼…ん?これは……)
ドロップアイテム?を拾う。
世界樹の奏翠
どんなことでも壊れない。物理使用も可能。魔法威力の増減を、自由にできる。
(これはいいね!ちょうど制御できなくて困ってたから……)
美しい杖だった。
その後、落ち着いて考える。
(踏破済みという事は、向かうは……帝国!)
テレポートで帝国へ向かう。コピーした能力は弱体していて、一度行ったことのあるところ以外行けないという枷が付いていた。
「きゃあっ!」
「な、なぜここに!」
「し、死んだんじゃ」
「は、裸!?」
それぞれの反応に関心を示さず、ただ知りたいことを問う。
「レオは?」
「そ、それは…てか…服……」
殺気を込めて同じことを問う。
「お前は死んだと言ったよ!そしたら裏切ったんだろう?って言うから反逆罪で地下牢だ!姿が変わってたから王女を騙すのは簡単だったよ!お前の幻影を見せたら一瞬隙ができたから魔封じの腕輪つけてな。」
「はぁ、なにやってんだか……」
ドヤ顔を、しながらこっちを見てくるので、
《疼き、喊け。》
短い詠唱。それだけで殺気まで滔々と話していたリーダーの腕が吹き飛んだ。
「話してくれたから命は助けてあげる。」
「ふ、ふざけんな!あんな短い詠唱でこんな威力出る訳……」
「あー、人間の話でしょ?それ。私は観測者。世界の理から外れたから。誰かさんのおかげで。」
王女が音を立てて椅子から立ち上がる。
「観測者!?」
「知ってんのか?」
ビビりつつもしっかり聞く。
「観測者はレベルをカンストさせるものです。ステータスは最強に。情報はこれしか……以前の観測者が明かしたものなので……それも1000年以上前の、伝説として存在します。」
「そーなんだぁ」
ロキもその話を興味深く聞いていた。そして。用がなくなると、テレポートをし、地下牢に一番近い廊下に来た。
《妖しく、妖艶なる誘い、スリープホール》
「誰だ!」
騎士が叫ぶ。そして、次の瞬間には意識を失い倒れ込んだ。
「これは、簡単でいいねぇ」
地下牢の階段をスキップで降りる。他の罪人の目が少し粘っこい。どうしたのかと思いつつ、彼を探す。
「レオ!」
「!?、ロキ!」
「レオぉ、会いたかったよぉ」
ずいぶんと泣いていなかった彼女。弱音すら吐かずに。
「ロキだよね?ずいぶん変わったね。俺が言えたことじゃないけど。」
二人とも纏う雰囲気は大きく変わっていた。
「リズは……?」
少し悲しそうに微笑んで
「眠ってるよ」
「クロと同じだね。」
それから、お互いの今までを話した。ステータスはレオも、観測者となっていた。
擁名:レオ・クロニクル
旧名:遠凪 怜
種族:観測者
以下同文ー
「で、あの。大変言いにくいのですが……」
いきなり敬語になった彼を警戒するロキ。
「……服、どうしたの?」
「忘れてた……」
彼はさっと自身の来ていた白いローブを脱ぐと彼女に着せた。その後、魔法空間(風属性の応用で圧縮することにより、亜空間の扉を開くというもの。)から服を適当に取り出す。
「とりあえず、着てください。。。」
「(´・ω・`)」
ダンジョンで手に入れたものらしい。どれも一級品だ。ちなみに彼女は闇魔法で魔法空間を作れた。
その後、テレポートで暗黒大陸の魔窟の上の丘に転移した。
「これから、どうする?」
「私としては、冒険者になってみたい!ギルドとか楽しそうだし!」
「それは、賛成!観測者の寿命はやく300年程らしい。これだけあれば、きっと君の代の勇者にも会えるね」
「うん、時間は沢山あるからやりたいことをやってみたいの」
「どこまでも付いていきますよ、お嬢様。」
「ふざけないでよっ!もう!」
彼らを包む夕焼けはどこまでも綺麗だった。