魔術師チートな彼の結末
イケメンの基準の1つに「サングラスをかけた時に眉毛が隠れるか?」ってのがあると思うんだ。海外のイケメン俳優は目と眉毛が近いから当然サングラスに隠れる。これイケメンの法則ね。
そんなイケメンに転生特典で生まれ変わったうえ学園主席でもあるボクは、優良物件であり常に女の影があった。
いわゆるグループ交際から発展し、気立ての良い一人の子 アリスと自然にお付き合いをはじめた。初めて女の人の温かさや柔らかさを知ったが、なるほど癒されるというか生きる気力がわいて来る。アリスのために、アリスと一緒にいるために頑張ろうという気になれる。
◇◇◇
いつものオーク狩り。いつものように<スリープクラウド>で集団睡眠状態からトドメをさしてまわる。いつもと違うのは唐突に現れた乱入者だ。
「お前のチートを寄こすのです!暁の水平線に沈むのです!<魔力消去><異界化>」
「2回行動はボスの特権なのです!!」
突然の宣言。
周囲を異次元に取り込み外部から遮断、転移魔法を使えなくする<異界化>、あらゆる魔法効果を消去する呪文<魔力消去>でボク自身にかけていた補助魔法も、護衛の<不可視の魔人>もきれいさっぱり消えてしまった。
こいつは明らかに格上の敵だ。
逃げたい、転移したい。まずはこの<異界化>を解かないと逃げられないが、自分の<魔力消去>で果たして解除できるだろうか?。<魔力消去>は問答無用で呪文効果を消すものではなく、消す側と消される側でレベル差がある場合成功率に補正がかかる。
なんにせよ分が悪い。一撃必殺の呪文で運に任せるしかなさそうだ。ありったけの魔力を込めてレジストされないようにする。そして<制約>は強制的に命令を行う精神魔法だ。
「<制約> 敵対を禁じる!」
「おっそーい!のです。」
賢人が次の句を口にする前に巨大な鈍器により頭部が弾けていた。
「折角手番を与えたのに、その呪文のセレクトはありえないのです!
仮に精神抵抗を抜いて呪文が効いても決め手にかけますし、精神魔法は防衛手段が多いのです。奇襲をかける側の私が対策をしていないと思うのですか?」
[勇猛な心] 魅了、睡眠など精神に作用する効果をキャンセルする非常に便利な補助呪文だ。搦め手を多様する賢人にとって使われると対応が遅れる呪文の筆頭だ。
◇◇◇
ヤンデレな人形使いアリス。賢人の事が好きでスキですきすぎて彼とまったく同じ外見を持つ体を作ってしまった。「賢人の為」、否、「賢人を愛する自分の為」限定で天才の領域に達してしまったのだ。
高位存在にとって肉体とは魂の入れ物にすぎない。そして賢人の魂は既にマーキング済みでフリーになりしだいゲッチュし、自分の賢人人形に取り込む用意が整っていた。
「えへへ、これからはずっと一緒だね、賢人。大丈夫、私が守ってあげる。絶対にこの部屋から外に出さないから・・・」