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魔術師学校でリア充チートですごしてます

無軌道な若者。盗んだバイクで走りだすことが許されるのもまだ青い子供だからだ。地球では保護される年齢だが、こちらの世界では成人としてみなされる。そのギャップに耐えられるのか。


親の庇護下にありながら、大人として見て扱って欲しい。大人と子供の二律背反、それが反抗期の1つの原因だろう。そうなると13歳でほぼ成人として扱われるこちらの世界では反抗期はないのだろうか?それとも10歳くらいの子供が大人に憧れ反抗期になるのだろうか?



そんな事を考えるボクの名前は賢人けんと、13歳。いわゆる冷静で無感動なタイプだが暗いわけではないし友人もいる。ただ本気で打ち解けることができる友人がいないだけだ。



女神の転生相談教室で自分は魔法使い向けにビルドしてもらった。チートとして表すなら<魔法の才>だ。こちらの世界に存在するあらゆる魔法を使用できる可能性をもち、短時間の修練で魔法を覚える事ができる。このチートに慣れ親しんだ場合にはオリジナルスペルも作成できるようになるという。



◇◇◇



「多くの魔術師は1属性持ち。2属性持ちの<ダブル>ですら魔術師千人に一人と言われるのよ!」


うっかり3属性の魔法を見せてしまいお約束なやりとりを行ったのも良い思い出。ボクは今優秀な<ダブル>魔術師として冒険者活動をしている。資金を貯めた後に魔術学校を入学し、その後貴族に雇われるのが目標だ。



<スリープクラウド> 相手は寝る!!



一部TRPG愛好家達にはおなじみのスリープ系魔法。スリープクラウドを洞窟に満たし、全てを眠らせる。女神ビルドにより膨大な<精神値>を持つスリープは効果抜群で今まで抵抗された事は一度もない。多分アンドットやゴーレムを除けばよほどのレベル差がない限り効果的だ。


「ふふ、戦わずして勝つ。これが兵法というものさ(キリッ)」


自嘲めいた独り言を呟きながらゴブリンの頭を槍を貫く。剣よりも槍が優秀、常識だよね?剣道三倍段の言葉どおり、剣術にくらべ槍術の優位性は歴史が証明している。それにさ、剣でゴブリンに近づくの怖いじゃん、寝たふりしてズブリって可能性もあるし間合いはできるだけ広くとりたいよね。



◇◇◇



それから3年の月日が流れた。

予定どおり冒険者として金策を行い、権威付けのため魔術師学校へ入学した。これぞ青春と呼べるようなリア充な生活を送りながらも日々研鑽を重ね魔術の高みへ登りつめている。望めば宮廷魔術師の座も手に入るだろう。



自画自賛ではあるがボクほどの魔術師はこの国にはいないだろう。A級冒険者[赤き情熱の焔]も、宮廷魔術師[青い稲妻]もこの眼で見てきたがたいした事は無かった。


しかし、ボクはこの国最強ではありえない。対軍兵器としては最強であると自負するが、ある程度以上の戦闘力を持った魔物や人に対して極めて脆弱である。勿論、あらゆる攻撃を防ぐ障壁や、異次元へ移動し無敵になるような魔法も存在する。しかし、不意打ちされた場合や、「目にも止まらぬ」早さで切り伏せられた場合、魔法を唱える事なく敗れるだろう。たとえ<無詠唱>スキルを覚えていても、こちらが認識するより早く攻撃を行う近接職にはどうあっても勝てない。これは魔を極めるほどに実感することになった。


TRPG的にいえば、先制判定に負けた時点で何もできずに死ぬ。

ドラクエ的にいえば、キラーマジンガに先制2回攻撃され死ぬ。


常日頃の対策として<不可視の魔人>と<ゴーレム>を傍に控えさせている。しかし、これで対処可能なのは[B級冒険者]程度までで英雄級の剣士の前では肉壁にすらならない。


まぁ、長々と愚痴ったけれど魔術師は英雄のお供として有能だが、英雄にはなれないという事さ。とは言っても英雄や冒険者に未練はない。ただでさえ文化水準が低い世界で、ダンジョンや森に入り不便な生活を送ることはボクの本意ではない。


しかし、王都での暮らしは気に入った。当初住んでいた田舎村に比べると随分と娯楽があるし魔法の資料も多い。このまま王都で暮らしながら日帰りオンリーの冒険者も良いかもしれない。ゴブリンやオークの集落程度なら片手間で殲滅できる。簡単で実入りの良い仕事だ。



・・・たとえ英雄になれなくても、自分の未来は明るい。

そんな幻想がぶち壊される。

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