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ドロップチートな彼が立身出世できるのか

[ドロップチート]

敵を倒した際のレアアイテムドロップ率の向上、および一般ドロップアイテムの数量増加。



僕の名前は和良品わらしな 拾雄ひろお。どうだい、良いものを拾いそうな名前だろ?だから異世界転生のオマケでチートを貰えると聞いた時にドロップチートを希望したんだ。

女神様も君にピッタリのチートだね、と微笑んでくれた。




転生後、はじまりは森の中。

そしてお約束のように出会うゴブリン。

まずはこいつを倒して資金ブーストだ!!と考えている最中にゴブに発見される。


・・・くさい、怖い、キチガイ。3Kです。

僕ら文明人では、たとえ体長が1メートルほどの小人なゴブリンすら相手にするのは無謀だと、転生前の交渉時に気付くべきでした。


とりあえず逃げる。何よりも逃げる。

しかし、残念な事に社蓄生活にならされたこの体は10秒のダッシュにすら耐えられず、足がもつれて倒れてしまう。いや、社蓄の皆さんマジでダッシュしてみ?マジで転ぶから。

無理無理。はいずるように逃げる。クソ、俺の近くにハイよる混沌さんとか助けに来てくれないの?助けてー!!ヘループ!!


お、灯りが見えてきた。叫びながら走る。たーすーけーてー。

いや、叫ぶつもりが声も出ない。ブヒヒイ、フヒィとうなる声に変わる。



◇◇◇



先ほど見えた灯りは見回り衛兵さんの松明だった。鍛え抜かれた衛兵さんはゴブ助を返り討ちにし、僕を最寄の町まで案内してくれるという。なんというイケメン。ウチにきて妹をファックしていいぞ!但しウチにこれるならな!!


「昔は冒険者だったのだが、膝に矢をうけてしまってな」などと語るイケメン衛兵。世間話をしながら街へ進む。膝に爆弾を抱えるとかカッコいいですね。主人公よりも強いキャラに制限をかける手法としてテンプレじゃないですか。「強いけど制限あり」とか憧れちゃいます。



ゴブリンの強さ、この近辺で一番よわい魔物について話を聞く。最弱の座は<ボーンラビット>、和名:一角兎。角が生えた馬がユニコーンならば、角が生えた兎がボーンラビット。ユニコーンが処女厨であることは有名だが、兎が万年発情期な事もあってかボーンラビットは処女崇拝ではないらしい。しかし毎年ボーンラビットの角に貫かれ処女を散らす乙女が発生する。なんとも迷惑な奴だ。


その最弱な兎だが、それでも村人Aでは手にあまる相手とのこと。小さく素早いので攻撃を当てるのが難しく、下手に空振ると横腹に角を突きたてられる。運がよければ致命傷には至らないが、内臓を傷つけられた場合には戦闘不能になるだろう、と。



最弱モブですらタイマン勝利は難しそうだ。

ドロップチートがあるのち敵を倒せないというこの状況、どうすれば僕は幸福になれるのでしょうか。



◇◇◇



先立つものがない。

街に入る際に衛兵さんから入場税について説明された。そして自分のような金なし、保護者なしの場合どうするのか?という問いかけに対し衛兵さんの答えは・・・


僕のように20を越えた者は珍しいらしいが、村から街へ夢見がちな逃避行をする若者は多いらしく「良くある」ことらしい。そんな訳で深夜にも関わらず衛兵用の通用口から専用の窓口へ通される。僕の覚悟が決まるより早く、流れ作業のように周りが動き出す。


結果、自身を担保としてお金を借りた。銀貨40枚を借り入れ、30日以内に利息の10枚を返却する必要があり、その後は気長に返済すれば良いというありがたい内容である。しかし、返済できない場合には奴隷に落とされる。


当初「仕方ない」という気分でいたが、翌日から借金返済の為のプランを練る。生活費、一角兎のドロップ品、レアドロップ品の価格を調べ、狩りができるだけの準備が整えば10日で返済できる計画だ。まだ試していないドロプチートの発動率が高ければ1日で返済できるかもしれない。ぶっちゃけ余裕だと思っていた。



まずは冒険者ギルドで先輩冒険者から冒険の基礎を学ぶ必要がある。一角兎を倒せるだけの技術を身につけるのだ。笑われ・馬鹿にされながらも2週間20銀貨の契約をした。しかし、これが思うようにいかなかった。


まず基礎体力がない。

まぁ、体作りに時間がかかる事は想定内だ。ランニングと筋トレを行う。しかしこの世界にはプロテインがなく、肉・卵は非常に高額だ。筋肉を作るのに必要なたんぱく質の確保が難しく、お金がかかる。思わぬ出費だった。鶏のササミをくれ!



そして目が悪い。

アフリカの狩猟民族は視力5.0以上あるなんて話が地球でもあったが、こちらの世界の冒険者は皆そのレベルで目が良い。IT社蓄だった自分の視力は0.1以下で眼鏡をかけても0.7である。自動車免許の取得に必要な最低ラインに合わせて作ったのだ。

そして、眼鏡を失したら冒険者人生が終了するだけでなく、どんな職業でも満足に行う事はできないだろう。とてつもないハンディキャップだ。ファンタジーだし人造魔眼ってないのかな?お金を稼いだら考えるべきかもしれない。



そんな予定外の障害がありながらも冒険者ブートキャンプは進んでいく。



◇◇◇



「まぁ、なんとか村人A程度には仕上がったな」


とは教官(仮)のお言葉である。今明かされる驚きの事実!!なんと僕は村人Aよりも圧倒的な弱者だったのだ。まぁ考えてみれば、日々畑を耕し、薪割りを行い、狼などの害獣駆除を行っている村人Aであれば、社蓄文明人の数倍強いのは当然だ。


[初心者冒険者]になるつもりのブートキャンプが実は[子供よりはマシ]になるためだったとは。文明人と現地人の差をマジマジと感じてしまう。僕を鍛えた教官(仮)も、いったいどれだけモヤシなんだと心の中であきれていただろう。訓練期間中はそれを表には出さないでいた教官殿も、最終日となってつい本音を漏らしたようだ。


とりあえず知りたいことは[一角兎を倒せる程度]に仕上がったのか?という点だが、その返答は「二人でボコればまず勝てる。一人は死ぬかもしれんがな!」と有り難い言葉を頂いた。


安全マージンを考えると3~4人でPTを組み兎を倒す必要がありそうだ。



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