A級魔法なの?
「いろいろサンキューな、また会えるといいな!」
「ちょっと待て!」
何だよ。きれいにお別れできたと思ったのに・・・
「お前、相手は最強の水魔法の使い手フィンだぞ!たかが剣士に勝てるはずがない!」
なるほど、ホークは俺を心配してくれているのか。やっぱり良いヤツだな。
だがな・・・
「俺は最強の剣士・・・いや、言い換えよう。最強の武士だ。そう簡単には負け戦はしないさ。それに俺は前、アイツに勝ってんだぞ!」
「第一、私達だって魔法使えるんだから!」
「そうよ!私だって携帯火気持ってきてるんだから!チュドーンで一発よ!」
カナとマリが俺を押してくれる。後、チュドーンって携帯火気の威力じゃない気がするぞ。
まだホークは良い顔をしない。仕方無いな。
「そんなに心配なら俺の勇姿見といてくれよ。」
「・・・分かった。危険な場合手を出すぞ。」
「了解。」
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「ようガキ!」
俺は受付に来て開口一番こう言った。俺は、腰にウロボロス(刀の時にはこう言うことにした。)後ろには、選別に貰った一番安い杖を構えたカナに、
どこから持ち出したか分からないような砲弾を肩に構えた(王城から逃げる時、背負った重さから気が付かなかったのだが、マジでどこから持ち出したんだ?)マリに、
竜化状態のライと、
絶対中々手に入れにくいそうなきらびやかな杖(なんか、無駄にキレイすぎるな)を構えたホークが付いてきた。
「まだ言うか。フィン直々に潰してやるわ!」
「あのなあ。・・・」
俺は1歩でフィンの腰に手を回し俺ごと扉から飛び出た。
外に連れてきたのであろう兵士共が居たが気にしない。
「中じゃあ、邪魔だろうが!」
「・・・無理矢理外に出されるとはフィンとしたことが不覚ね。」
「ガキ、今更だが1人称と口癖が全く合ってないぞ。」
「・・・全総員この男に向けてA級魔法を放て!」
短気すぎないか?
「火の神プロメーテウス、我に戦乱の火の力与えたまえ、出よ!ファイヤーストーム!」
「嵐の神テューポーン、我に恐怖の風の力与えたまえ、出よ!リーフストーム!」
「海の神ポントス、我に神の大波の力与えたまえ、出よ!ブリザード!」
「全知全能の神ゼウス、我に最強の雷の力与えたまえ、出よ!ライトニングサンダー!」
「死の神タナトス、我に死を司る力与えたまえ、出よ!デーモンハンド!」
・・・うん、短気なのに遅すぎる。歩いてでも避けられるぞ。本当に魔法最強主義の世界なのか?この詠唱の間に
「おう、全員追い付いたか。」
「ケイ速すぎ!ホント化け物よね。」
「もはや、自負している。」
「ところで、あれ、まさか、A級魔法か!」
「流石ホークだ。よく分かったな。」
「ようやくうちの砲弾が打ち出されるのね。ウズウズするわ!」
「無茶だ!逃げろ!お前達はA級魔法の威力を知らないんだ!」
「悪いなマリ。俺が吹っ飛ばすんだ。砲弾はまだ残しとけ。」
「了解!」
「俺の忠告無視ですか!」
「ウロボロス刃渡り2M、樋50CMまで巨大化」
という話が余裕でできてしまった。本当におっそい!
ようやく放たれた5つのA級魔法が俺に向けてやってくる。
4つ術者から、1つ上からなら兜割りでいいな。
タイミングを見計らって・・・
「ほい。」
樋(刀の刃を前にした時、横にある広い面)で叩き全て消した。
「何!?仮にもA級魔法だぞ!」
「いや、俺にとっては赤ん坊の手を捻る、以前に赤ん坊に触るぐらい簡単だぞ。」
「くっ、化け物め!」
「だから俺にとってそれは誉め言葉だって。とにかくこっちも攻撃するぞ!刃渡り50CM樋2CMまで縮小化。」
その言葉が終わるかどうかの瞬間に瞬動して、1人は峰打ちで向かいの家にめり込ませ、2人同時に峰を降り下ろし地面に叩きつけた。
その時だった。
「ファイヤーボール!」
お、さっきみたいな無駄な言葉が少ない。カナの詠唱省略と同じ力ようだな。実に良い。
そんなことを考えているうちにファイヤーボールは俺の目の前まで来た。ならば試しにと左手で拳を作りファイヤーボールを消した。あれ?思ったより熱くないな。これじゃあ今まで逃げていたのが馬鹿みたいじゃないか!
再び瞬動で動き刀を逆手に持ちかえ兵士の腹を真っ二つにしないよう気を付けながら裂いた。
こいつだけ裂いたのは理由がある。
それは、カナとマリに現実を見せつけるためだ。裂けば刃を使っている以上、血が出る。人の血はあまり見て良いものじゃない。
しかし、この世界ではもはや日常茶飯事になる今のうちに慣れさせるのが一番良いと判断したのだが・・・
「やっぱり血肉の踊る戦いがないとファンタジーじゃないよね!」
「機械で、このように瞬殺するには、やはり何か強力な動力が必要よね。いやその前に瞬発力をあげるなきゃ、その為には・・・(あまりに長すぎるので割愛)」
・・・俺の杞憂だったか。