ガキよ。断固拒否する!
武器庫から雑魚寝部屋へ戻ると朝食が用意されていた。俺だけに知らされたのだが、捨てる事も、作り替える事も出来ない邪魔な剣が処理できたのでそのお礼らしい。
スゲエ失礼な話だ。カナとか聞いたらマリと共闘して、世界滅亡爆弾を爆発させそうだ。
「マリ!世界滅亡爆弾準備出来た?」
「その前に、人類保存計画が必要よ!」
・・・うん、聞いたようだ。そしてカナの中二病がマリに移った気がするのは俺だけだろうか?
朝食には、トーストと、バターと、サラダという質素な物だったが、昨日の昼から俺達にはご馳走だった。トーストはお代わり自由だった為10枚目を食べているところだった。
急に扉が開き、案内嬢だと思われる女性が現れた。
「ギルドマスター!青龍様がお呼びです!」
「何!?青龍がなんで・・・って何となく予想つくが。」
「勇者の捜索依頼だそうです。」
「やっぱりか。」
勇者という言葉に俺は口を挟んだ。
「俺達を探しにきたってことか。ところで青龍って誰だ?」
「王国に仕える各属性のスペシャリスト集団【四神】そこ中の、水魔法SSSランク青龍その名は、ハイル王国第2王女、フィン・ハイルだ。」
「ブブゥ!?」
あ、しまった。食ってたトーストをホークに掛けてしまった。ホークは顔を引き吊りながら言葉を続ける。
「何だ?流石に恐れおののいたか?」
「そうじゃなくて・・・いや、人違いの可能性がなくもない。」
「なんの話だ?」
「そいつ、常に上から目線で、1人称フィンで、チビなヤツか?」
「確かにその3つ全て当てはまるが・・・知り合いか?」
「逃げる時、そいつを城壁にぶっ飛ばして城壁を破壊した。」
「ブブゥ!?」
・・・見事、俺の顔に掛かりそうなトーストを避ける事に成功した。ホークは面白くなさそうだったが。
「しかしあの子供がなあ。」
「ん?フィンは背は低いが、18歳、成人だぞ。」
その瞬間俺、そして人類保存計画の準備していたカナ、マリの口からぐしゃぐしゃのトーストがホークにぶっ掛かった。もはや、顔をトーストまみれで見れないが、大変ご立腹な事だろう。しかし問題はそこじゃない!
「「「あの子供が成人してるぅ~!?」」」
「その声はケイども!それよりフィン自身気にしている事を大声で言うなぁ~!死ね!この世から消えろ!」
・・・見つかってしまった。
取りあえず言える事は、
「断固拒否する!」
さて、ハイル王国逃避行第2幕の始まりだ。