ガキよ。黙れ!
光が眩しく目を瞑りゆっくりと警棒を下ろす(途中「イタッ」と聞こえたが無視)
10秒ぐらい後、光が収まりそっと目を開けた。そこに居たのは光沢のある白いドレスを着た少女とそれの後ろで構える鉄鎧集団だった。
「大丈夫ですか?」
子供から声をかけられるが、今話を聞くのはこいつじゃない。
「おい、そこの鎧共これはどう言うことだ?せつめ・・・」
「聖女に、騎士団!もしや異世界!?」
最後まで言えなかった。カナがいきなり声を荒げたからだ。そういやカナって
「中二病だったな。」
「そうよ!この状況もテンプレその物!神様の運命のイタズラに身震いするわ。」
「うちとしてはそんな事を恥ずかし気も無く言えるカナに身震いするよ!」
「ふっ、今はマリのそんな憎まれ口も聞こえないよ!そしてテンプレ道理行けば、魔王を倒す旅に出るのよ!」
「ちょっと待って下さい。」
子供からの制止の声がカナ妄想を止めた。
「確かに召喚して、魔王を倒してほしいという事なのですが、何故それを知ってるんですか?」
「子供の戯言はどうでもいい!」
その時だった。鎧共がざわめき俺に罵詈荘厳を言ってくるそれを簡単にまとめると、
「姫に子供とは無礼なヤツ処刑せよ。」
って事らしい。鎧共が俺に手をかざして
「火よ!具現化せよ!ファイヤーボール!」
「水よ!具現化せよ!ウォーターボール!」
「自然よ!具現化せよ!リーフボール!」
「光よ!具現化せよ!シャインボール!」
それぞれ火の玉、水の玉、草の玉、光の玉を俺の居た所に向けて出した。
無論既に俺はそこに居ないのだが。みごと、全ての玉がぶつかり爆発した。
「おお、スゲ~。中々の威力だな。」
「いつの間に!?」
真後ろに移動してきた俺に驚く鎧共だが、あんな長い言葉を言っている間に余裕で行ける。
「まあ、いい。次は当てる!」
「次があると思ってるのが図々しいな。」
リーダー格であろう金鎧が、変な玉を出す言葉を言っている間に特殊警棒で袈裟斬りを食らわせると下部を1人を巻き込み吹っ飛んだ。
「さあ、次は誰だい?」
飛びっきりの笑顔でそう言った。
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1分後、鎧共を全員凪ぎ飛ばし、金鎧を叩き起こし、拷問をして吐かせた話によると
「つまり魔王が現れたから倒せと、帰還の方法は無い。よって俺達に選択の余地なしだ。と言うことか。」
「フィン達の性でケイ様の生活を、壊してしまいまして申し訳ありません。」
「だから子供の戯言はどうでもいいだ!とにかく俺達を呼び出す事を最終決定したてめえの父親に会わせろ。」
「出来ません!今、公務中です!」
「じゃあ、魔王倒しはしないと伝えろ。」
「それも出来ません!勇者召喚の発表を父上がしています!」
チッ!こうなったら、別策考えないとな。その為には・・・
「・・・ほう、自分勝手すぎないか?」
暗い声で思いっきり脅す。そうすれば、
「もうじわげありまじぇん。わだじ、私のいのぢでゆるぜるのならさじあげまずがら~。」
「わわ、フィンちゃん大丈夫?ごめんね。このお兄ちゃん怖いね?向こうに行ってようか?」
カナが子供と一緒に俺から離れる。一瞬俺を睨んだが全く怖くない。
「で?カナをわざと遠ざけて、うちに何の用?」
そしてマリと二人っきりになる。今までの行為は泣いてる子供はほっとけないというカナの性格を知った上での行動だった。
「ちょっと作戦立てとかないからな。」
「いいの?カナ無しの作戦なんて・・・まあ、頭の緩いカナじゃ居ても無駄ね。いえ、足手まとい!」
俺達2人のカナの評価は同じらしい。まあ、毎回赤点スレスレだからな。
「だろ?とにかく俺達の目標は1つ」
俺は指を上げて注目させる。
「いろんな所に顔を知られる前に逃走する。これだ。」
「確かに魔王倒しはイヤね。」
「それだけじゃない。こりゃあ、完璧に俺達があっちの事情に合わせるよう仕組まれてる。」
「どういうこと?」
「最初におかしいと思ったのはあの子供がいた所だ。」
「あ~、そういや、ケイ君フィンちゃん最初から目の敵にしてたわね。それと関係あるの?」
「あれ、刷り込みだ。子供のなら乱暴な行為をする人も少ない。それに情を持たせれば、あの子のお願いは答えたくなる。
それに・・・」
「ケイ~、マリ~こっち来て~。」
カナが作戦の邪魔をするかのように、大声でこちらを呼んだ。
「チッ、とにかく逃げれるよう準備する。マリは用意してろ。」
「分かった。うまくやってよ。」
そうして逃走作戦が始まった。