ギルドマスターVS苦労人コンビ
思わぬ邪魔があったが、無事イデカ帝国に着くことが出来た。
「宿探さないとな。それまで・・・」
ちらりと、カナとマリを見る。まるで旅行に来た子供のように目を輝かせてる。こりゃ着いてこい言っても無駄だな。
「自由で、連絡はカードでしろよ!」
「「了解しました!」」
そう言うとまるで煙の如く消え去った。
「苦労人ですね。」
「分かるか?ウロ。」
「はい、前の主が緒突猛進な方だったのでとても。」
「ははっ、苦労人同士頑張りますか?」
「はい!」
かくして苦労人に宿探しが始まった。
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「で、ギルドの紹介する宿は全部満室だったと。」
「まさか、お祭りと重なるとは予想だにしませんでした。」
俺達は、ギルドマスターの部屋で憂いていた。
「私も、まさか急にSSSランクの冒険者が、ドラゴンの爪の破片を持ってくるとは思いもしなかったわよ!あなた達私をパニック死させるつもり!?」
「「どうでも良い!」」
「・・・2人して冷たい!」
宿探しの途中、一文無しなのに気付きドラゴンの爪の破片を売ろうと、ギルドに持ってきただけで、ギルドマスターの部屋までお呼ばれだ。しかも、全ての部屋が満室と聞けば憂いても仕方無いだろ!
「私は、イデカ帝国のギルドマスター、リンよ。」
「何故急に自己紹介を?」
「いや、誰かがコイツ誰?って言った気がしたから。」
「そこは、リンがイタイ子としてほっといて、素晴らしい宿を用意してくれるよな?」
「私はイタイ子じゃない!」
「おお、懐の広いギルドマスターが素晴らしい宿を用意してくれるらしいぞ!」
「やった~!」
「そんなの言ってない!」
「あっそ、だからイタイ子と呼ばれるんだな。」
「君しか言ってないよ!」
「明日、受付嬢に『イタイギルドマスター』と言われないよう気を付けろ。」
「何デマ流そうとしてるのよ!」
「私は町中に流しますね!」
「俺の上を聞くとは、ウロ流石だ。ついでにSSSランク冒険者発信の話だと言う事をしっかり流せ。信用が出るからな!」
「やめて!吹っ飛ばすわよ!」
俺は軽~く机にデコピンを与えた。すると・・・
まあ、なんと言うことでしょう!あんなに綺麗だった大理石の机がまるで砂糖菓子のように崩れていくではないですか!
『ギルドマスター』リンさんはあまりの光景のあまり驚愕して口をポカンと開けているではないですか!
「何が、吹っ飛ばされるのかな?」
「・・・・・」
「俺は現状復帰を求める為デコピンをセット!司令官何時でも発射命令どうぞ!」
ウロ司令官はいつの間にか、サングラスして手を組んで口元を隠している。
これ絶対カナの入れ知恵だろ!
「出撃」
「私の・・・・・」
「ん?」
「私の宿をあげるわよ。」
「「やった~!」」
「ふう、終わった・・・」
リンさんや、ホッと息付いている所悪いのだが・・・・・
「じゃあ、ドラゴンの爪の破片の値段交渉に移りましょうか?」
「もちろん、変な噂出ないような。お値段してくださいね?」
ニッコリ営業スマイルを出すと、リンは引き吊ってしまった。そして・・・
「ああああぁぁぁぁぁ!!」
発狂しました。(笑)
こうして俺らは、ドラゴンの爪の破片の値段、金貨200枚と素晴らしい宿を手に入れた。
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「何が手に入れたよ!?奪い取ったの間違いでしょ!」
その日の夜、『蒼碧の波』という宿にて、いきなりカナに怒鳴られた。無論、俺とウロは正座だ。
「いや、まさかあそこまで話が簡単に行くなんて思わなかったんだ。脅しから逃げる抜け道も沢山有ったんだぞ。」
「その抜け道使わなければ、意味無いでしょ!」
「し、しかしですね。どこも宿がなくこの状況だと仕方無かったかと・・・」
「問答無用!」
チッ、カナがこんなに怒るとは久し振りだな。こりゃ、なかなか機嫌治らないぞ。
「でもさあ、カナ。2人のお陰でこんな良い宿に泊まれるんだよ?少しは、そこを配慮したら?」
「マリは甘いわよ・・・。」
お、マリナイス援護射撃!
「我も刀の状態で聞いていたが、あのギルドマスターにも問題が有ったのだ。しかも、結果を見れば最上ではあるまいか!ここは情状酌量の余地あると思いまする。」
「そ、それもそうだけど・・・」
ライ!最高の貫通ダメージだ!カナのマイナス感情を打ち砕くのもあと一息だ!そして出てくるのは!
「本当にごめんなさい・・・。」
「ウグッ!」
ウロは見た目幼女だからな。幼女のごめんなさいはある手最強だ!そして俺も謝れば・・・
「カナすまなかった。」
「・・・分かりました、次はないからね!」
そして、3対1というカナ不利な状況だったこともあるが、無事、カナの機嫌を取り戻すことに成功したのだった。・・・ところが、
「ケイ、必ず明日私の買い物手伝ってね。今回の罰だから!」
・・・まあ、ここは妥協点として認めるとしよう。