暗躍されし王都と変わる未来
カナの古い発言後、ケイ達が互いに登録していた頃。王国では会議が行われていた。
「どういうことだ!魔法の使えない剣士にフィンが負けただと!?」
「ワシにも信じられんよ。青龍の称号を持つフィン殿がコキュートスを放ったのにも関わらず負けた上に、オリハルコンで作られた城壁をフィンを飛ばし破壊するとは、最初から信じろと言う方がおかしいのじゃ。」
「ワイとしてはどうでもええから、この会議を終わらせたいんや。早く進めてくれ・・・」
その会議の出席者はたった3人
黄色を主体とした服にマントを着けた『青龍』フィンの父、ライル王国の現国王ラインハルト・ライル。
ダイヤを大量に身に纏い。巨大な平たい杖を背負った老人、ライル王国の最強の魔法使い集団『四神』の1人『玄武』ハーカン・メイル。
髪を白く染め、白い忍者装束を着た、めんどくさそうに会議を見つめる、ハーカンと同じく『四神』の1人『白虎』セイル・シャープ。
「それで?どうするのじゃ。勇者召喚の発表はもうしてしまった。今更、断られて逃げられましたじゃ済まぬぞ!」
「問題はそれだけやないやろ。今回の勇者は剣でSSS魔法を打ち負かしたんや。そんなヤツが野放しにしてまうのも、ヤバイやないか。ある意味、魔王よりもいけんかもしれん。」
「更に何処かの馬鹿がメテオストライク等と言う魔法使いおって王都再建で財政の危機、猫の手でも借りたい。」
「・・・お主、動物嫌いではなかったか?」
「そんな事はどうでも良い!今は、問題を全てキレイに片付く方法を考えなければならないのだ!」
「そんなの簡単や。勇者を沢山召喚して、魔王も、剣の勇者も、王国再建も全部させれば良いんや」
「・・・そんな事出来るヤツ何処に居るんだ。」
勇者召喚は何度も出来る。しかし1度に大量に召喚するには膨大な魔力が必要となる。元から1人呼ぶだけでもSランク程の魔力が必要なのだ。
今回たまたま、1人巻き込まれ3人召喚出来たが、次もそうとは限らない。
しかも1度召喚の為に魔力を召喚魔方陣に注いだ者はもう召喚することができない。最早フィンに頼む事もできない。
朱雀は何処か旅をしている為、ここにいる2人に頼んだとしても巻き込まれがなければ、精々6人が限度だ。
それ以前に素人6人にオリハルコンを破壊するような化け物を倒せるとは思えない。
そこまで考えた所で白虎の言葉の意味をようやく理解した。
「まさか、俺に召喚しろと?」
「そう言うこと!30人ぐらい王様なら出来るやろ?魔力測定不能の麒麟さん?」
「そうじゃな。それが一番じゃ!これは麒麟殿にしか出来ぬな。」
「都合の良いときだけそんな事言いおって・・・」
「お?他にええ方法あるんか?教えてくれや?」
実質その方法以外無いことは分かっているのだが、なかなか、承諾できなかったのだ。
「しょうがないか・・・神殿行くぞ!」
「行くぞって、ワシらもか?」
「当たり前だ!今回のような化け物が暴走されたら困るからな。補助として2人とも来い!」
「ちょっと待て!これからカードの約束があるのじゃ!」
「ワイもこれから飯食いに行こうとしてたんや!」
「ポーカーと、飯など抜きに決まっとるわ!」
「「そんな~」」
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俺、西藤 剛志は、朝から気分が良かった。邪魔者が消えれば誰だって気分が良いに決まってる。
昨日、学校に登校した筈の水谷香奈、中嶋万里、そして後藤圭が行方不明になったのだ。
香奈が居なくなったのは少し残念だ。アイツは美人で胸も大きくて良い女だった。しかも女にはわからないようなアニメの話題がなんでも出来た。
それ故に分からねぇ。何であんな邪魔者達とつるんでいたのか。どこが良いんだ!
気色の悪い物を造って、俺がヒョロイ嫌われ者をちょっと痛打っただけで改造BB銃で襲ってくる。ソイツだけなら許せた。けれど・・・
後藤圭、アイツだけは許せねぇ!前の学校じゃあ最強だった俺が、高校入ったとたん変わってしまった。剣道では3年の押し退かして1年で全国優勝して人気者になった。柔道全国ベスト8だった俺が色あせてしまった。
更に腹が立ったのは、俺の香奈を取っていることだ!文化祭の時取り返そうとしたら、いつも香奈の側には圭が居て、中々取り返せなかった。
ようやく香奈1人になったと思ったら、急に後ろから現れて、俺を拘束しやがった。香奈を返せと言ったら、拘束を酷くして、先キョウ共に言い付けやがった。その上先キョウと話して、猿ぐつわまでして、顔に『汚物です。見ないで下さい。』と書かれた紙を付けられたんだ。
変わりにネット中に『荒涼高校1年、後藤圭は1度人を殺した』という噂話をでっち上げ、学校中の嫌われ者にした。それでも香奈は離れなかった。それどころか、万里が噂の出所を探り、ネット喫茶を使ってバレない用にしたのに、俺までたどり着きやがった。そして香奈にチクり目の前で香奈に『キモい、2度と近付かないで!』と言われてしまった。
それもこれも、圭のせいだ!
そんな邪魔者が消えて気分が良くなった俺が、教室に入った瞬間だった。
俺が光に包まれたのは・・・
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気付いたときには俺はクラスメイト30名全員と一緒に見知らぬ場所に居た。
そこには上から目線で威張っている男と、亀〇人のようなジジイに、眠たそうな変態忍者がそこに居て、上から目線がいきなりこう言った。
「正義の勇者よ!魔王と、悪の勇者を倒してくれ!」
「何言ってんだ?」