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魔法最強主義の世界で俺は剣術で無双する  作者: 三疾修介
取り合えず眠れ(出来れば永遠に)
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朝からチェイス

「ケイ、一緒に行こ!」


「断固拒否する!」


後藤 圭の毎日はこの返事から始まると言っても過言ではない。

幼なじみである水谷 香奈が懲りずに一緒に登校しようと俺の家で待ち構えているからだ。


そんな美形の顔とたわわな胸で誘えば、誰とだって登校出来るだろうに、何で平凡顔の俺かな~?長年の謎だ。


とにかく最高のトレーニング日和を潰されたら困る!ここは撒くが一番。


「さらば!」


「さらばじゃない!・・・ちょっ、待ってよ!死んじゃう!」


ただ走っただけで死ぬなら病気だ。病院行け。


しかしその言葉は出なかった。既に50メートルの大差が付いていて言っても聞こえないだろう。そしてさらに速度をあげたその時だった。


後方から土煙を大量に撒き散らかして来る影ひとつ。


「待て!ケイぃい!!」


ええ、もちろん香奈ですとも、自転車・・・じゃねぇ!?


「な、マウンテンバイク!?」


「違う!競輪用のチャリ!」


「はぁ!?ブレーキ付いてねぇ!交通法違反!」


「大人しく捕まれ~!」


捕まるのはテメエだ!ちくしょう!近くに交番さえあれば「お巡りさんこいつです」って付きだすのに、残念ながらそんなもの近くに無い。くそ!こんな外道業を使うとは小癪な!


・・・しかし、しかしこの程度でへこたれる俺ではない!正直、長時間は使えないのでしたくなかったのだが、短距離走の構えでさらに速度をあげる。この瞬間俺は世界新記録を叩き出すような速度を得る。しかし測った事がない為ギネスは貰えない。貰う気も無い。


「えぇ~!?ケイなにそれ!化け物おぉぉぉ~~~。」


この瞬間、無呼吸状態の為つっこむ事ができない。どんどんカナの声が遠ざかる。1~2キロの距離をチーターもビックリするような速度で駆け抜ける。時計を見ると通常15分かかる道のりを家から出発して2分で到着してしまった。体感時間3秒前に高速で走ったから。


うん、自分でも化け物だと思うよ・・・。


高校に着くなり俺は地面がアスファルトなのも気にせずぶっ倒れた。


「・・・」


言葉が出せない。既に喉はカラカラで水を欲していた。何とか体を動かし水道まで体を動かす。そして水をガブガブ飲む。文字どおりガブガブと制服が濡れることなどもはや好都合だ。高熱を出している体が冷えて気持ちがいい。今は夏、今日は気温が高くなると聞いたから遠慮は要らない。


「ケイ・・・体から湯気出てるわよ・・・。」


交通法違反チャリをぶっ飛ばしてやって来たカナが息を切らしてジト目をしてくる。


「大丈夫だ。冬には湯気出す人がたくさんいる。」


「それじゃあ、夏で湯気出すケイは変態なの?」


「変態ではないが、変体であることは認めよう。」


「まったく、私の嫌みは全然効かないよね。・・・ホラ、私にも飲ませなさいよ。」


俺は少し離れるとカナも水を飲み始めた。俺と違っておしとやかに飲む。大半の男子が見たらきゅんきゅん来そうな姿だが、俺にとっては、「前は豪快に飲んでいたのにな~にゆっくり飲んでんだ。」ぐらいしか、考えない。


「ちょっと、水かかりたいから向こう向いてて。」


「なんで?」


「なんでって水かかったら、こんな薄いシャツじゃ、透け透けじゃない!」


もう既に汗で透け透けなの気付いてないのか?それに・・・


「1年前は俺の家泊まりに来た時、下着で一緒の部屋で寝たのに今さら何を言ってんだか。」


「うひゃい!?さらっと黒歴史言ってんじゃ無いわよ!もし周りに人がいたら、」


「へぇ~良いこと聞いちゃった!」


「ギャアァァ~!?」


「急に入ってくんな。マリ驚くだろ。主にカナが、」


「あら、二人っきりの空気邪魔しちゃった?」


「周りに人が居なくて一応二人っきりの空気だったが、別に邪魔されてもどうでもいい。」


「さすがケイ君何があろうと動じないわね。」


「私としては邪魔されて気を害したけど。」


「まあまあ、自転車の借りで無しにしてよ。」


「まったく追い付けなかったけどね。」


「えぇ!?あれ、うちのコレクションの最高速モデルよ!素人でも120キロ出せる優れものなのに!?」


「ケイが手加減無しで走ったのよ。あれは、化け物だったわ。それより、後ろ」


「ふえ?」


俺は無意識のうちにいつも携帯している特殊警棒をマリに向けて振りかぶっていた。おお、俺は自分でも気づかぬうちにマリに殺意を持っていたのか。ここで殺意に乗っかるのも一計か。


「やっぱり、あのチャリはてめぇの仕業だったか、お陰でこっちのトレーニング出来なくなったじゃないか!消えろこの機械マニアァ~!!」


「うわぁぁぁ~!?」


グワン


鉄のぶつかる音と同時にマリのカバンが曲がる。


「ヤバ!カバンに入れた鉄板がイカれた!」


カバンに鉄板入れてる時点でお前の頭はイカれてるぞ!


「その調子じゃ、後1回しか、耐えられそうにないな。ならば2回叩けば当たるな。」


「カナ助けて!あなたの親友が殺されかけてるのよ!」


「私に出来るのは、」


「出来るのは?」


「来世の幸運を祈ることだけよ。」


「カナアァァァ~!!」


親友にも裏切られるとは悲しい奴だな。ま、悪く思うな。


バギャ


完全に鉄板の折れる音が聞こえた。


「さあラストォ~」


「もう一度お願い!カナあなたが最後の砦なの本当にお願い!」


またかよ。答え決まってんじゃん。


「イキロ」


「イヤァァァァ~」



俺が振り被った瞬間だった。俺達が光と共に消えたのは。

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