07 今日は祝い酒だ!
こうして魔国と竜国の同盟は結ばれた。カズトは魔国を治め竜国とも友好関係を築き国を統一しようとしたが国の歴史には深い憎しみと恨みの根が残っていた。
その恨みや憎しみは戦争を経験したカズトの心にも秘められていた。途方もない恨みの連鎖を断つためには途方もない時間がかかるとカズトも全ての国に生きる者が思っていた。しかしカズトの今はそれを否定した。
「貴様も飲め! 今宵は無礼講だ!」
ガブガブと酒を飲み干し顔を赤く染め嬉しそうに竜王は酔っ払う。
「えっ……仕方ないか、付き合わせてもらうよ父上!」
カズトも笑いながら共に酒を飲んだ。
「おい大丈夫か? マグ酒は竜族でも一瞬で酔うほどのものだぞ」
フェミナが心配そうにカズトを見つめる。
「なに~ そうなのか? ヒック どうりでお前が三人に見えるわけだ。どれを嫁にしようか?」
カズトは顔を真っ赤にして完全に酔っていた。
「なんだと! なら一人は我に置いていけ! がはは!」
「ほほ、フェミナが三人? いらね~」
ドナも酔っ払って乱入してくる。
「フェミナ~ お前も飲めよ!」
「私はいい、酒は好かぬのだ」
「そんなこと言わずにさ~」
カズトはフェミナの頬に酒の入ったコップを押し付ける。
「いっ、いらないと言っている!」
「じゃあいいよ、テュポに飲ませるから」
「わっ、バカやめろ、テュポにはまだ早い!」
「あはは~ 世界がぐるぐる~」
フェミナが止めた時には遅くテュポは完全に酔っていた。
「あはははは!」
「がはははは!」
「おほほほほ!」
「ははははは!」
城中に全員の笑い声が響き渡る。
「はぁ~、……ふふ」




