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02 ちょっと出かけてきます
カズトは王室にたどり着くと王座にはリンイが座っていた。
「あら、カズちゃんもう怪我はいいの?」
「リンイこそさすが竜族は皆回復が早いな……なんでそこに座っているんだよ」
「だってカズちゃんが言ったんじゃない。自分が休んでいる間代わりを頼むって」
「確かに言ったけどそこまでの代わりは頼んでないぞ」
カズトは呆れたようにため息を吐く。
「まあいいじゃない。それよりカズちゃん早くここに座って!」
「……いや、せっかくだしもう少しの間代わりを頼もうかな」
「えっ?」
「フム。何か用事がおありですか?」
アガム大臣はヒゲをなぞりながら言った。
「ああ、ちょっと挨拶にね」
「ではカゲロウ殿に護衛させましょうか」
「いやあいつは一応竜国じゃ死刑囚だから俺一人で行くよ」
カズトは城を歩きながら突然とその姿を消した。
「カズちゃん! ……全く王様が一人で歩き回るなんてありえないわ」
リンイは呆れたように首を振る。
「私は慣れておりますよ。フムフム」




