17 競技場16
「撃つ!」
「……ぐっ!」
オシリスはカズトを放して左足を押さえる。外傷はないがオシリスの足には激痛が走っていた。
「貴様! 親父の魔技を!」
「はぁ、はぁ」
カズトはゆっくりと立ち上がる。
「あんたの父親と妹の夢だろ! どうして信じてやらないんだよ!」
カズトは人差し指をオシリスの頭に向ける。
「ぐっ、貴様ごときがこの俺に……」
「降参しろ! 俺が魔国の王になる!」
「もう勝ったつもりか? たったこれだけのことで」
オシリスは殺気を放ってカズトに殴りかかった。カズトは風弾を撃つが肩にかすった程度でオシリスは止まらずに殴りかかる。カズトは風化で受け流せると思っていたがオシリスはカズトに拳が当たる瞬間勢いを完全に殺し触る様にカズトの左肩に拳を当てた。
「?」
「砕けるがいい」
オシリスが不敵に笑った。するとカズトは肩から小さく吹き飛ばされる。
「うっ……!」
左肩に激痛が走り確認してみると肩を脱臼していた。
「くそっ! 触れるだけでこの威力かよ」
カズトはすぐに人差し指の照準をオシリスに合わせる。
「撃つ! 撃つ! 撃つ!」
足を撃たれて素早く動けないオシリスに外すことはないのにまだ風弾を上手く扱えなかった。
オシリスに距離をすぐに詰められまた拳が飛んでくる。
「ごふっ!」
カズトの腹がくの字に曲がる。カズトにははっきりと自分のアバラの骨が折れる音が聞こえた。
「先程の威勢はどうした?」




