15 競技場14
「よしっ、決めた『風弾』だ!」
「何がだ?」
オシリスがカズトに尋ねる。
「あんたを倒す魔技だよ。まだ習得してないけど」
「ふっはっはっは、面白い冗談だ」
高笑いするオシリスにカズトは人差し指を向け手を銃のようにした。
「笑うなよ、こっちは本気なんだぞ」
大歓声の中、魔王を決める最後の競技の開始の鐘が鳴らされた。
「撃つ! 撃つ! 撃つ!」
カズトは人差し指をオシリスに向けて意識を集中させていた。
「何をしている?」
オシリスはゆっくりカズトに近づく。
「やっぱり簡単にはでないな……」
カズトはもう一度続けて同じ造作を行う。
「撃つ! 撃つ! 撃つ!」
「ふざけているのか?」
オシリスが何をしているのかとカズトの目の前まで歩いてきた。
「撃つ!」
「うっ……」
オシリスが胸に手を当てる。
「おっ、できたのか!」
(俺ってすげー)
「なんだ? 今何か当たった気がしたが」
「えっ?」
オシリスは平気そうにカズトに拳を振るう。
「うわっ」
オシリスの拳はカズトの風化で顔の真横にそれた。
「ちっ、面倒な魔技だ」
「悪いけどこの魔技は無敵なんだよ」
カズトは強がってみると、
「そうか?」
そう言ってオシリスはカズトを抱き抑えるように捕まえようとしてきた。




