08 競技場7
しかしカズトが心配する必要は無かった。なぜなら爆発で吹き飛んだのはクシャナの方だった。
「……くっ」
クシャナが爆発で地面に倒れ伏す。
「一体何を……あなたも魔技の使い手ですか?」
「貴様に見せたのは間違いなく竜技だ。私がした事はよけることでもなく、受けることでもなく、返したのだ」
「バカな竜技で爆発を返すなんて無茶苦茶です」
「貴様は竜技を勘違いしているようだが竜技とは己の肉体を強化することを指すのではなく、自然と共鳴することこそが竜技の極意! 今のは大気を震わせ気で跳ね返しただけだ」
「自然と共鳴? そんな曖昧なもので私の『太陽の笑み』を……」
「私や竜族から見れば魔技も十分に曖昧なものだ」
「くっ……それで?」
クシャナはゆっくりと無表情に立ち上がった。
「私の魔技は表情を変えるだけで発動することができます。そして表情によって効果も違うのですよ!」
クシャナは悔しそうに歯を大きく食いしばった。
「『太陽の嫉妬』!」
「なっ……」
フェミナの頭上に雷が落ち轟音が鳴り響き大地を揺らした。フェミナの立っていた場所は黒く焦げフェミナの姿は跡形もなくなっていた。
「ふふ……はぁ、これで……終わりですね」
息を切らしながらクシャムは無表情で言った。
「どうやら私の負けのようですね……」
「ああ」
クシャムの腹に深々とフェミナの拳がめり込んでいた。
「さすがです一瞬で移動するとは……やはり肉体強化じゃないですか」
「それだけではないと教えただろ」
「うっ……」
クシャナは辛そうに顔を歪める。
「無理にかわすから痛い目を見るんだ。意識があるのは辛いだろう、今眠らせてやる」
フェミナが拳を青く光らせる。
「ふっ……『太陽の叫び』……道連れですよ」
「なっ、お前!」
クシャナはフェミナの腕を掴んだ。




