03 競技場2
「おおおおおおお!」
大勢の観客から歓声が飛ばされる。意外にもカズトたちを支持する声も聞こえた。
「すごいなカズト。お前意外と人気があるんだな」
シュベルコスに言われカズトも少しその気になった。
「ま、まあな」
それを笑うかのようにフェミナが言った。
「ぷっ、あれは単に戦争を反対派の連中か大穴に賭けた奴らのどちらかだろう」
「そうか……でも戦争はやっぱり皆嫌なんだからな」
「……お前を応援している奴はお前が戦争を回避してくれるとしても残りの二国に食われるだろうと諦めている事だろうな」
「つまり俺を応援している奴らは俺に期待していないと?」
カズトは別にショックではなかった。魔国の裏切り者と罵声を飛ばされる方が嫌だったからだ。その罵声もありはしたが……
「……オシリス様、開会式の演説はしないのですか?」
クシャムは無表情でオシリスに尋ねた。
「いらん、俺が国民に話すときはこの国の頂点に立った時だ」
ふんぞり返ってオシリスは競技場の橋にあるベンチに座っていた。
「そうですか、安心しました(長い話を聞かずにすみ)」
「んっ、何か言ったか?」
「いえ」
クシャムは無表情で返事をする。
そして三技の開始の宣言が行われ両者から一人選ばれて前に歩いていく。競技場は大きな白い石を円形に並べられておりその周りを会場の壁が囲っていた。
カズトたちはその下の控えのベンチにいた。
「何よ、向こうはあんな小さな女の子が戦うわけ?」
リンイはクシャムの姿を見て拍子抜けした。
「もっとごついやつとか出てくると思っていたわ」
「安心しろ、竜族以上にごつい魔族は滅多にいないから」
呆れたようにカズトはリンイの背が高いということを指摘する。




