3 まずは自己紹介
「俺はその男の息子です」
「なんと!」
アガム大臣は驚いてサングラスを外しカズトの姿を見つめた。
「お主年齢は、年はいくつだ」
カズトは少し間をおいて答えた。
「今年……十七になりました」
「おお、なんと……」
アガム大臣のその反応にカズトは期待の目を凝らした。
「アガム大臣! この者は一体何者なのですか!」
皆がアガム大臣に注目した。
「このお方は魔王様の……」
アガム大臣がそう言いかけた時、魔王はそれを遮った。
「認めぬ……認めぬぞ」
「魔王様何をこのお方は……」
「アガム大臣! ……仮にこの者がお前の言う通りの者でも認めぬ」
魔王は先ほどまでの温厚な喋り方と変わり威圧のある声で地鳴りをさせた。その地鳴りはさすが魔王と言わんばかりの場の空気を一変させるものだった。周りの兵士たちも同様を隠せずにいた。
「こぞう……カズトと言ったな」
「はい、魔王様」
しかしそんな空気の中でもカズトは平然としていた。
「ダルギスこの者を切り捨てよ! この者は神国の密偵……生かして帰すわけにはいかぬ」
「はっ! 承知しました!」
魔王の命令にダルギスが剣を抜いて斬りかかる。アガム大臣が止めようとするがダルギスはすでにカズトの懐まで潜り込んでいた。
「魔王様の命を受けし我が剣で逝くがよい!」
ダルギスは容赦なくカズトの首めがけ剣を振り抜いた。カズトはその場を一歩も動けずダルギスの剣がカズトの首を通り過ぎた。その剣速はまさに目にも止まらぬ速さで剣には血の一滴もつくことはなかった。
「なにっ! ……」
しかしそれもそのはずダルギスの剣はカズトを斬ってはいなかった。平然と立つカズトにダルギスは困惑した。確かに剣はカズトの首を通りすぎた。普通なら首が落ち即死のはずなのだがカズトの首は斬れているどころかかすり傷一つついてはいなかった。
「貴様魔技の使い手か!」
魔技!・・魔族が使う魔法みたいなもの・・?・・です・・汗