05 いきなり王様に見つかった
「父上! 城に侵入していた魔国の密偵を捕らえました」
巨大な扉を女性は軽々と開けるとそこは大きな広間となっており、巨大な台座がありそこには女性が父と呼ぶ男が座っていた。とてつもなく大きな体をしていてその隣に付き人などが小人に見えるほどだった。しかしその男にカズトは見覚えがあった。
「えっ、竜王!」
写真などで見たことがあった。スキンヘッドに茶色い無精ヒゲを生やした巨体の男は間違いなく竜国の国王、サラマンド王。
「ということは……」
「我が娘フェミナよ、何事だ?」
「はい、偶然私の部屋にいたところを見つけ捕らえました」
「やっぱり竜国の姫! なら俺は姫様のおっぱいを揉めたのか……」
カズトは少し顔がにやけ、小さな声でつぶやいたがフェミナ姫の耳にとまり、
「安心しろお前は後でじっくりと私直々に尋問してやる」
フェミナは唇の端を持ち上げ殺意のこもった笑みを見せた。
「魔国だと……何故魔国が!」
「分かりません。しかしこれは明らかに我が国への侵攻が目的のはずです」
「まさかシャウロが我が国に……」
「魔王の息子のオシリスは好戦的な男です。恐らくはその者が差し向けたのでしょう」
竜王の隣りにいる青髪の長髪の長い剣を腰にさした男が言った。
「スイリュウ殿、この者の取り調べは是非私におまかせください」
「ウム、フェミナよそやつからできるだけ情報を聞き出すのだ」
「はっ!」
フェミナはカズトを見て嬉しそうに鎖を引いて行く。
「ちょっと待った!」
部屋を出される前にカズトは竜王に向けて言った。
「いいのか、俺にこんな扱いをして。俺はスパイなんかじゃなくて、この国に同盟の挨拶をしにに来たんだけどな」
「貴様いい加減なことを言うな!」
フェミナは鎖を強く引きカズトは床に倒れる。
「本当だ。疑うのなら俺のポケットに魔王からの手紙が入っている。それを見てくれ」




