25 契約成立
目を覚ますとカズトの視界に隣で添い寝しているリンイの姿が飛び込んできた。それも上には何も着ずに首からタオルを一枚かけているだけだった。
「もう起きたの?」
しかも目を開いてずっとカズトを見つめている。
「ああ、どれぐらい俺は寝てた?」
カズトは真っ青になって飛び起き、自分が服を着ているかを確認した。
「全然。ちょうど二人もお風呂を出たばかりよ」
「そうか……リンイさっさと服を着ろよ」
部屋にはキレイになった二人の姿があった。服はリンイのものを借りたようでシュベルコスは少し大きな長シャツを着てカゲロウは何故かスーツ姿になっていた。
「一応聞くけどシュベルコスお前も俺たちの仲間ってことでいいよな」
カズトは早速自分の目的のために仲間を集めていることを話し。そしてシュベルコスに仲間になるのかを確認した。
「バカ言え! 僕は青の騎士団だぞ! 魔国の悪魔の仲間になんてなるもんか!」
「青の騎士団?」
「竜国にある騎士団の一つよ。お堅い連中で半魔族派の連中の集まりよ」
「へー、まあいいや。じゃあお前はその青の騎士団とやらをやめて俺の仲間になれ」
「僕は死ぬまで青の騎士団だ! お前の仲間に何か絶対になるものか」
シュベルコスは頑なにカズトの誘いを断る。
「そんなこと言って青の騎士団は仲間のお前の事助けなかったじゃないか。本当に仲間なのか?」
「違う! 皆は僕の無実の証拠を集めるために動いてくれている。お前らが侵入してこなければうまくいっていたのに!」
「その自信はどこから来るのか、まあいい。だったら青の騎士団の所に帰れよ」
「えっ……それはできない、仲間に迷惑がかかるし……」
「何だ? じゃあリンイの部屋にずっと住まわせてもらうつもりか?」
「そんなことは言ってないだろ!」
「そうか、そうだな。やめておいた方がいい危険だからな」
カズトはホッとした。いくらリンイが男とはいえ年端もいかない子供と一つ屋根の下に暮らさせるのは問題がありすぎる。
「うーん、こうしたらどうだ。俺はこの国のスパイだから、お前の敵ってことになるが。情報を手に入れるまでは仲間で情報収集が無事に終わったら魔国に行く前にお前と決闘してやるよ。お前が仲間になってくれれば情報収集もはかどるし無駄な怪我人を出さずに済む。その後で決闘で俺に勝てればその手柄でお前の罪を許してくれるかもしれないぞ!」
「おお、それなら僕は堂々と青の騎士団に戻ることができる!」
「じゃあ、そういうことでいいな」
「ああ、約束はちゃんと守れよ!」
「よし、契約成立だ」
やはり子供だな言いくるめやすい、カズトはニマニマと笑みを浮かべる。




