19 牢屋では静かにしましょう
「何故魔国の者がこの国にいるんだ! それも囚人を仲間にするだとふざけるな! 囚人を開放していいわけがない魔国のスパイめ! ここを開けろ! 成敗してやる!」
シュベルコスは中から扉を叩き出した。
「成敗って」
「あー、もううるさいわね。カズちゃん鍵を貸してちょっと黙らせるから!」
「あっ、おい」
リンイはカズトが握っている鍵を取りシュベルコスの部屋の鍵を開けると同時に殴りつけた。
「うるっさいのよ! 看守にばれたらマズイって言ってんでしょうが!」
「うわっ、落ち着けリンイ! お前の方が声がでかいって」
「よくもやったな……この魔国の悪魔め!」
リンイに殴り飛ばされたシュベルコスが痛そうに手のひらで頬を抑える。
「はあ? 私が悪魔? 天使の間違いだろうがゴラァ!」
拳を鳴らしながらリンイがシュベルコスに近づいていく、するとリンイは拍子抜けしたように握っていた拳を緩めシュベルコスを指差して言った。
「何よコイツ、……子供じゃない」
その言葉にカズトも確認するようにシュベルコスを覗き込んだ。
「えっ……子供?」
「うるさい子供っていうな!」
「何言ってんのよ。お母さんはどうしたの坊や」
カズトはリンイの言っている言葉の意味が理解できなかった。
何故ならシュベルコスは確かに幼い顔つきだったが体の大きさ、身長がカズトと同じぐらいあったからだ。もしカズトと同じ十七歳の人を子供だと呼ぶとしてもリンイはカズトと出会った時からそう言う呼び方をしなかったため何故シュベルコスの事を子供と呼ぶのかカズトには理解できないでいた。
「お前らいい加減にしろよ! 敵国の分際で竜の民をなめるなよ!」
シュベルコスは両手の手の指を綺麗に揃え体の前に構えた。
「なあリンイなんでコイツが子供なんだよ?」
「えっ? だって子供じゃない」
「いや、だって俺と同い年ぐらいだろ」
「カズちゃんは年いくつだっけ?」
「十七だけど……」
「じゃあこのガキはカズちゃんの半分くらいの年齢よ」
「!?……」
カズトは驚いてシュベルコスを見直した。
「馬鹿にするな! 僕はもう九歳になっているんだぞ!」




