18 脱獄は静かにしよう
「えーと、もう一人はシュベルコスだったな。そいつで最後に出来るといいんだが」
「おい、まだ仲間がいるのかよ。こっちは早く自由になりてえのに」
バンウは舌打ちして文句を言った。それも仕方がないことだ。真夜中の刑務所でいつ看守に気づかれるかも分からない状況だというのにカズトにはあまり急ぐ様子が無かった。
「で? どんな奴なんだシュベルコスとか言う奴は」
シュベルコスの部屋の前でカズトは鍵を合わしていく。
「俺が紹介しておいてなんだが真面目な正義ちゃん野郎さ、ようするにバカってやつだな。この状況では出したくない人種だぜ囚人を脱走させるのを見逃してくれるとは思えないからな。それにアイツは声がでかい」
「おっ、これだ」
バンウの警告を無視してカズトは部屋の鍵を開ける。
「いきなり飛びかかってきたりしないよな」
カズトはリンイやカゲロウに振り返り聞いてみる。
「じゃあコイツに開けさせましょうか」
リンイはバンウを指差すとバンウは慌てて断った。
「勘弁してくれ、俺なんかが会ったら即座に斬られちまうよ。話をするどころじゃなくなるぜ」
「斬る? 武器なんかないでしょ。つーかそんなやばい奴ならなおさらアンタがいきな!」
バンウの胸ぐらを掴むとリンイは軽く持ち上げてシュベルコスの扉に押し付ける。バンウは抵抗するがリンイの腕力の前には成すすべも無かった。
「誰だ! 誰かいるのか」
部屋の中から囁くように声がした。
「あっ、えーとアンタがシュベルコスか」
「ああ、そうだ! お前たちは何だ? 何故ここにいる?」
「仲間探しに来たんだアンタや他の処刑囚も仲間に誘っているんだ。どうだ良かったらここを抜け出して俺の仲間にならないか?」
「なんだ? お前は何者だ青の騎士団の者じゃないのか!」
部屋の中でシュベルコスの声が徐々に高くなっていく。
「青の騎士団? 俺は魔国から来た者だ」
「なんだとー!」
シュベルコスは大声で怒鳴るように言った。
「わっ、バカ静かにしろ! 俺達は潜入してきているんだぞ。看守に気づかれたらお前をそこから出してやれなくなるんだろうが!」
カズトは慌ててシュベルコスに静かにするように言った。しかしシュベルコスはおかまいなしにしゃべり続けた。