17 イケメンが仲間入り
リンイは驚いて聞き返すがカズトはそのままカゲロウの牢屋の扉の前に歩いて行った。
「へへ、怖いもの知らずの坊やだね~、なあ姉ちゃん」
「気安く話しかけるんじゃないわよ」
下品な笑みを浮かべるバンウにリンイは冷たい目で言った。
カズトはカゲロウのいる扉を開けるといきなり目の前に立ち尽くすカゲロウを見て驚きのあまり思わず声あげてしまった。
「わっ! ん~~~~っ!」
悲鳴をあげぬよう急いで自分の口を両手でふさいだ。
「オラァ!」
リンイはすぐにカゲロウの扉を閉めた。そしてカズトの肩を軽く撫でて笑顔をみせる。
「もう大丈夫よ、落ち着いて」
カズトは大きく深呼吸をして息を整えた。
「はぁ、びっくりして心臓が止まるかと思ったぞ……もう少しで大声を上げて叫ぶ所だった」
「気をつけてくれよ、看守が来たら仲間もクソもねえからな」
「アンタ、ちょっとあいつに話を通してきなさい」
苛立ったようにバンウにカゲロウの牢へ行くようリンイは命令した。
「いや、もう一度俺が行くよ。大丈夫さっきは予想外のことに少し驚いただけだ」
心配そうな表情をするリンイをよそにカズトはもう一度カゲロウの部屋の扉を開けた。
「俺はカズトって言うんだが……どうだ俺の仲間にならないか?」
今度は同じ場所に立ち尽くすカゲロウにカズトは簡潔に言った。
「…………」
カゲロウは返事を返さず沈黙が続いた。
「コイツ言っている意味が通じているのかしら……」
「へへ、イカレ野郎に話なんて通じるのかね」
「うるさいお前は黙ってな」
リンイはバンウの足に蹴りを入れた。
「どうなんだ俺の仲間になってくれるのか?」
カズトはカゲロウを見上げたまま言い直す。
「……ああ、そうしよう」
静かな低い声でカゲロウはカズトの誘いを受けた。
「おお、意外にかっこいい声をしているんだな。それに思ったよりまともそうだ」
「あら本当ね、意外といい男かも……」
薄暗い牢屋の中でリンイはカゲロウの顔を確認しようと目を細めている。