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13 まずは塀を乗り越えよう
仲間の契を交わしたカズトとリンイは刑務所の裏側に周り壁を見上げた。
「リウイこの壁を登れる方法があると言っていたな、どうするんだ?」
「そうね、それじゃあカズちゃん私の背中に捕まってくれる」
カズトが捕まりやすいようリンイは体を屈めた。
「お前の長身でもこの壁を登るなんて無理だぞ」
「やーね、そんな事をしたら爪が傷ついちゃうじゃない。いいから掴まって」
カズトは良く分からないままリンイの肩に両手を掴むと、
「それじゃあ落ちちゃうわよ」
そう言ってリウイはカズトの両手をマフラーの様に自分の体に巻きつける。
「竜族はね竜技と言う特別な力で身体能力を強化することができるのよ。こんな壁並の使い手ならわけないわ」
リウイは気を入れるように息を吐いた。気のせいか足の周りがぼんやりと青く光り出した。
「はぁ~」
ゆっくりとリンイは膝を曲げていく、そして、
「はっ!」
掛け声と共にリンイは上に飛び上がった。物凄い脚力でカズトの重さなんて関係ないようにそのまま壁を飛び越えた。
「ふふ、簡単だったでしょ」
「すごいな竜族」
カズトは惜しみなくリンイを褒める。