きっと、君は欠けている私を愛せない。
文頭『きっと、君は欠けている私を愛せない。』(23分)
きっと、君は欠けている私を愛せない。そうやって君を振った。それからずっと友達以上親友未満。
私が先にしていたのに君はなんでもすぐに私よりも上手くなる。後出しジャンケンだ。
ため息をついて地面にあった石を蹴飛ばす。大好きだったサッカー、男子に混ざりながらも競り合って決めたゴールは今でも忘れられない。でも、無理になった。男子はがっしりと強くなっていくし、何より君がサッカーを始めたから。
転がる石は川に落ちて波紋を広げる。その揺れる水面を見つめていると、そこに人懐っこい笑顔をした君が入ってきた。
同時に平べったい石を渡される。小さい頃によくやった水切りをしようと言うのだ。
私は不機嫌な顔のまま、力いっぱい投げる。数回跳ねて石は川に隠れてしまった。君ははしゃぎながら石を投げる。私なんかよりもずっと多く石が跳ねた。嬉しそうな笑顔で沈む私に抱きついてくる。
負けることは嫌だけど、この顔だけは好きになってしまっていた。私は何も出来ないけど、見るだけならいいよね、と甘えてしまう。
だから今だけ少し、親友以上恋人未満。