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完璧な君は僕には眩しい  作者: 夏の芽
第二章-夏休み編-
5/8

◆母親な君

これは僕と彼女のたった一年間だけの恋の物語

7月28日

煌々と輝く太陽が昼間のグラウンドを照らしている。

夏休みに入って三日目、午前中は部活、午後はダラダラとゲームをする日常

今日も部活だ


カキーン

金属バットがボールを強く弾き返す、それは強烈なゴロとなって僕に飛んでくる。


「おっけ~い」

基本に忠実に、僕は補球し送球する。


「ナイスセカンド!」

そう声をかけるのはピッチャーの山岸(やまぎし) 加寿(かず)

小学生からのチームメイトで筋肉質、キャッチャーが似合いそうな体形だ、

だがエースで四番、いわゆるこのチームの要だろう


そして、中途半端と告げた張本人だ

でも”かずくん”はそれをあまり覚えていないらしく

次の日になれば普通に話しかけてきたので、僕もいつも通りの態度を取っている

でもその言葉は、時折僕の足を重く、重く、暗闇に引き込んでくる


僕は”かずくん”に応えるようにグッドマークを作り前に突き出す

守備は好きだ、ただ機械的にボールを処理したらいいだけ

努力と言う努力もしていないが僕は守備が取り柄だった。


ある程度練習が終わり、水筒を手にする

残りがかなり少ない


「僕、水を汲んできます」


僕は駆け足で体育館の隣にある給水機で水を補給する。

段々と水筒が重みを持ってゆく

補給中、近くの水道が目に映る、僕は汲み終わった後水道の蛇口を思いっきり捻り

頭から水を浴びた、帽子を被ってはいるが、それでも太陽の熱は抑えきれない

心地いい水が髪を伝って下に落ちていく、ついでに帽子も濡らし被ると、これはこれで最高だ


「都田くん、部活?」

声をかけられた方を向くと、そこにはバスケのユニフォームを着た霧宮さんが立っていた

肩にタオルを下げ、動きやすいように髪を後ろにまとめている

少し汗をかいていて、そこから光が反射している。

彼女は満面の笑みを向ける、それをさらに輝かしくするように太陽が霧宮さんを照らす

やはり、スポーツをした後の笑顔は誰でも素敵だ。それが好きな人ともなると

冷水を浴びたはずなのに、頭が熱い、全身が熱い

(ユニフォーム姿の霧宮さんも安定のかっこよさと可愛さ、良いものを見れた.....)

「あ、霧宮さん、そうだよ、部活の休憩時間」


「水も被っちゃって、でも気持ちいのはわかるよ~!」

そう言うと、霧宮さんは水道の蛇口を捻り同じように水を被った

そして、想像していたより水が冷たかったのか、すこし悲鳴を上げる


「ひゃぁぁ、冷たい、でも夏って感じがするね」

その少年のような笑顔に僕は射貫かれた

(これ以上霧宮さん見てると部活に戻れなくなる、まずい.....)


「ぼ、僕はそろそろ行かないと、じゃ霧宮さんも頑張ってね!」


僕は振り向き、駆け出す

その瞬間手首をつかまれた


「え、霧宮さん?どうしたの?」


「髪がまだ濡れてるよ?ほら、しゃがんで、いいから」


僕は言われるがまま、しゃがむ

帽子が頭から外される

そして後ろから、髪がタオルに包まれる感覚、まるで母親が小学生の頭を拭いてあげるような


「はい、もう大丈夫」


そう言うと、タオルの温もりが離される、僕は霧宮さんの方に振り向く

霧宮さんはタオルを頭にかぶっている、そして帽子を僕にかぶせる


「それじゃ、行ってらっしゃい」

そう言った彼女の笑顔は、まるで息子を見送る母親のようで

そんな母親な君の姿は、

やっぱりいつも僕には眩しい


僕は駆け足でグラウンドに戻る


「なんでそんなにニヤけてるん、明登」


(僕ってそんなにわかりやすいのか⁉)

「な、なんでもないよ」


--夜--

「こんにちは」

僕は扉を捻り、そう告げた

ここはダンススタジオ『TELL(てる)』、僕がダンスを習っているスタジオだ

週に一回、二時間だけ通っている

誰もいない受付に会員証を出し、更衣室に行き練習着に着替える

練習場に行くと既にレッスンが始まっていた

僕は平然と先生に会釈をし、レッスンに途中参加する。

ダンスは好きだ、唯一長く続いて楽しいと思える

このスタジオの中だと、僕は自分をさらけ出せる


-一時間半後-

レッスンが終わり、更衣室に戻る、そこには大人の女性が3人

ショートヘアで小柄な未菜みなさん、保育士らしく、いつも僕を小さい子供を見る目で見てくる

金髪ロングで身長が高くすらっとしている椿つばきさん、わかりやすい陽キャでいつも笑っている

黒い髪をポニーテールにしている細見の朝日あさひさん、一見おとなしいが、この人もだいぶ陽キャだ

名前だけなのは、僕が知らないから、と言うか知る機会がないからだ

レッスンでは基本的に、というか絶対に名前で呼ばれる、だから本人に聞かないとわからない


未菜さんが僕を認識すると口を開く

「明登、彼女できた?」


「はぁ?前も言ったけど、出来てねぇよ」


それを聞いて朝日さんが話に乗っかかる

「じゃ明登、好きな人は?」


「.....いない!いません~!」


「なんか間があった、いいな~青春してるじゃん」

と椿さんが横やりを入れる


「はぁ、僕は彼女を作る気ないから、期待するなら高校からにしてください」


すると三人が口をそろえて

「言ったな~?」


(ほんと、この人たち大人げない)

何故僕がこんなにもこの人達に対してため口な理由は.....


未菜さんがニヤリと笑う

「とりあえず、敬語使ったから罰金100円ね」


この謎の罰金ルールがあるからだ、でも口頭だけで実際に取られているわけではない

(....大人げない、でも優しいな)

このスタジオは9割年上の女性で構成されている、だから必然的に僕はかなりの距離を取ってしまう

だからあの人達は、なるべく友達のように接することが出来るようにしてくれている


椿さんのスマホから通知が鳴った

「あ、TeReal撮らないと、ほら明登突っ立てないでこっち来て」


(やっぱ前言撤回、やっぱり陽キャなだけかも)

この人達も、僕には眩しい

ご一読ぅ感謝ぁ!です!!

読者の皆様、中学校の部活何に入っていましたか?僕は小学校からやっていた野球部でしたね、僕も明登と同じ守備が取り柄でした、こう見えてオールラウンダーをしていたんですよ~!と言う自慢は適当に流してください。

さて、部活に入っている方も帰宅部だよっていう方も何かに夢中になれると言うのは、その人の才能で、魅力で、一番かっこいい姿を見せられる場所と僕は思っています。なんでもいいんです、ゲームでもアニメでもスポーツでも、夢中になれると言うのはそれだけで右に出るものはないほどの長所ですから

バカにされても嘲られても、夢中になれることを突き通せばいいんです。馬鹿にしてきたやつらはどうしようもないクズで暇人なんだかわいそうに、と哀れな目を向けてやりましょう

ではでは、また次回【◆ヒーローな君】にて再開いたしましょう!

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