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完璧な君は僕には眩しい  作者: 夏の芽
プロローグ
4/8

◆泣き虫な君

これは僕と彼女のたった一年間だけの恋の物語

6月22日

そろそろ暑くなってきたので、夏服の移行期間となった。

早朝、僕は教室の扉に指をかける


「おはよ、霧宮(きりみや)さ....?あれ、いない」


おかしい、いつもならこの時間に机で寝てるはずなのに、トイレにでも行ってるのかな?

でも鞄もない、とりあえず今日の掃除を終わらせてしまおう。


結局朝のホームルームが始まっても霧宮さんは来なかった

(どうしたんだろ、風邪?かな、)


予鈴が鳴った

午前最後の授業は国語、吉本(よしもと)先生の担当だ、

陸上部の顧問ですぐに怒鳴る怖い先生、部活中に一日10回は怒鳴っている

無論、遅刻や居眠りにも厳しい


「では、授業を始める、号令を....」

数秒の沈黙

「おい!号令するのは誰だ!」

吉本先生の怒号のみが教室に響く、みんなうつむいている


「先生、すみません、僕が号令係です、忘れていました」

そう言って立ち上がったのは”こうやん”、彼は号令係ではない

流石次期生徒会長といったところか


「起立、気を付け、礼」


その時教室の扉が勢いよく開く

そこには制服は着崩れ息を荒げ肩を激しく上下している霧宮さんの姿があった

「霧宮、なんで遅刻した」

そう告げた吉本先生の声のトーンは恐ろしく低い


「ごめんなさい、寝坊、しました」


「席に座れ、さっさとしろ!」

霧宮さんが席に座ったことを確認した吉本先生は霧宮さんの席に近づいてゆく

「お前は、学級委員としての自覚はあるのか?遅刻なんて(もっ)ての(ほか)だ、

お前が遅刻することで、クラス全体の授業進捗が遅れるんだ、わかっているのか?

自覚がないのなら学級委員なんてやめてくれ、迷惑だ

号令は松原がやってくれた、後で礼を言っておけ」


(....言い過ぎじゃないか?遅刻なら次からは気を付けろ程度で済んでいいだろ)

霧宮さんは、震えた声で答えた

「ごめんなさい、私の注意不足でした、もう二度としません.....」


それを聞いて満足したのか吉本先生は授業を進める

授業の雰囲気は最悪だった、クラスメイトはこそこそと霧宮さんの話をしている

先生の機嫌が悪いのは霧宮さんのせいだとか、寝坊なんてダサいだとか

霧宮さんの方を向くと、彼女はうつむき顔が見えない、しかし肩が震えている

そんな授業が終わり、給食になった

僕は片づけ当番であるため教室で待機している

霧宮さんは、うつむいて、とてもじゃないけど話しかけていい雰囲気じゃない

その後配膳し、食べ終わった


給食の時間が終わった直後、霧宮さんは走って教室を出て行ってしまった。

その横顔は今までに見たことないほど、暗かった

それを見ていただけの僕、追いかけて話を聞いてあげることもできた

だけど、僕なんかが追いかけていいのだろうか、

待っている時話しかけにさえ行けなかった僕が今更?

しかも、僕は片づけの当番だ、離れるわけにもいかない。


全員の食事が終わるまで校庭の方を眺めていた、ふと僕がいつも登校に使っている裏口が目に入る

そこにうずくまっている人影、たぶん霧宮さんだ。

そんな僕に声がかかる、”こうやん”と”ゆう”だ


「明登!片づけは俺と高矢がやるからお前は遊びに行ってていいぞ!」


「っと言うわけで、行ってきてあげて...あ、いや、後で体育館集合な」


「....!二人ともありがとう」

中途半端な僕でも、これを中途半端に終わらせたら一生後悔する

背中を押してくれる親友もいる。逃げる理由はどこにもない。

僕は駆け出した、優しい友達を持ったよ、僕は恵まれている。

だったら親友たちの期待に応えないと僕に親友を持つ資格はない。

階段を駆け下り、玄関から飛び出る。走って。走って。たどり着いたのは裏口近くにある木の下

そこに木を背もたれに自身の膝に顔を埋める霧宮さんがいた


僕は呼吸を整え、隣に座る

それに気が付いたのか霧宮さんは顔を上げこちらを見る

そのエメラルドグリーンの瞳は涙を含み輝いている、頬には涙が流れた跡が

僕と目線が合ったあと、すぐに視線を外されてしまった


「ごめん、かっこ悪いところみせちゃったね」

そう言うと無理に笑顔を作っている顔を上げた


僕は自然に出てくる言葉を喉に預ける

こういう時くらいかっこつけさせてもらう

「かっこ悪いなんて思ってない、逆にちょっと安心したよ、霧宮さんもおんなじ人間でちゃんと失敗するんだって。ちゃんと泣くんだって。

今までの霧宮さんはどこか遠い存在だって感じがしたけど、今はただの普通の女の子なんだなって。

だから完璧を演じなくてもいいんじゃない?」


「.....でも、私は完璧じゃないと、みんなに認めてもらえない、

今日もみんなに迷惑かけちゃった、だから、頑張らないと..」


「でも、霧宮さん、人間の言う完璧ってある意味不完全じゃない?」


霧宮さんは不意を突かれたのか困惑の表情を見せた

「え?」


「人間は完璧であればあるほど本音とか弱みを見せなくなって孤独になっていく、

孤独になってしまったら、もうそこで皆から認められなくなる」


「じゃあ、どうしたらいいの....もう、私わかんないよ」


「完璧じゃなくてもいい、弱みを人に見せてもいい、完璧じゃなくても、霧宮さんは霧宮さんだ

みんな認めてくれるよ、認めなかったら僕と僕の親友たちがなんとかするよ」


彼女の目が大きく開く


(やばい、かっこつけすぎたかな、なんだよ、霧宮さんは霧宮さんだって、そんなの当たり前じゃないか)


「あ、えっと、僕はこれで、あいつら待たせてるから」


「じゃぁ.....」

彼女はそう呟くと僕の肩を掴む、それを自身の方へ引き寄せると同時に、

背中に何かを当てられる感覚になる、少し振り向く

どうやら背中の感触は霧宮さんの額だ


「えっと、霧宮さん?大丈夫?」


「弱みを見せてもいいって言ったのは都田君だよ?責任取って」

そう言って僕の体をもっと寄せる

背中が暖かい、肩に乗った手は震えていなかった

ごめん親友達、遊びに行けそうにない

「......だよ」

霧宮さんは何かつぶやいたがかすれて聞こえない


何分たったのだろうか、グラウンドにいる生徒たちが教室に帰り始めた


「そろそろ戻らないと、遅刻しちゃうよ」

そう僕が告げると、ゆっくりと温かさが離れていく


「そうだね、ありがと、もう大丈夫!」

彼女は満面の笑みを浮かべる、それはいつも見る笑顔に比べ何倍も綺麗で輝いていた

風が吹く、髪がなびく。

心臓の音が酷く大きく聞こえる

やっぱり君は眩しい、完璧なんかじゃなくて、不完全だからこそ

この輝きは生まれるんだと、僕は納得した

君は僕には眩しすぎる

ご一読感謝いたします!!

さて読者の皆さん、人生で後悔を引きずっていることありますか?大抵の人は一つくらいあるはずです、ない人は普通に尊敬します、さて僕は後悔することが結構沢山あってですね、中学時代の親友を助けてあげられなかったり(親友は存命今も仲いいです)、初恋の人に気持ちを伝えられず、時間が経ってその子は遠い県まで行ってしまったり。齢十数年でもたくさんの後悔があります。なので高校のスタンスは即断即決で行ってました。

まぁ、努力と似たような話ですが後悔も人生の大事な彩だと思います、後悔や努力で人格は形成されていきますからね、後悔をしている人も、これからするであろう人も、後悔を後悔で終わらせないようにルイスと言う作家の言葉を残します【あなたは、さかのぼることも、始まりを変えることも出来ない、しかし、あなたは今いる場所から始められ、エンディングを変えることが出来る】

今回でプロローグは終わり、第二章へと移ります!

ではまた次回【◆母親な君】にて再開を心待ちにしております~

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