◆かっこよくて完璧な君
「お前って全部中途半端だよな」
夕方、部活帰りのある日のこと。僕は唐突にそう告げられた
さっきまでどんな会話をしていたんだっけ、いや、いまはそんな事どうでもいい、自分の心臓の音が鼓膜を直接叩くようにうるさい。
否定したかった、でも、心当たりがある。僕は全部中途半端だ、勉強も中の下、運動神経も同様。
特にこれと言った努力もせず、のらりくらりと生きてきた。だから、
言葉に詰まる、
「......ッ」
その沈黙のまま僕は逃げ出すように走り出した
僕は【都田 明登】今は中学二年生、いわゆる思春期と呼ばれる時期の真っただ中だ。
僕はいわゆる平凡人間、運動はそこそこで勉強もそこそこ、ダンスを習ってるけどエンジョイ勢だ。
そんな僕には、好きな人がいる。スポーツ万能で成績もよく、学級委員を務め、みんなに優しい。そんないわゆる完璧人間に僕は恋をしてしまった。
これは僕と彼女のたった一年間だけの恋の物語
◆かっこよくて完璧な君
(時刻:6;30)
「....もう朝?」
ボロボロのタブレットのアラームを止め僕は体を起こす、4月22日火曜日
始業式が終わり二週間ちょっと、そろそろクラスにも慣れてきた。とは言ってもほとんどが顔見知りのためすぐに馴染んだが。そんなことを考えながら制服に着替える、
「いってきま~す」
まだ誰も起きていない家のリビングに向かってそう告げると玄関を開ける、今日は風が強い。
とはいえ家が学校のすぐ裏にあるため裏口から入ると2分くらいで着いてしまうが、なぜこんなにも早起きなのかと言うと
「あ、おはよ霧宮さん」
僕は教室の扉を開ける、そして静かな教室の窓側の席に突っ伏している人に声をかけた
僕が早起きな理由、それは彼女【霧宮 明野】がいるから。
霧宮さんはほとんど寝ていたのか、「ふぇっ?」と間の抜けた声を出すと顔をこちらに向け、ふわふわとした口調で。
「ん~?あ、おはよ~都田くん」
と顔をこちらに向け手首だけを動かしこちらにひらひらと手を振っている
(え、なにさっきのふぇって声、可愛さで僕を殺しに来てないか?)
彼女は茶髪の混ざった黒髪のショートカットで、シンプルなヘアピンで片側を留めている。
「今日も早いね霧宮さん」
「私は学級委員だからね、みんなが来る前に掃除とか整理を済ませとかないと、ってそういう都田くんもなかなかに早いけど?」
「僕は家が近いからね、しかも22時には寝てるし、朝早くに目が覚めちゃうんだよね」
そう言うと霧宮さんは椅子の背もたれに体重を預け、大きく伸びをする。
窓から風が吹き込む、その風は彼女の髪をなびかせる。
その気持ちがよさそうな横顔は誰もが息をのんでしまうほど綺麗で繊細でかっこよかった
(可愛いとかっこいいって両立できるんだ、すげぇ)
「そっか、でも....」
彼女は聞こえるか聞こえないか程の声で囁く、そして窓の方を向く、その肩が震えていた、、
ように見えた
(え、今なんて言った?見惚れてて聞こえなかった)
そんな事を考えていると、霧宮さんがこちらを向く
「まぁまぁ、とりあえず座りな?」
と言いながら彼女は前の席を指さす
「え?あぁ、うん、お言葉に甘えて」
僕はさされた席に座った、すると肩をたたかれる
「って、なんで前向きで座るの!?普通黒板の方は向かずにこっちを向くでしょ!」
と彼女が肩をさする、最初は可愛いものだったが次第に痛みが増してくる。しばらく耐えると呆れたのか手が離される、やっと離してくれたと僕は霧宮さんの方を向こうと半身体を動かした、その時右肩を強く抑えられ壁に寄せられる、目と鼻の先、そこには霧宮さんの顔があった。透き通った肌に淡く輝くエメラルドグリーン色の瞳、それが小さく小刻みに揺れている。霧宮さんの髪先が僕の頬に触れる、まるで音がクジラに飲み込まれたのかと言うほどの静寂、ドクンドクンと二つの心音が聞こえる、一つは僕ので、もう一つは、言うまでもない、教室には僕と彼女の二人しかいない
(まてまて、この状況、いわゆる壁ドンってやつか!?)
霧島さんは少しむすっとした表情で、もっと顔を寄せる
「都田くん?そんなに私と顔を合わせるの嫌?」
「え?いや、その、えっと、嫌と言うわけではなくて、その、、、」
(本当にどういう状況だ?近いよ!なんでそんなかっこいいと可愛いが両立できるの!?n回目)
しばらくその状態が続くと突然霧宮さんは悪戯っぽく、くすっと笑うと
「な~んて冗談だよ、恥ずかしかったんでしょ?それくらいわかってるよ
いやぁ都田くんも思春期だね~」
「はぁ?違いますから~!断じてそんな風に思ってないから!」
すると彼女は目線をそらす
「そっかそっか、ごめんね?急に、忘れて~」
(いやいやいやいや、忘れられるわけないだろ、さすがにそれは無理だ。
本当に思わせぶりな態度はやめてくれ、
男っていうのはすぐに好きになってしまうから!ってもう好きになってたわ)
と自分でボケと突っ込みを終える
霧宮さんは用具箱へと向かうとほうきを二本取り出す、その片方を僕に差し出した
「よし!都田くんも来たことだし、一緒に掃除しよ?」
(時刻 7;48)
「うん、いいよ、って話してたら結構時間過ぎちゃってるね」
「でも二人でやるから大丈夫だよ、きっと」
そう言うと霧宮さんは視線を下へと向けゴミを掃いていく
僕はその姿をひどく見入ってしまう、そうだ僕が彼女に恋をした理由。
僕にはないこの真面目さ、ひた向きに努力する姿勢、みんなのために全力で頑張る姿。
僕が憧れて憧れて止まなかった姿、霧宮さんはそれを持っていた、だから僕は彼女を好きになった。
でも僕は中途半端野郎だ。
この恋は叶ってはいけない。
僕は彼女には見合わない。
「都田くん?どうしたの?考え事?」
急に声をかけられとっさに霧宮さんの方を向く
「ん?あ、ごめん、少し、」
風が吹く、今日は風が強い。開いている窓から桜の花びらが舞い込んでくる、かなりの量舞い込んでしまい床が落ち葉まみれになってしまった
霧宮さんは僕の顔を見ると、楽しそうに、満面の笑みで笑うと、僕の頭に手を伸ばす
「フフッ都田くん、桜の妖精みたいになってるよ?」
彼女は落ち葉を払いのける、その顔が僕には眩しかった
(これは、やっぱ敵わないなぁ、)
心臓の鼓動がうるさい、体がうまく動かせない
この恋は叶ってはいけない。
僕は彼女には見合わない。
でも、もし、運命が許してくれるのなら眩しすぎる君に好きだと言いたい。
自分が好きなラブコメはないかな~、そうだ作ったらいいじゃん。学校の長期休暇で絶賛暇人の私はそう思った。
と言うことで私の少しの経験と理想で作り上げたラブコメです。自己満ではございますが、自分が好きなものを伝えたい、と言うか何かしてないと将来への不安が僕を押しつぶしてしまいそうなので、ぜひぜひお付き合い願います
次回【◆スポーツ万能な君】にてお会いしましょう




