第5話 新しいスキルの実験です
早速試してみたいが、万が一に備えたいからMPが完全回復する迄調薬セットを試す事にしよう。という訳でやってきました宿屋。場所はまた人に尋ねました。
「旅人の方ですね。1泊100Gになります。1泊は旅人の方達の1日となります。如何なさいますか?」
旅人の時間という事はリアル時間という意味だろう。
「お願いします。あ、室内でやっちゃいけない事ってあります?」
「やってはいけない事ですか?そうですね、家具を壊したり火事になる様な行為は控えてほしいですね」
「分かりました」
俺は鍵を受け取り室内に入り早速調薬セットを取り出した。セットの内容は乳鉢に魔法のビーカー、熱する為の台に魔法のアルコールランプだった。アルコールランプは蓋を取れば火が付き閉じると消える。ビーカーは説明によると此のビーカーで薬を作ると、ビーカーが消滅したりせず中の薬が瓶詰め状態の薬になるらしい。セットはどうやら全て破壊不可の物らしい。
セット内容を一通りチェックしたが今必要なのは水だな。最初は【ウォーター・バレット】をと考えたがすぐに無いなと考えた。先程、受付から家具を壊すなと言っていた。セットは破壊不可アイテムみたいだから大丈夫だろうが家具は壊れるかもしれない。未だ弱いとはいえ【ウォーター・バレット】は攻撃魔法だどうなるかは分からない。
という訳で宿の人に水が欲しいと尋ねると、裏の井戸を好きに使って良いと言われお言葉に甘えた。
桶に水を入れ部屋に戻った。早速セットを試してみる事にした。乳鉢に薬草を入れて潰す、よ〜く潰したら全部ビーカーの中に入れる。ビーカーの中に水を入れよく混ぜて、火に掛けながら時々混ぜる。そして沸騰するとポポン!と音を立ててビーカーの中に3本の試験管が入っていた。見るとちゃんとポーションが出来ていた。
「レッサーローポーション?えっと……"ローポーションよりも劣ったポーション。擦り傷程度しか治せないし、飲まなければ効果を発揮しない"っか」
名前とアイテムの説明から、此れが店で買ったポーションより劣っている事はすぐに分かる。劣っているのはスキルが無いからだろうか?其れとも作り方が違うのだろうか?
次は作り方を変えてみよう。まずは根本、真ん中、葉先と切り分ける。其れを3枚分作り、今回は根本で試してみる。根本3本分の薬草を乳鉢に入れてしっかり潰すビーカーに水と潰した薬草を入れ、アルコールランプでも火加減調整が出来たので弱火でじっくりと煮詰める事にした。さっきより時間が掛かったがポーションが出来た。出来たポーションの数は減って2本だけだが先程のレッサーローポーションではなくローポーションだった。
次は魔素草を試してみる事にした。最初は1本丸々使って作ると、予想通りレッサーローマジックポーションが出来た。そして根本3本分だけで作ると此れまた予想通りにローマジックポーションが出来た。出来る数はどちらも同じみたいだ。店で買える数に違いがあるのは、自生している薬草の数や入手難易度が違うのかな?とか考察してみるが、とりあえず今ある物を全部ポーションにしてしまおう。他にも色々試したいが数もあまり無いし其れは今度にしよう。という訳で薬草10本をレッサーローポーション12本、ローポーション12本。魔素草10本をレッサーローマジックポーション12本、ローマジックポーション12本出来た。草の真ん中部分でもローが出来たおかげで思った以上に出来た。先端の方ではレッサーしか出来ないみたいで要研究って感じだ。
時間も其れなりに経ち、MPが完全回復した為森へ移動しようとした其の時だった。
【スキル調薬Lv1を習得しました。】
「え、嘘!?マジで!?」
今日1の声が出た。生産スキル習得は完全ランダムの筈。其れとも調薬は生産じゃなくて其の他スキルなのだろうか?あ、でも言語力スキルを入手した時には【条件を達成した】とあった。という事は、やっぱり調薬は其の他ではなく生産スキルなのだろう。スキルを確認したが補正値が他のスキルとは桁違いだった。他のスキルは+1とか+2だが此れはINTとDEXが共に+10されている。習得がランダムだからだろうか、多分生産系スキルは全体的に補正値が強いんだろう。
「まさか、ゲーム攻略の鍵は生産スキル!?……って、んな訳ないな」
セットを片付けて部屋を出て、鍵を受付に預けて外に出た。受付のお姉さんからは、リアル時間で1日経つ前に戻れば代金を支払わなくて良いらしい。
短剣を試してみようと東の森へおっとり刀でやってきた俺だが、最初に始めたのは魔素草を中心とした採取だった。何しに来たんだよ俺、と思わなくないが魔法職である俺にとってMPは重要=MPを回復する魔素草は超重要なのである。と、何処に言い訳しているのか自分でも分からないが、今は採取しながらエネミーを探している。
魔素草が1スタック、薬草が2スタック其の他幾つか採取しているととうとうエネミーと出会った。緑の体色に幼児の様な体格そして武器は石の片手斧。つまりはゴブリンだ。まあ今迄も戦ってきたが。
俺には此れと言って得意なゲームは無い。今ではレトロゲーと呼ばれている様なオフラインのTVゲーム其れもRPG系なら未だしも、其れがオンライン対応の対人ゲーとかになれば話は大きく変わってくる。事実、俺は真司と何度も対戦しているが偶然で勝つ事はあっても、実力では1度も勝った事が無い。対戦だけでなく狩りゲー等で何度も協力という名のお手伝いをしてもらった事がある。其の時にあいつから口酸っぱく言われている事がある。其れは基本中の基本だが敵を見る敵の動きを覚えろと。
俺のサブ武器の短剣を構えゴブリンに近寄った。相手はスライムと並ぶ最弱エネミーの一種ゴブリン。だと言うのに異常な位に心臓が脈を打っているのが分かる。ゴブリン攻撃をしてきて避けようとするが、避けきれずに攻撃を喰らってしまう。
「ヒール!」
即座にヒールを掛けて傷を治した。其れを何度も繰り返した。縦攻撃に横攻撃、斜めにジャンプ攻撃と動き自体は単調だが、元々下手の横好きである俺。狩りゲーでも数十分掛けてもエネミーの動きを覚えられず結局はアイテムと装備を充実させゴリ押しして何とか勝った位だ。つまり今回も。
「ヒール!ヒール!ヒール!」
こうして何度も回復する事になった。ただ、5分位戦っていると、相手の動きを覚えて躱せる様になってきた。何度も躱していると苛立ったのかゴブリンが大振りの縦攻撃繰り出そうとした時。
「スラッシュ!!」
其処に出来た一瞬の隙を見逃さず、ゴブリンの首を横から短剣で突き刺し、そのまま切り裂くとクリティカルが発生した。死に際ゴブリンは叫び声を挙げポリゴンとなり消えた。
「武器やスキルは通用するな。後、急所に当たればクリティカルが出ると……まあでも、今は短剣から杖に持ち帰る必要があるようだな」
木々が激しく動いた。
「エアー・ウォール!」
向かって来た2本の矢は風の盾に阻まれて地面に落ちた。落ちると草むらから3匹、木の上に2匹のゴブリンが現れた。
「アーチャーが2、メイジが1、通常が2か。此れはマジでやらないとな」
此の森の浅い所には三種類のエネミーがいる。スライム、ウルフ、そしてゴブリン。
スライムは魔法を使うが攻撃力防御力が低く1匹で行動しているので弱く1人でも容易に倒せる。
ウルフは約5匹程で群れをなす。魔法は使わず連携が上手く、1人での対処は難しいが出来ない訳ではない。
ゴブリンは単体での攻撃力はウルフに劣る。だが、最大の特徴は多種多様な武器を持って群れをなす。前衛と後衛に分かれ連携だけならウルフ以上であり、群れのゴブリンは1人で相手するのは其れなりに難しい。
「難しいけど……ライト・レーザー!ライト・レーザー!」
1匹に【ライト・レーザー】着弾後、リキャストタイムが切れた直後にもう1匹へ叩き込み当たった。
リキャストタイム。魔法やスキルを使用後、もう一度使う迄の待ち時間。
【ライト・レーザー】が当たった2匹は足を滑らせたのか木から落ち消滅した。どうやら、運良く頭から落ちた様だ。
「ラッキー、アーチャー撃破!次!」
何度も戦って魔法について分かった事がある。其れは、リキャストタイムは約0.1秒、其れも魔法が何処かに着弾後に発生すると云う事だ。此れは今使っている【ライト・レーザー】だけでなく攻撃魔法全体に言える事だ。防御魔法は相手の攻撃で耐久力が0になり壁が無くなったら、リキャストタイムが発生するみたいだ。
其れは置いておいて今は残りのゴブリンだ。ゴブリンメイジが火球を放つと、2匹のゴブリンが左右に分かれてこちらに向かってきた。
「ウォーター・ウォール!ダーク・ミスト!ダーク・ニードル!」
【ウォーター・ウォール】でメイジの火球を防ぎ、ダーク・ミストと【ダーク・ニードル】を発動した。
ダーク・ミストの正体は黒い霧、効果は俺から約半径3mに散布し、其の中に入った相手を盲目の異常状態にする。
メイジは火球を防がれると何故か狼狽えていた。俺に防がれた事に対して驚いていると云うよりも、俺が其の場から動かず2匹のゴブリンが俺に攻撃出来ていない事に驚いている様だ。ゴブリン達はミストで盲目になり、ニードルを踏んで転びスリップダメージを受けて痛みから呻き声を挙げた。
「ファイヤー・バレット!ファイヤー・バレット!」
俺は2回【ファイヤー・バレット】を放ち、合計4発の火球をゴブリンメイジに当て撃破した。未だダーク・ミストで発生させた霧が晴れていないが、大体の予測し右に居るゴブリンへ【ストーン・バレット】を何度か放ち撃破した。右ゴブリンを撃破し終えるとダーク・ミストが晴れ、効果が切れたのか目を擦り俺を確認すると武器を構えてこちらへ向かって来た。
「エアー・バレット!」
【エアー・バレット】には突進力は有るが攻撃力は無い為倒す事が出来ない、しかし攻撃が当たるとゴブリンは後方に少し下がった。ゴブリンは体制を崩したから、俺はそのまま畳みかけた。
「ライト・レーザー!ライト・レーザー!」
2回の【ライト・レーザー】で最後のゴブリンを倒す事が出来た。此れでゴブリンの群れを討伐する事が出来た。
【ライト・レーザー熟練度2が熟練度3に上がりました。ヒール熟練度1が熟練度2に上がりました。MPを一定以上消費した為MPが+5されました。】
熟練度が上がったのは【ライト・レーザー】だけで、MPが上がったみたいだ。今回の消費MPは約4割みたいだ。レッサーローマジックポーション2本で全回復出来るが、やっぱり戦闘は疲れる。だが、ゲームを始めてから約4時間半、つまり現実では約1時間半と云う事になる。
「マジか……リアルではたった1時間ちょっとで此の疲労感かや……ヤバいな此のゲーム……」
確か真司は自称30時間ぶっ通しでWLOをプレイしてるんだよな?流石廃人、俺には無理だな。そう云えばそろそろお昼か、手に入れたアイテム売ってから休憩を兼ねた昼食にしよう。
「全部で300Gになります。ありがとうございました」
調薬スキルで使えそうな物以外を売ると、大した金額にはならなかった。まあ、仕方がないな。其処で1つ思い出し受付のお姉さんに作ったポーションを渡した。
「すみません、此れって買い取れますか?」
「ポーションですか?確かに買い取れますが、買取金額は精々お店で売られている半額位になりますね。高額で御売りになりたいなら、旅人同士での取引をなされるか、売買の館で取引なさった方が良いと思います」
「売買の館?」
「はい、確か旅人の皆様は商人ギルドと話していたと思います。場所は此処の隣です」
お姉さんから売買の館について色々話を聞くと、如何やら其処は本当に商人ギルド的な役割の場所らしく、採取品や生産アイテムの買取、ギルドホームや自宅の売買に借家、お手伝い用NPCの派遣等々出来るらしい。
「分かりました。じゃあ、其処で買い取って貰います」
「あ、後お金に困っているなら彼方の掲示板に依頼書が幾つか有ります。其れを受ければエネミーからのドロップ品だけの買取より稼げると思いますよ。勿論稼げるか如何かは貴方様の実力次第ではありますが」
「分かりました。ありがとうございます」
掲示板の依頼は気になるが今は売買の館事商人ギルドに行こうか。外に出ると確かに隣には冒険者ギルドと同じ位大きな建物が在る。気が付いては居たが、此処が商人ギルドだったとは……もうちょっと此の街を見た方が良いと再認識した。中に入ると冒険者ギルドや図書館とは全く雰囲気が違った。冒険者ギルドが酒場、図書館はやっぱり名前通り図書館って雰囲気だが商人ギルドは銀行って感じだ。取り敢えず、買取場所が分からないので目の前に居る受付のお姉さんへ話し掛ける事にした。
「すみません、此処で生産アイテムの買取を出来ると聞いたんですけど。何処で出来ますか?」
「いらっしゃいませ。はい、此方で承ります。其れでは、商品はどの様な物でしょうか?」
「ポーションです」
「畏まりました。ですが、生産アイテムは出来次第で値段が大きく左右されます。其の事を善く善くご理解下さい」
「分かりました。アイテムは此れです」
俺はレッサーローとローのポーションと1つずつ取り出した。
「拝見致します」
お姉さんはポーションを手に取り色々確認し始めた。見た目で恐らく色を、蓋を開けて臭い、少量手に取り舐めて味若しくは効果を確認した。全てを確認し終えると蓋を閉めて此方に向き直った。
「ポーションは全体的に足りておりませんし此方は品質も良い、なので此方のローポーションとレッサーローポーションは少し色を付け1つ価格は24Gと15G。此方のローマジックポーションとレッサーローマジックポーションは、マジックポーションは貴重で販売されている物より品質が良いので倍の価格でローマジックポーションは1つ40Gでレッサーローマジックポーションは1つ30Gで如何でしょうか?」
正直言って買取金額に驚いた。確かに冒険者ギルドのお姉さんから商人ギルドの方が高く買い取って貰えると聞いていたが、HPポーションが販売価格と同じでMPポーションが販売価格の2倍になるとは思ってもみなかった。
「其れでお願いします。じゃあ、10本ずつでお願いします」
「畏まりました。其れでは清算金をお持ちしますので暫くお待ち下さい」
少し待つとお姉さんがトレーにお金を載せて戻って来た。トレーは木製では無いから何と言えば良いのか分からないが、唯あれが良い素材で出来た物何だと云う事だけは分かった。
「レッサーローポーションが10本で150G、ローポーションが10本で240G、レッサーローマジックポーションが10本で300G、ローマジックポーションが10本で400G。合計1090Gになります。ご確認お願い致します」
お金を数えると確かに1090G分有った。其れを仕舞い商人ギルドを後にし宿へ戻りログアウトする事にした。
・主人公現在ステータス
MP:115(+10)
SP:100
STR:8 (+3)
VIT:4 (+1)
MAG:10 (+5)
RES:4 (+1)
AGI:9 (+4)
DEX:12 (+11)
INT:26 (+25)
LUK:2 (+1)
所持金:3465G
火魔法Lv1
水魔法Lv1
土魔法Lv1
風魔法Lv1
回復魔法Lv1
光魔法Lv1
闇魔法Lv1
杖術Lv1
語学力Lv10
短剣術Lv1
調薬Lv1
・魔法
火:ファイヤー・バレット熟練度2、ファイヤー・ウォール熟練度1
水:ウォーター・バレット熟練度1、ウォーター・ウォール熟練度1
風:エアー・バレット熟練度1、エアー・ウォール熟練度1
土:ストーン・バレット熟練度1、ストーン・ウォール熟練度2
光:ライト・レーザー熟練度3、ライト熟練度1
闇:ダーク・ニードル熟練度1、ダーク・ミスト熟練度1
回復:ヒール熟練度2
・武技
スラッシュ熟練度1
・装備
初心の杖 MAG+2、MP+10 耐久値無し
旅人の服(上下) 耐久値無し
初心の短剣 STR+2、AGI+1 耐久値無し
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