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第11話 ゲーム2日目です

 朝になり俺は起き上がった。何時も通りの朝のルーティーンを行い、2時間後部屋に戻ってWLOを始める準備を行った。

 そう云えば美紅が朝から何処かに出掛けて行ったが、友達と遊びに行ったのだろうか?こんな朝早くからなんて珍しい。

 俺はWLOへログインする前にネットで攻略サイトを探した。無いかと思っていたが早々に見つけて自分の知らない情報は無いか確認し其の後ログインした。


 「さて、今日は魔法の熟練度上げるか。あっでも其の前に……」


 俺は手持ちや部屋に置いて在るアイテムを確認した。全部のアイテムを売った訳でもなし、まだ試していないドロップアイテムも有る。だから結構有るんだよなぁ。此れ等全部手持ちに入れたらかなり重くなるよなぁ。

 アイテムを手持ちのアイテムボックスに入れる事は出来るが、入れられる量には限界が有り限界迄持つと走れなくなるどころか碌に歩くのも難しくなる。昨日も薬草やマンドラゴラを大量に持っていた時に歩くスピードが遅くなった感じはしていたので、宿の部屋にアイテムを置いていた。


 「さて、どうしようかなぁ。部屋はリアル時間で大体2時間後に引き払わないといけないし……あっ!」


 俺はついさっき迄見ていた攻略サイトの情報を思い出した。其れは有料でアイテムやお金を預かってくれる施設が在るのだ。其れが【供託の館】通称金庫。

 其れにしてもついさっき迄見ていたのに忘れるなんて俺も結構アホだよなぁ。

 そんな訳で宿を引き払いアイテムを全部持って金庫へ向かった。


 「そう云えば、場所何処だっけ?ファティシアにも金庫は在るらしいけど……場所確認するの忘れてた……其れにしても殆ど走れないな……」


 攻略サイトの情報によると走れる距離はSPによって変わり、アイテムを持てる量はSTRによって変わるらしい。其れで今の俺はと言うと、手持ちの空きま()だ有り持てるがもう半分以上は持っている為余り長い距離を走れず直ぐにバテる感じだ。

 其れから1時間程走っては歩きを繰り返し目的地に到着した。


 「やっと到着した……此処が供託の館か」


 見た目はギルドや商人ギルドと大きく変わっていなかった。俺は館へ入り受付へと向かった。


 「すみません、手持ちのアイテムを預けたいのですが」

 「畏まりました。其れでは、担当の窓口迄ご案内致します」


 俺は受付の女性NPCに案内してもらい窓口へと向かった。


 「此方が窓口になります」

 「ありがとうございます。あの、手持ちのアイテムを預けたのですが?」


 窓口のNPCは男性で淡々と説明を始めてくれた。

 

 「いらっしゃいませ、当館は初めてですね。説明を受けますか?」

 「お願いします」

 「畏まりました。当館は旅人の方々のアイテムと金銭を預ける事が出来ます。預かったアイテム等は責任を持ってお預かりします。預けられるアイテムや金銭には限りは御座いません。然し、預けるには金銭が必要です。金額は1日1000G、1ヶ月3万Gになります。預けたい日程によって金額も変わりますのでご注意下さい。説明は以上になりますが何か質問は有りますか?」

 「えっと……じゃあ、先ず預けた後に更新のお金が払えなくなったら如何なるんですか?」

 「はい、其の日の内であれば預かっているアイテムと金銭を全てお返しします。ですが、翌日になれば自動的に全て処分されます」


 其れを聞いてマジか!?と驚いた。そう云う大事な事は訊く前に言っておいて欲しかった。


 「あっ後、預けた其の日の内に追加でアイテムやお金を預けたら其の分の料金は必要ですか?」

 「いいえ、其の場合は必要有りません」

 「分かりました。其れからプレイヤじゃなくて旅人が死亡した場合預けたアイテムやお金は如何なりますか?」

 「其の場合、死亡が確認出来た段階で全て処分されます」

 「分かりました。其れじゃあ、此のアイテムを3日間預かって下さい」

 「畏まりました」


 俺はポーションと薬草系、調薬セット以外のアイテムを預けた。金は抑々(そもそも)少ないので預けない事にした。

 俺は金庫を後にして此れからの事を考えた。

 一番の問題は金だ。所持金は金庫に来る前の約半分、金庫に預けるには1日1000G、1ヶ月で3万1年なら36万G掛かる。俺が日で稼げるのはエネミー討伐だけなら数千G、製作したポーションを売った場合は大体5~6千Gだ。勿論エネミーは討伐する数を増やしたり、製作するポーションを増やせば稼げる額は増やせる事が出来る。まあ、どれだけ時間が短縮出来るか、どれだけ集中力が続くかが問題だろうな。

 シンジ達に1日でどれだけ稼げるのか訊いてみるのも良いが、正直言ってあの廃人ゲーマー達と俺は全然違うから殆ど参考にならないだろうな……


 「よし、兎に角金稼ぎをし乍ら強化するか」


 俺は杖を構えて東の森へ向かった。

 正直言ってエネミー討伐だけでの金策を行う事は俺には無理だろう。けれど、強くならないと真面に金策も出来ないからな。其れに俺は基本的にソロプレイだから、せめてあのボスゴブリンをソロで倒せる位には強くならないとな。

 最初に戦うのは此のフィールドの代表エネミーであるゴブリンだ。複数出現したゴブリン達は全員近距離系みたいで走って襲って来た。


 「ファイヤー・ウォール!」


 俺は反撃せずにガードした。何故、反撃しないのか、其れは俺の魔法スキルをレベルアップさせる為だ。

 ネットで仕入れた情報では、魔法スキルのレベルアップには覚えた魔法の熟練度を一定以上上げないとレベルアップしないらしい。俺の魔法は攻撃系で一番熟練度が高いのは【ファイヤー・バレット】と【ライト・レーザー】其れと【ストーン・ウォール】。どの位熟練度を上げたらレベルアップするのかと云う情報は載っていなかった。載せなかったのか分かっていないのかは分からないが、【ファイヤー・バレット】と【ライト・レーザー】其れと【ストーン・ウォール】は熟練度3の為最低でも他の魔法も其の位上げなければいけない。だから、俺の魔法の中で1番低い魔法は防御系魔法。先ずは其れ等の魔法を上げなくては。

 俺は10回程【ファイヤー・ウォール】を発動させゴブリン達の攻撃を防御した。そろそろ良いかと思いゴブリン達の足元に【ダーク・ニードル】を設置し【ウォーター・バレット】で攻撃した。何度か【ウォーター・バレット】で攻撃しゴブリン達の足元に設置した【ダーク・ニードル】でダメージを受け倒した。


 【ファイヤー・ウォール熟練度1が熟練度2に上がりました】


 「よし!流石熟練度1低レベルなだけあってレベルアップが早いな!でも流石に熟練度2以上にもなればレベルアップに時間が掛かるな……でも、此の調子でやっていくしかないな」


 俺は其の後、ゴブリンやスライム達等の雑魚モンスターで熟練度のレベルアップを行った。やり方自体はさっきと何も変わらない。一番熟練度が低い防御系の魔法を発動させ【ダーク・ニードル】でスリップダメージを狙い一定以上防御系魔法を発動させたら【ファイヤー・バレット】と【ライト・レーザー】以外の熟練度2の攻撃魔法で攻撃して倒した。


 【ウォーター・ウォール熟練度1が熟練度2に上がりました。エアー・ウォール熟練度1が熟練度2に上がりました。ウォーター・バレット熟練度2が熟練度3に上がりました。ダーク・ニードル熟練度2が熟練度3に上がりました】


 2時間位だろうか?何とか【ストーン・ウォール】以外の防御系魔法も熟練度2へ上がった。其れと何度も使ったからか【ウォーター・バレット】の熟練度も上がった。其れからも何度か発動させたが、防御系魔法は熟練度が上がるにつれて如何やら盾の耐久力と発動時間が伸びるみたいだ。其れ自体は別に構わない。寧ろ戦闘に関しては願ったり叶ったりだ。けど、あくまでも熟練度上げをしている今では正直言って面倒くさい事この上ない。

 防御系魔法のリキャストタイム自体は攻撃系魔法と同じだ。けど、問題なのはリキャストタイムが発生するタイミングだ。攻撃系は発動した魔法が当たったり【ダーク・ニードル】みたいな発動時間が切れたら発動する。しかし防御系は発動した盾の耐久値が削られるか発動時間が切れるかの何方かでないとリキャストタイムが発生されないのだ。熟練度を上げるには何度も同じ魔法や武技を発動して相手に当てたり、相手の攻撃を防がなければいけない。つまり、防御系魔法の熟練度を上げるには相手の攻撃を防いで何度も魔法を発動させなくてはいけない。だが当然同じ魔法を同時に発動させる事は出来ない。


 「あ、ゴブリン……1匹か……丁度いいからあいつで検証してみるか」


 ゴブリンに喧嘩を売った俺にゴブリンは持っていた手斧を振りかぶって襲って来た。


 「ファイヤー・ウォール!」


 ゴブリンは何度も俺が出した盾に攻撃してきた。だが何度攻撃しても俺の盾は壊れず2分経過し【ファイヤー・ウォール】が消えた。其処で漸くリキャストタイムが発生し次に【ファイヤー・ウォール】が使える迄10秒掛かる。俺はゴブリンの攻撃を避けリキャストタイムが解除され、また【ファイヤー・ウォール】を発動させて攻撃を防いだ。其れを先程と同様に10回程繰り返してからゴブリンを倒した。しかし熟練度が上がる事はなかった。

 防御系魔法の熟練度を上げるには此れが問題なのだ。問題1相手の攻撃力が低い、問題2其の為時間が掛かる。相手の攻撃力が高ければ一撃または何度か攻撃されれば盾が消えてリキャストタイムに入り再び魔法を発動させれば良い。けれど、今回みたいに相手の攻撃力が低いと数分間消える迄待たないといけない。だから、正直言って此処での防御系魔法の熟練度上げはテンポが悪いと言える。とは言え、俺のステータスは正直言ってまだ低いだろう。そんな俺が別のフィールドに言って通用するかは怪しい。なんせ、此のゲームはゲームオーバー=キャラ消去だからな。


 「とは言え、東の森じゃ上げにくいのは事実……かと言って森を抜けた場所やツーガルギアの向こうに行くのは流石になぁ……よし、街やネットでもう少し情報収集して良い場所を見つけよう!」


 俺は一先ず熟練度上げを切り上げドロップアイテムを街で売る事にした。

 俺は森から戻りギルドへ向かい買取受付で全てのドロップアイテムを買い取って貰った。


 「サクラ様、買取合計金額は6000Gになります」

 「ありがとうございます」


 俺は買い取ってもらった金を受け取りギルドから出た。


 「あっ!」


 すっかり忘れていたが昨日商人ギルドで売ったポーションの事を思い出した。

 何時ものゲームであればNPCに売ったアイテムは削除されるだろうが、此のゲームであればそんな事はないのだろう。確認の為改めて商人ギルドへ向かう事にした。


 「いらっしゃいませ、売買の館へようこそ」


 受付に立っていたのは昨日と違うNPCの受付嬢だった。

 

 「すみません、昨日此処でこう云うポーションを売ったサクラと言う者ですが、昨日売ったポーションが如何なったのか分かりますか?」

 「あっ!昨日此方のポーション類を売られたサクラ様ですね。はい、とても性能が良いポーションだと好評で数が少ないのもありましたが直ぐに完売しましたよ」

 「そうだったんですね。其れは良かったです!」

 「もしや、今日も売って下さるんですか!?」

 「すみません、未だ補充してないので作ったら売りに来ますね」

 「そうでしたか、申し訳ありません。では、其の時を楽しみにしております」


 俺は受付嬢との会話を終え商人ギルドを後にした。外に出た時後ろから誰かに呼び止められた。


 「アンタがサクラかい?」

 「はい?」


 後ろを振り向くと其処には黒い三角帽子に黒いローブと云う魔女の格好をした老婆のNPCが居た。其の光景を見ていた他のプレイヤーがざわざわと騒ぎ始めた。


 「そうですけど……お、お婆ちゃんは俺に何の用ですか?」

 「確認したいんだけど、此れはアンタが作った物かい?」


 老婆NPCが取り出したのはローポーションだった。しかもちゃんと確認してみたら其れは確かに俺が製作した物だった。


 「確かに俺が作った物です」

 「ふん、そうかい。其れは良かった。其れじゃあ着いてきな、話は其れからだよ」

 「あっはい……」


 色々ツッコミたかったが、俺は黙って老婆NPCに着いて行った。と云うか、流石に周りの雰囲気的に一刻でも早く此の場を離れたかったから。

 暫く歩き路地裏の家に到着し、家の中へと入った。

 

 「えっと、其れで俺に何の話が?」

 「ふむ、単刀直入に言わせてもらえればアンタに私の薬のレシピを教えてやるよ」


 【〈ユニーククエスト〉“老薬師からの継承”を受注しますか?YES/NO】

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