**この世界線でナチ党が政権を獲得する過程(1928~1933年頃)**
1. 戦後ドイツの出発点:1920年代前半
緩い敗戦と不安定な共和国
• 皇帝退位 → 共和国成立。
• 軍:
• 30〜40万の正規軍と参謀本部を維持。
• 経済:
• 賠償はあるが破滅的ではなく、
• ハイパーインフレ級は回避。
• 社会:
• 戦死者・復員兵の不満、
• 左右の武装勢力が街頭で衝突。
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国家は存続しているが、
「誇りと将来」を失った感覚が広がる。
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2. 1920年代半ば:表面的安定と“閉塞”
• 社民・中道・カトリック系の連立で政権運営。
• 軍と官僚は:
• 「共和国を嫌いながら支える」姿勢。
• 国際的には:
• 国際連盟には加盟するが、
• 発言力は弱い。
• 経済:
• 緩慢な回復。
• しかし:
• 日英仏ブロックの帝国特恵圏に入れず、
• 市場と資本が慢性的に不足。
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“破局はないが展望もない”10年。
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3. ナチ党の性格:史実との違い
史実ナチ:
• ヴェルサイユ復讐
• 賠償拒否
• 国境回復
この世界のナチは:
• ブロック経済包囲の打破
•海への出口と資源圏の確保
• 強い国家による秩序回復
• 反共・反議会
• 「ドイツは再び世界大国であるべきだ」
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復讐よりも
**“孤立からの脱出”と“大国復帰”**が主軸。
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4. 転機:世界恐慌(1929–1931)
• 米国発の金融調整 → 世界恐慌。
• ドイツは:
• 輸出市場縮小。
• 外資引き揚げ。
• 失業率25〜30%。
• それまでの:
• 「我慢すれば良くなる」感覚が崩壊。
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“緩い敗戦”よりも
恐慌こそが決定打。
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5. 選挙での急伸(1930–1932)
1930年総選挙
• ナチ党:
• 「失業と包囲を打ち破れ!」をスローガンに躍進。
• 議席を一気に拡大し、第二党級に。
1932年大統領選
• ヒトラー出馬。
• 結果:
• 勝てないが3〜4割を獲得。
• 老元帥大統領は:
• 彼を危険視しつつも、
• 無視できなくなる。
1932年国会選挙
• ナチ党が最大党に。
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「ナチなしでは政権が作れない」状況。
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6. 保守エリートとの取引
この世界では:
• 軍:
• 共和国に忠誠薄く、
• 強い国家を望む。
• 官僚・産業界:
• ブロック包囲打破のため、
• 強硬外交を期待。
• 彼らは:
「ヒトラーは大衆動員装置として使える」
と判断。
史実同様:
• 保守派政治家が:
• ヒトラーを首相に担ぐ。
• 条件:
• 閣僚の多くは保守派。
• 大統領の緊急大権で統治。
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“利用できる怪物”としての登用。
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7. 政権成立:1933年前後
• ヒトラー、首相就任。
• まだ:
• 形式上は連立政権。
• だが:
• SAによる街頭圧力。
• 共産・社民への弾圧。
• 非常令の常態化。
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8. 権力掌握:合法性を装った独裁化
国会炎上事件(史実同様の象徴事件)
• 非常令で:
• 市民権停止。
• 共産党排除。
全権委任法
• 議会の立法権を政府へ。
• ナチ独裁の法的完成。
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“革命”ではなく
“合法を装った簒奪”
。
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9. 史実との最大の違い
項目 史実 この世界
屈辱 ヴェルサイユが中心 経済包囲と閉塞
軍 10万で縛られる 30〜40万で存続
再軍備 秘密裏 公然拡張
大衆感情 復讐 孤立からの脱出
政権の正統感 危機の産物 “強い政府待望論”
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ナチ政権は
**「破滅からの救済者」より
「停滞を打破する指導者」**として登場。
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10. 政権獲得の意味(この世界)
1933年頃のドイツは:
• 史実より:
• 物理的には強い状態で、
• 心理的にはより“正当な大国復帰”を主張。
• ナチ政権は:
「ドイツは再び世界の席に着く」
と宣言。
日英仏ブロックから見れば:
「敗戦国の復讐者」ではなく、
「現状秩序に挑む対等な修正主義大国」
の出現。
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総括
このIF世界のナチ政権獲得は:
緩い敗戦で国家は存続
だが経済包囲と恐慌で閉塞
ナチ党が
“孤立突破と大国復帰”の旗手として台頭
保守エリートに担がれ政権入り
合法的手段で独裁を完成
つまり:
「屈辱の復讐」ではなく、
「孤立した大国が再び動き出す瞬間」
としてのナチ政権誕生になります。




