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記録8

「お〜レヴィ、おかえリンボ〜」

「ただいマンボウ、じゃないわよ!急にメール来たと思ったら料理だの飲み物だの…それが非番の人に頼むこと!?」

「ほら皆、料理来たし始めよ〜!」

「聞きなさいよ!…まったくもう」


 どうやらあの美男子(?)がレヴィという職員らしい。そそくさと袋を回収したアンネリーゼが隣の部屋に向かう。


「あら、アンタが噂の監査員?」

「う、噂…?はい、エリン・カランコエと申します、一ヶ月間お世話に…」

「アタシはレヴィよ。そんな堅くならなくてイイわ、気楽にやりましょ」

「は、はい…」


 呪術庁とは皆こうなのだろうか。見ている分にはゼノンだけが例外な気がする。


「エリンさん、行こ!」

「はい!」


 皆の後をついて隣の部屋に入る。室内はパーティ会場のように華やかに飾り付けられており、壁には「Welcome Elin」のガーランドがかけられていた。


「お前…仕事してるとか言いながらこんな事していたのか…」

「監査員の歓迎も立派な仕事でしょ〜?」

「そういう問題じゃなくてだな…」


 アンネリーゼとミカエラが料理を並べている。ベルは飲み物を取り出して人数分のコップを取り出している。


「わ、私も手伝いますよ」

「アナタはイイのよ、座ってなさい」

「あ、でも…」

 

 促されるまま席に着く。下っ端根性は3年目の今も拭えず、何もしないという状況に落ち着かない。


「改めて、アタシはレヴィよ。呪術庁で一番の新入りなの。勤務歴で言ったらアナタより下ね」

「オレヴィアン・クレマチスさん、ですよね。よろしくお願いします」


 オレヴィアン・クレマチス。彼はたしか秋に中途採用された職員だ。ゼノンの半年後に入省したという。まだ2年目だが、今年の秋には3年目に突入する。


「アタシのことはレヴィって呼んで?そっちのが可愛いでしょ?」

「は、はぁ…」

「アナタのことはエリンでいいかしら?堅苦しいのはどうも性に合わないのよね」

「はい、大丈夫です」


「準備終わったから始めるよー。レヴィ、エリン、こっちおいでー」

 

 ミカエラに呼ばれてテーブルに向かう。たくさんの惣菜と飲み物が置かれていた。


「エリンさんは何飲む?色々あるよ!」

「じゃあ、オレンジジュースで」

「おっけー!」


 ベルからコップを受け取り、全員に飲み物が行き渡るとミカエラが音頭を取る。


「えー、それでは不肖、呪術庁副長官のミカが音頭を取らせていただきまーす!監査員を歓迎してー、かんぱーい!!」

『かんぱーい!!』


 各々が好きに料理を取り、語り合う。私の歓迎会なんて言うものだからもっと色々聞かれるのかと思ったが、そうでもないようだ。やはりルクスの言っていた通り、ただの騒ぎたがりだったのだろう。


「エリンさん、これ食べる?あ、こっちも美味しかったよ!」

「あはは…ありがとうございます」


 ベルはよく話しかけてくれる。下に兄弟でもいるのだろうか、面倒見が良いようだ。


「まだ敬語抜けてないね、タメ口でいいのに」

「まだ慣れなくて、そのうち…」

「そうだね、そのうち!」


「へ〜いエリン、飲んでるぅ?」


 アンネリーゼが肩を組んでくる。飲んでるも何も、オレンジジュースなんだが。


「ア、アンネリーゼさん…」

「ちょっとリゼ、エリンさん困ってるでしょー」


 ベルが助け舟を出してくれるが、お構い無しなようだ。


「え〜、ま〜だアンネリーゼさん呼びぃ?リゼって呼んでよぉ、長いじゃん」

「もう、いつも酔っ払いみたいな絡み方するんだから…」


「アンネリーゼって呼ばれるの、イヤなんだよね〜」

「えっ…」


自分の名前なのに嫌なんてこと、あるのか。


「だからリゼ、ね〜?」

「は、はい…リゼさん」

「よぉ〜しいいぞエリン、飲め飲め〜!」


 コップにドバドバとオレンジジュースを注がれる。


「リゼ、またお前はそんな…!」

「いーじゃん、ゼノ、無礼講無礼講」

「副長官!今日それを言っていいのはカランコエさんだけです!」



 そんなこんなで時間は過ぎていった。

赤いきつねと緑のたぬきなら赤いきつね派ですが、結局赤いたぬきが好きです。一番好きなのは白い力もち。

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