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記録3

 ゼノンに付いて庁内を見て回る。職員数が少ないせいなのか誰とも出くわさない。広さに対する人けのなさと、笑顔の一つも見せないゼノンにリゼとは違った緊張を覚える。


「そういえば、長官と副長官へのご挨拶は…」

「長官は非番、副長官は早朝に任務が入りました。副長官への挨拶は午後になるかと。」

「あぁ、なるほど…そういえば、ここの長官は確かまだ学生だとか」

「はい。普段は学業の傍ら書類仕事をこなしておられます。平日は特に用がないとこちらに顔は出されません。ですので相当緊急度や危険度の高いものでない限り、長官が出られることはまずありません。」


 改めて聞いてみてもどんな頭してるんだろう。学生で呪術庁長官て。年齢制限のない魔法省と言えどトップクラスでそんな年齢は聞いたことがない。

 しかし学生だろうが長官だろうが監査対象。せめて期間中に評価できる程度には顔を合わせたいものだ。






「基本的にカランコエさんが出入りできるのはこの棟のみです。奥のドアは寮に繋がっていますので、緊急でなければ立ち入らないように。」

「庁内に寮があるんですか?」


 魔法省にも寮はあるが、建物は分けられている。省庁内に寮があることはまずない。


「時間を問わず出動要請はあります。連絡を受けすぐに行動できるよう庁内に設置したらしいです。」

「魔法執行隊みたいに交代制じゃないんですね…」

「人数からして違いますからね。ですので、生活リズムも職員によってバラバラです。深夜に帰庁し、出勤は夕方…なんてのも珍しくありません。」

「なんというか…本当に大変そうですね。寮も空間魔法で?」

「はい。職員が増える度に長官が拡張しています。」

「空間魔法って…随分高度な魔法ですよね、長官お一人で…?」

「えぇ、本当に優秀な方です。魔法の腕も国内屈指と言っていいでしょう。魔法だけではない、業務も学業も完璧にこなし、女王陛下からの覚えもめでたく人柄も良い。本当に、良くできたお方だ。」


 唐突な早口に目を剥く。まるで設備の説明をするかのように長官を褒め称えるゼノンに、初めて感情を見た気がした。




 





「基本的な説明はここまででしょう。それから…この廊下の一番奥の扉、あの部屋には決して入らないようお願いします。」

「あの見るからに厳重な扉ですか」

「はい。まぁ、職員以外は入れないようになっています。この辺りに用ができることもないでしょう。」

「あの部屋には何が…」

「押収品です。」


押収品。


 目をパチクリさせていると、追加の説明を受ける。


「現場から押収された物や発掘された呪物などです。厳重に管理されていますが、知識のない者が不用意に足を踏み入れると…」

「踏み入れると、どうなるんです?」

「…『笑うジュディス』をご存知ですか。」

「曰く付きの絵画でしたよね。普段は真顔で、人を食ったら笑顔になってるとかいう…」

 

 子供の頃、母に連れられて行った美術館で一際大きく飾られていた。真顔の美女が描かれていたそれの説明は、なんて恐ろしい曰くが付いているんだと軽いトラウマになったほどだった。


「今世間に出ているのは総じてレプリカです。そこらの美術館に入ったとて、笑顔のジュディスを見ることはないでしょう。」

「あ、あはは…そうですよね」


 当然と言えば当然だが、幼い頃見たあの美女が本物でなかった事に十数年越しに安堵する。


「でもなんで急にそんな話を…」

「あの部屋にはその本体があります。」











「他にも色々とあるので、入らないでくださいね。」

「ハイッ!!!!!!」


バカでかい声が出た。

裸足で濡れるのは許せても靴下履いてて濡れるのは非常に度し難いです。

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