歪な月を見る
夜の歩き
街の喧騒のはざまで
月が欠けている
残りの月は
どこへいったのか
忘れたほうへ
彼方の浜辺へ
打ち上げられた
貝殻の上の方で
音がする
波のささやきを
聴く
音楽は
それでも誰かに
作られ
壊され
またもとの形へ
戻ろうと
変形していく
歪な月を見る
夜の果てない暗闇に
光がぼんやりと
映る水面のように
記憶の中で
糸が張り巡らされて
縄人形が
踊っている
それを
首をかしげながら
見ている
バイオリンの
ピアノ弾き
指揮者の
傍観者
音符は抽象的な
絵画のオブジェ
人の形をした
別の何か