てのひらのさよなら
あとから気づくこともあります。
紐の端をナイフで切り落としたようにじゃない
いつからか少しずつ ほつれはうまれてて
どこかの時点で きっとさよならはあったんだ
それに気づいたのが あとからってだけで
あのとき あの日の さいごの笑顔が
思い返せば そうだったのかもしれない
さよならは日々 無数にあるから
この別れも それに紛れてしまいそうになるけれど
紛れさせてはいけないものは
ちゃんといちど てのひらにすくいあげて
ちょっとだけ うらみがましい目をしながら
たっぷりの 愛しさをこめた
私の世界にあるなかで
いちばんやさしくて せつない
ありがとうを告げてから
そうっと ゆっくり
とじていた てのひらをひらいて
指のすきまから零してあげたい
それが
わたしの大好きだったあなたへの
さよならのかたちだよ
平気にはなりたくないなぁ。










