表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1.憧れと現実

 私は、桜井(あんず)

 幼い頃から甘いものが大好きで、将来は絶対パティシエになると決めていた。そして、製菓学校を卒業してすぐ、有名なケーキ屋さんで働き始めた。


 朝早く出勤して仕込みをして、先輩パティシエのサポートをして、夜遅くまで試作ケーキを作って、クタクタになって帰る毎日を送っていた。思っていた以上に大変だけど、毎日大好きなケーキと向き合える仕事は幸せだった。


 いつか自分で考えたケーキをお店に並べたい、その思いで毎日頑張っている。そして、やっとの思いで試作していたケーキを完成させることができた私は、今日の仕事終わりオーナーに試食してもらうことになっている。



「お疲れ様です」


「お疲れ様。さっそくだけどケーキを見せてくれるかな」


「はい。こちらのケーキです。まだ名前は決めていません。ベリーをふんだんに使ったムースとルビーチョコレートを合わせたケーキです」

すごく緊張していたけど、自信をもって提供した。


「なるほど。見た目はとても華やかで目を惹くね。いただきます」

そう言うと、ゆっくりとケーキを食べ始め、ケーキに関することを細かく聞かれた。


「ごちそうさま。美味しかったよ」


「ありがとうございます!」


「だけどね、商品化するには何かが足りない。その足りない部分を見つけてほしい。もしよかったら明日から何日か休みをとって普段行けないような店に行ったみたらどうかな。ヒントが見つかるかもしれないよ。もちろん商品化は前向きに検討するよ」

そう言い残してオーナーは厨房を後にした。


「はい。ありがとうございます。商品化できるように頑張ります!」

オーナーの背中を見ながらお礼を言ったが、正直くやしかった。


 何度も試行錯誤して完成した自信作だったのにダメだった。何が足りないんだろう。わからない。

 

 私は厨房の片付けをして、もやもやした気持ちのまま帰宅した。



***


 悔しいけど、気持ちを切り替えて頑張らないと。


 そう思った私は次の日から3日間休みをもらって、普段行けないような遠いお店や、並ばないと買えない人気のケーキ屋さんをたくさん巡った。


 それでもなかなか答えは見つからなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ