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燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
発火する太平洋
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マリアナ沖海戦 海牛達の終焉 

突然ですが、最終話です。

期待してくれた読者様には申し訳無く思います。

 240本近い酸素魚雷が敵艦隊に襲い掛かった。

 それは敵艦隊破局への序章となる。命中は22本を数えた。


「サウスダコタ、被雷2」

「面舵」


 艦長は再び回避運動に忙しい。


「メリーランド、被雷2」

「テネシー、被雷2」

「ペンシルバニア、被雷3」

「コロンバス、被雷2」

「ノーフォーク。被雷1」

「・・・・・・・


 次々と入ってくる損害報告は艦隊の壊滅を知らせている。


『ペンシルバニア転覆!』


 隊列は乱れ照準が狂い、艦隊運動もクソも無くなった。


「敵戦艦3隻接近中。1万7000ヤード」


 あの異常に堅いというヤマトクラスか。逃げる事も出来ないし、数の優位は無くなった。


「艦長。本艦取舵。奴らに接近戦で対抗する」

「・取舵。機関全速。缶が破裂するくらいのガッツで絞り出せ」


 コロラドがゆっくりと左へ回頭する。18ノットだった速力が21ノットを超えた。


『ノースカロライナ、取舵』

『ウェストバージニア、取舵』

『ミシシッピ、取舵』


 みんな分かっているじゃないか。






「山城。総員退艦です」

「そうか」

『ノースカロライナ級。爆発炎上中』

『コロラド級。停止』



 戦場を支配したのは日本海軍だった。


「敵艦より。溺者救助のため降伏したし」

「返信「戦闘旗を下ろし黒球を上げ、溺者救助されたい」」

「他の艦にも降伏勧告を出せ」

「了解」


 ノロノロとしか進めない艦や救助しようとする艦は降伏した。抵抗する艦も有ったが、すぐに抵抗は止めて降伏した。


「終わったかな」

「そうですが。逃走した奴らもいます」

「敵には空母と上陸船団がまだいる。合流するのだろう。追撃だ」

「追撃ですが、損傷艦はどうされますか」

「武蔵は置いていく。他は水線下に損傷有る艦も置いていく。速力の出ない艦は当然だ」

「細かい調整は行います」

「頼む」「艦長。本艦、増速。第3戦速」



 大和に続くのは、

 信濃、愛宕、伊吹、浅間、最上、鈴谷、利根、筑摩

 第二水雷戦隊 阿賀野 駆逐艦4隻  第三水雷戦隊 駆逐艦6隻

 

 水雷戦隊は敵水雷戦隊との激闘でかなりやられてしまった。溺者救助のための艦や損傷艦を置いていくので連れて行く艦は少ない。

 巡洋艦は沈んだ艦こそ無いが、上構が手ひどくやられている艦は当然置いていく。



 夜が明け、敵空母からの空襲を受ける。上空には直衛機がいてくれる。直衛機を突破され、砲戦で減った対空砲火では阻止が出来ない。

 1回目の空襲で、大和被雷1。最上被雷1。信濃爆弾2。

 最上が後退する。

 2回目の空襲で、夕雲沈没、阿賀野中破、時津風中破の損害を受けた。各艦は夕雲の溺者救助をしたのち後退させる。

 3回目は、直衛機の数が上回り損害は無い。


 午後14:00、遂に敵艦が探知範囲に入る。見張り員の視界にも入った。

 敵の速力が10ノットも出ない程度と遅く、すぐに追いついた。

 敵護衛駆逐艦が襲撃してくるが、巡洋艦の主砲で対応させる。大和と信濃の主砲弾が各砲40発程度しか残っていない。徹甲弾の残数は20発だ。残りは零式弾と三式弾だった。駆逐艦なら零式弾で行けるだろうが、巡洋艦に任せる。

 この戦闘で利根が被雷2。速力が落ちる。敵駆逐艦はもういくらも残っていない。

 敵船団に数回、降伏勧告を送るが無視されている。


「艦長、適当に撃て。当たらなくてもいい」

「威嚇ですか」

「戦艦主砲の威力を教えてやろう」

「砲術、聞いたな。弾はばらまけ。司令長官、1射でいいですな」

「取り敢えずな。足りなければ今度は当てる」「各艦は撃ち方待て」

「砲術、各砲1発のみ。始め」

「各砲1発のみ。撃ちます」


 しばらくして


「撃ー」


 大和から照準などしていない8発の砲弾が撃ち出された。方位は砲塔ごとに違い、仰角も1門ずつずらすと言う念の入れようだ。


「信濃にも撃たせよう。1射では足りないようだ」


 信濃が撃つ。煙が上がった。命中したようだ。まぐれ当たりもいいところである。


「降伏すると、通信あり」

「良きかな良きかな」

「そうですな。あの輸送船団を殲滅するのは少し気が引けます」

「サイパンに上陸しようというならともかく、逃げているからな」

「相当な人数が捕虜になるのですが、移送先が有りません」

「本土では無理だな」

「満州や樺太なら土地はあります」

「土地以外ないがな」

「後は上に任せましょう」

「当然だ」


 

 拿捕した船舶は日本国内で受け入れられる数では無く、数万人もの捕虜も同様だった。一時的にトラック環礁に収容することになった。ラバウルからの空襲も味方に向けてはしないだろう。取り返しに来るならまたやるまでだ。

 収容先にフィリピンが思い浮かぶのは当然だが、アメリカ軍は着々と要塞化を進めている。既にパラオや台湾は空襲にさらされ、パラオは反撃能力を喪失している。

 船団には補給しなくてもフィリピンまで届くだけの物資はあった。


 数万人という捕虜の扱いに苦慮する軍部と政府。数日して政治利用することになった。講和の餌である。

 船団がトラックに入港して数日。



 講和交渉が開始された。



アメリカ海軍の空母はどうしたと言われるでしょうが、攻撃機が無くなったので、と。戦闘機にロケット弾? 知りませんな。と。

アメリカ海軍のあまりの損害に耐えかねて、講和は進むのではないかと思います。


少し本筋以外の部分を書き足すかも知れません。


相変わらず穴だらけの物語をご覧いただきありがとうございました。



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