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燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
発火する太平洋
55/56

マリアナ沖海戦 海牛達の饗宴

 突然だった。2万2000ヤードで撃ち合っている最中に被雷した艦が有る。6隻もだ。

 まだ敵駆逐艦がレーダーで捕らえるような距離に居ない。3万ヤード向こうに居るのだろう。

 そんな遠距離からか。2万ヤードの射程が有ると報告書には有ったが、それ以上の有効射程が有るのか。


 キャラガン中将はまさかという思いだった。敵に想像を絶する高性能な魚雷が有るだなんて。


「損害確認急げ。隊列を維持」

「オクラホマ、被雷1。行動不能」

「アリゾナ、被雷1。行動不能」

「ニューメキシコ、被雷1。速力低下、追随不能」

「クリーブランド、被雷1。行動不能」

「ピッツバーグ、被雷1。速力低下、追随不能」

「ウォレス・L・リンド。沈没」

「戦艦が、たった1本でか」

「威力がとんでもないようです。水柱がものすごく高く上がったと」

「何だ、そのおかしな魚雷は。長大射程で大威力の炸薬だと!」

「ミッドウェーではここまでの威力は有りませんでした。新型でしょう」

「クソ。奴らはもう1回発射出来るよな」

「そうです。予備魚雷を航行中に装填できるようです」


 15隻という数で性能差を覆す予定だったが、3隻減った。だが、こちらは確実に打ち勝っている。フソウクラスが1隻燃えている。これで6対12だ。

 このまま我慢比べをしていれば、必ず勝てる。そうだ、今もイセクラスが戦列を去った。5対12だ。勝てる。




「山城より。缶室に被弾。火災発生。追随出来ず」

「艦の保全を優先させよ」


 敵も燃えている。一戦隊をもっと突出させるべきか?一戦隊なら敵の砲撃に耐えられる。


「日向より。3番砲塔被弾。弾火薬庫火災発生。鎮火を優先したし」

「許可する。と伝えよ」

「5隻になりました」

「扶桑が不安だな」

「扶桑には悪いですが一番不安です」

『敵3番艦。爆発炎上』

「おお!」

「信濃の目標を敵4番艦に」

「指示します」


 大和級の防御力に乾杯だな。敵は6隻が3隻の一戦隊を狙ってきている。それをしのいでいるだけでは無く確実に打撃を与えている。

 長門も改装時、装甲は超合金を積み増しした。それなりに耐えられるはずだ。

 扶桑は、元々薄いので不安だが超合金の積み増し装甲が有る。大丈夫なはず。


「武蔵より。測距儀に被弾。主砲方位盤故障」

「何だと」




『ワシントン。爆発』

「無事か」

「ワシントン速力低下」

「面舵一杯。急げ」


 艦長が緊急命令を出した。ワシントンはコロラドの前にいる。ぶつかってはたまらん。


『ワシントン近い』

「衝突警報。つかまれ」


 ゴリゴリゴリという音と振動が伝わってきた。衝突したか。


『ワシントン艦尾と本艦左舷が接触。現在離れました』 

「損傷確認」


 本艦の見張り員はしっかりしている。しかし、射撃諸元は元からやり直しだ。敵も目標がなくなって同じ事だ。どちらが先に至近弾を得るかだな。


「ネバダからです。浸水激しく、追随不能」


 ネバダの相手は()()フソウ級だろう。打ち負けたのか。





「武蔵の方位盤は復旧しないのか」

「現場では無理なようです。後部艦橋側で砲塔管制できると言っていますが、測距電探も吹き飛んでいます」

「本艦の射撃諸元を渡します。その諸元で撃てば」

「それでやろう。武蔵に大和と統制射撃を行うと指示を出せ」

「敵2番艦が自由になりますね」

「仕方ない。その代わり1番艦はたまらんだろう」

『日向爆発。ご・ご轟沈です。姿が見えません』

「日向が…」





『敵2番艦沈黙』


 良し良し良ーし。これで厄介な大和級の1隻が消えた。イセクラスも轟沈した。


「カルフォルニアより。艦橋倒壊。射撃不能」

「な・」

『敵2番艦射撃再開』


 カルフォルニアはナガトクラスを相手にしている。拙い。敵2番艦はそのまま沈黙していろよ。





「5番砲塔被弾。火災発生」

「後部弾火薬庫注水急げ。弾火薬庫要員の退避急げ。消火急げ」


 せっかく敵を1隻脱落させたのに、火力が減ってしまった。

 扶桑艦長が長らく二戦級とされていた扶桑の名誉を回復できたと思った矢先の出来事だった。




「そろそろか」

「突撃ですか」

「二水戦と三水戦がじれているだろう」

「突撃命令出します」

「うむ。巡洋艦の連中にも自由行動を許可」

「水雷戦隊が1万5000まで接近したら、一戦隊二戦隊も突撃だ」


 本隊左前方2万8000にいた2個水雷戦隊が全速で敵に突撃を始めた。今度は至近で魚雷を撃ち込もうと。





「330度に新たな反応。小型艦多数。接近中」

「敵駆逐艦か。水雷戦隊に対応させろ」


 水雷戦隊が前方の脅威を取り除こうと前進する。


「敵巡洋艦、接近します」

「巡洋艦戦隊に対応を一任」




 乱戦が始まった。

 一戦隊と二戦隊が突撃を始める。

 240本近い酸素魚雷が8000で発射された。今度は48ノットで水面下を突進する。

 勝負を決めたのは酸素魚雷だった。

 


次回更新 9月06日 05:00

9月04日と05日の更新は有りません。お休みです。


魚雷の本数が減っているのは、駆逐艦や巡洋艦がやられたからです。


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