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燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
発火する太平洋
50/56

トラック壊滅

 20年2月14日


 本日、真夜中に出した攻撃隊は成功したのかしていないのか。帰還したのが32機中4機では良く分からなかった。ただ、敵正規空母が炎上中だという事は解った。

 出撃させたのは手練れ中の手練れと言ってもよい。夜間低空飛行で機位を見失わずに編隊飛行が出来る。しかも編隊灯は離陸直後からしばらくして消したはずだ。どれだけの搭乗員が出来るのだろうか。貴重なベテランを大量に失ってしまった。



 敵の慌てぶりは無線傍受で分かった。敵艦隊が大騒ぎしている。


 最低でも正規空母1隻の戦力を無効化したものと考える。


 これがトラック司令部の結論だった。

 夜明け前には全機の暖機運転が終わり、敵を待ち構える。夜明け前に索敵機は出したが撃墜された。敵の正確な居場所と戦力は不明だ。

 そして07:34


「敵編隊探知。方位90。距離100海里。速度200ノットで接近中。推定機数300機」

「戦闘機隊発進始め」


 戦闘機隊は大小5カ所の滑走路から次々と飛び立っていく。まずは200機だ。2次攻撃隊に備えて200機は残す。マリアナからも増援を受け総数400機の戦闘機だ。負けるとも思えない。


「新たな敵編隊探知。方位90。距離100海里。速度200ノットで接近中。推定機数400機」

「戦闘機隊全機発進始め」


 と同時に


『敵機は全て戦闘機。繰り返す敵機は全て戦闘機』


 最初の梯団を迎撃に向かった戦闘機隊からの悲鳴が聞こえた。戦闘機だけで300機だと?拙い。200機では圧倒される。

 次の梯団は400機だ。こちらは普通の攻撃隊だろう。2回で700機出せる空母機動部隊。800機以上搭載していないと不可能な機数だろう。珊瑚海とミッドウェーで相当沈めたが、まだこれだけ用意できるのか。

 第一機動艦隊がトラック圏内に入るのは本日14:00以降。昨日連絡機が届き知らされた。

 連絡機から知らせを受け取った後、すでに一報は発した。一機艦がどれだけ急いでくれるのかは不明だ。


 敵の攻撃が始まった。戦闘機は全部出払っている。対空砲火は頑張っているが、地上は為すがままだった。200機近い攻撃隊に対応できない。空中退避が間に合わなかった陸攻や銀河が次々と地上撃破されていく。格納庫が破壊され、滑走路や誘導路には穴が開き、管制塔は跡形も無い。電探アンテナは真っ先に狙われた。対空砲火も次々と潰されていく。

 環礁内の艦船も大きな損害が発生している。

 

 一機艦の戦闘機隊がやって来たのは、敵の第3波がやって来た09:35だった。第3波は機数が少ないようで撃退された。こちらの損害は少ない。




「斉藤大尉。トラックの様子はどうたった?」

「はっ。滑走路を始め各施設に多大な損害が発生しており、こちらの機体を預けるのは無理かと」

「使えないか」

「不時着くらいでしたら」

「参ったな。ああ、斉藤大尉。ご苦労だった」

「はっ。失礼します」


「さて、トラックが使えない。環礁内に逃げ込むもの危険ときた」

「サイパンの戦闘機隊は、トラックへの増援に使って少数しか残っていないそうです」

「しかし、3波合計で800機を超えるか」

「こちらを上回る戦力です」

「珊瑚海、ミッドウェーだぞ。あれだけ沈めてもまだこれだけ出てくる」

「デタラメですな」




「もう1回やる必要があるだと」

「完全に粉砕できた訳ではありません」

「敵の航空戦力は壊滅したのだろう。航空戦力の壊滅が主目的で、施設破壊は2次的な目的だ。私は、明日も攻撃する必要は無いと考える。それよりも、第3次攻撃隊で敵機動部隊が出てきた。奴らに備えなけらばならない」

「しかし「まあ待て。キャラガン中将に預けよう」・・」

「戦艦で艦砲射撃ですか」

「それを仕事として出張ってきている」

「連絡はどうしますか。敵機動部隊がいると分かっているので通信管制をしています」

「空飛ぶ郵便配達人に任せる」



「フム「効果不十分にて戦艦による艦砲射撃で仕上げをお願いする」か」

「どの程度の効果が有ったのでしょうか」

「通信筒で送ってきたのだ。電文よりも細かく記載してある」


 読めと言って渡した。


「航空機はほぼ行動不能。滑走路は日本の復旧能力次第。艦船はかなり生き残っている。陸上戦力は不明も損害を与えていないと見込まれる。ですか」

「飛行場を中心に攻撃をしたな。飛行機など滑走路が無ければ役に立たないと言うことだ」

「どうされますか」

「もちろん仕上げに行く」

「環礁内はどうしますか。敵艦が残っているようです」

「おそらく水道には機雷を設置してあるはずだ。機雷の設置場所が分からない。よって無理に突入させない。環礁外から戦艦主砲で吹き飛ばす」


 ブリッジから外を見ると、頼もしい奴らがいる。たとえ旧式でも主砲の威力は健在だ。


 16:25


 上空を戦闘機の傘に守られた鋼鉄の海牛達が、咆哮を上げ始めた。

 なすすべも無く地上は破壊されていく。


 17:10


 静かになった。地上は無残な状態だ。撃ち漏らしが無いか最後に艦上爆撃機が飛行している。


 18:00


 上空の敵機もいない。地上には被害状況の確認をしているわずかな人員しか認められない。



 2月14日

 トラック島基地は機能を喪失した。


次回更新 8月30日 05:00

8月28日と29日の更新はありません。

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