表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
発火する太平洋
48/56

トラック

 敵情を探るべく潜水艦や航空機をマーシャルに送り込むが、帰還率がかなり低い。偵察の結果もはかばかしくない。

 部隊士気の低下が激しく、遂に偵察は中止となった。

 代わりにトラックから500海里まで哨戒艦を進出させる。

 哨戒機も24時間飛ばすことになった。接近をいち早く捉えるためだ。

 哨戒艦は海防艦で対空対潜能力の高さを買われた。

 哨戒機は電探搭載の一式陸攻が飛ぶ。最近装備されだした彩雲や天山に積む小型機載電探と違い、航空機なら単機で探知範囲30海里、水上艦なら駆逐艦で40海里と立派なものである。逆探も積んでおり、どちらかと言えばこちらが本命だった。


 動きが無く訝しんでいた日本だが、アメリカ海軍が大きな動きに出たことは無線使用量の増大と発信源の移動で確実と思われた。

 20年2月のことである。


 同時にフィリピンを狙うアメリカ軍の動きも大きくなった。今までは上陸しても空爆で叩くことが出来た。護衛戦闘機が着いていたが、こちらも負けていない。結果として、建設機材など重資材の地上撃破に成功している。

 1回目はセレベス海とスールー海を経てマニラ湾に乗り付けた。しかし、高雄と台南の航空戦力が全力を挙げ失敗に追い込んだ。ダバオに上陸したときはパラオと四航戦が空爆をした。

 第1回目と第2回目の上陸は陸兵を送り込むだけになってしまっている。しかし、3回目の今回は大量の護送空母を繰り出し、100機単位の戦闘機で強固な護衛体制を整え大量の資材をパナイ島へ上陸させた。ここは丁度、台湾からもパラオからも戦闘機が届かない。片道1300キロは単座戦闘機の進出距離では無かった。  

 とても拙いところへ上陸されてしまった。イロイロに滑走路を設営されてしまうと、マニラがエアカバーの範囲内になる。これまで戦闘機がいないことで楽な任務だったフィリピン空襲が一転危険な任務になった。

 また、南シナ海北部が爆撃機の行動範囲に入ってしまう。今まで以上に危険が増える。


 フィリピンのパナイ島上陸と時間を合わせるように、マーシャルのアメリカ艦隊も動いた。

 哨戒機の逆探が始めに敵電探波を探知した。発信源を探る哨戒機がマーシャル方面から発進されている事を突き止めた。哨戒機は引き継ぎをしながら敵電波源はトラックに向かっている事を確認。電波源は複数であり艦隊である事も確認。

 これを受けたトラック司令部は全軍に警戒体制の強化を命じると共に、哨戒任務に出ている海防艦に警戒を厳重にし帰還するように命じた。

 敵の目標がトラックである事は明白だった。トラックが落ちれば、もすでに死に体とは言えラバウルも戦力外になってしまう。そうすれば、わざわざスラバヤまで行かなくてもニューギニア西部北岸がフィリピン奪還の拠点になってしまう。マクノワリも非常に拙い状態になる。パラオだけでは支えきれないだろう。パラオもトラックを落とすような敵戦力ではひとたまりも無い。ここで負ければ終わりだ。

 

 トラックなのか、マリアナなのか、死に体のラバウルなのか、フィリピンと合流するのか、それとも長躯本土なのか。敵の目標がいまいち掴めなかった日本海軍は、艦隊主力を沖縄の北に待機させていた。すでに待機時間は1週間を越え部隊の疲労が溜まり士気や統制が緩みがちだった。だが、これで一気に引き締められた。

 もう一回、ミッドウェーと同じ勝ち方が出来ればさすがのアメリカも根を上げるだろう。いくらアメリカでも正規艦隊を3回分は作れないはずだ。


 決戦である。

 再び全力に近い編成でアメリカ艦隊を打ち破るべくトラックに向けて進発した。

 

第一機動艦隊

旗艦       大和

第一航空戦隊   尾張 紀伊 赤城 加賀

         秋月 夏月 春月 新月 葉月 山月 青雲 

第二航空戦隊   蒼龍 雲龍 雷龍 青龍

         清月 大月 花月 宵月 初夏はつなつ 初秋 

第四航空戦隊   隼鷹 飛鷹 瑞鳳

         桃 栗 梨 花櫚かりん 照月 霜月

第五航空戦隊   翔鶴 瑞鶴 

         涼月 初月 天雲 雪雲           

第一戦隊     大和 武蔵 信濃  

第二戦隊     長門 伊勢 日向 扶桑 山城

第五戦隊     高雄 鳥海 摩耶 愛宕

第六戦隊     伊吹 生駒 栗駒 浅間

第七戦隊     最上 三隈 鈴谷

第八戦隊     利根 筑摩  

第九戦隊     大井 北上

第二水雷戦隊   阿賀野

 第八駆逐隊   朝潮 満潮 大潮 荒潮

 第十五駆逐隊  黒潮 親潮 早潮 夏潮

 第十六駆逐隊  初風 雪風 時津風 嵐 

 第十一駆逐隊  浦風 磯風 野分 荻風 

第三水雷戦隊    矢矧     

 第二十四駆逐隊  海風、山風、江風、涼風

 第十駆逐隊    秋雲 夕雲 巻雲 秋雲          

 第十二駆逐隊   高波 沖波 清波 藤波

 第七駆逐隊    岸波 浜波 巻波 玉波


 後方には特設空母等が居る。


 新たに配備された正規空母は尾張級2番艦の装甲空母紀伊と雲龍級空母、雲龍・雷龍・青龍の4隻。空母直衛となる秋月級も順調に増えている。

 二水戦三水戦の各駆逐艦は2番砲塔を撤去。浮いた重量でボフォース40ミリ機銃連装3基を備えた。1基は2番砲塔跡地。2基は2番煙突後方の25ミリ機銃台と交換。他の機銃も増備している。


 第三戦隊の榛名は霧島と高雄に。四戦隊は大湊。1水戦は佐世保。4水戦は横須賀。全艦で行こうとしたが、少し残しておくように言われこうなった。

 特設空母は現在までに22隻就役した内、4隻が本土の守りに就いている。5隻はすでに除籍されてしまった。6隻は船団護衛中。今回は7隻が対潜哨戒や航空機補充用として後方に居る。


 

 トラックから敵戦力の詳細が届いたのはまもなくだった。







次回更新 8月26日 05:00


尾張級2番艦紀伊は建造が開始されたばかりだった大和級4番艦を尾張級に変更したもの。見た目やカタログ性能同じ。

陸奥は損傷ドック入り中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ