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燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
発火する太平洋
43/56

MI作戦 砲戦

 金剛轟沈で数の不利を強いられる分遣隊だが、水面下では状況を一気に覆すべく魚雷が疾走しているだろう。


「三水戦より『次発装填完了。我突撃す』」

「うむ」


時間じかーん


 まだか。それとも全部外れたのか。30分近く掛かる距離だ。海流も分からない。全部外れても不思議ではない。だが敵艦1隻が目標ではない。単縦陣の艦隊という破線への雷撃だ。当たると信じる。


 136本の酸素魚雷は36ノットで敵艦隊を捕らえようとしている。


『敵艦に水柱。複数』


 当たったか。


『敵2番艦に水柱』

『敵4番艦に水柱』

『敵6番艦に水柱』

『敵7番艦に水柱』

『命中5本』

 

 命中したか。5本でも敵艦隊は動揺するだろう。


『敵隊列乱れます』


「全艦突撃」

「全艦突撃」

「面舵。20度で直進に戻せ。砲術、撃ち方待て」

『六戦隊、面舵。突進します。七戦隊、続きます』


 六戦隊司令官と七戦隊司令官は示し合わせた訳ではない。しかし、突撃命令と共に機関前進一杯と面舵30を発令。 




『ニュージャージー被雷』

『インディアナ被雷』

『ウィチタ被雷』

『ボストン被雷』

『イシャーウッド被雷』

「被雷だと。潜水艦がいるのか」

「この海域に大量の日本潜水艦が都合良くいると思えません」

「敵の魚雷か」

『隊列乱れます』

「損傷艦を避けて旗艦に続航と指示」

『インディアナ取舵、離れます』

「何だと。インディアナ艦長を出せ」

『見張り員から航跡見えずと報告がありました。取舵で予想方向と正対しました。すぐに戻りますが、避雷した本艦の速力では時間が掛かります』

「分かった。判断は正しいと思う」

「航跡が見えないか」

「だとしたら14マイル届く見えない恐ろしい魚雷です」

「さっき敵の水雷戦隊が一回出てきて引っ込んだな。あの時か」

「まさか発射していたとは」

「水雷戦隊が対潜戦闘はどうするのか聞いてきました」

「魚雷は潜水艦ではなく敵艦隊だ。敵艦隊の動向に注意せよと伝えろ」


 また衝撃が伝わる。これで7発目か。こっちも6発当てている。向こうは平気なのか。


『C砲塔被弾。A砲B砲使用不能』


 主砲が7門になってしまった。

 隊列が乱れた。本艦アイオワは直進しているが、他の艦はまた諸元からやり直しだろう。


「敵艦隊、接近します」

「クソ。機会と見たか」

「どうしますか」

「敵水雷戦隊、前方へ進出」

「水雷戦隊は敵水雷戦隊の阻止」


 せっかく長年の脅威だったコンゴウクラスを撃沈したのに。これでは。





 6発目は艦橋後ろの探照灯台と機銃座を吹き飛ばし高射装置が1基使用不能にさせられた。

 そこからは針路を変えたのでお互いに砲撃はない。


「艦長、1万5000まで近寄ろう」

「よろしいのですか」

「本艦の装甲を信じよう。カタログなら1万でも40センチ砲に貫通されない」

「航海、進路このまま。1万5000で同航戦」

「了解」

「本艦目標敵1番艦、武蔵目標2番艦、信濃目標3番艦」

「栗田分遣隊司令長官、榛名はどうしますか。榛名では厳しいと考えます」

「榛名は、巡洋艦の相手をしてもらう。榛名には六戦隊と七戦隊の援護を」

「六戦隊、七戦隊。遅れている敵艦に魚雷発射をしたと通信」

「7隻で42本か。当たるかな」

「どうでしょう。130本で5本なら、1本か2本は当たるのでは」



 六戦隊と七戦隊が1万6000で発射した魚雷は命中した。1本。



『ニュージャージーより。我被雷1』


「何だと。敵水雷戦隊は遙か前だぞ」

「敵の巡洋艦です。日本の巡洋艦は雷装しています」

「我々は大型巡洋艦に雷装は必要ないと装備していないな」

「敵戦艦、1万5000で同航します」

『サバンナ被雷』

『ナッシュビル被雷』


 アイオワも激しい衝撃に見舞われた。2回。

 この時二水戦の2射目がやって来たのだった。


『敵戦艦1番艦魚雷2発命中』

『敵巡洋艦2番艦2発命中』

『敵巡洋艦4番艦2発命中』

『敵巡洋艦7番艦1発命中』



 そこからはワンサイドゲームの始まりだった。

 1発ごとに損傷が酷くなるアメリカ海軍各艦と、命中しても平気そうな日本海軍の戦艦と巡洋艦。

 アイオワが艦首を波間に沈めアラバマが停止し、サウスダコタは速力低下。

 巡洋艦もコロンビアとサンタフェが大きく速度を落とし、モントポリアは転覆した。駆逐艦も数隻見えない。

 日本艦隊は先の雷撃で損傷して後方に居る艦を狙いに行った。


 損傷艦は再び六戦隊と七戦隊の雷撃目標にされた。二水戦はもう撃ち尽くしている。



「敵大型戦艦に2本命中」

「サウスダコタ級に1本命中」

「クリーブランド級巡洋艦に2本命中」


 そして、戦艦2隻に榛名がとどめを刺した。反撃もニュージャージーは酸素魚雷を4本浴びて、浮いているのがやっとの状態。インディアナも2本の浸水でトリムが大きく狂い、打っても離れたところに着弾している。

 六戦隊と七戦隊は残りの艦を打ちのめした。


 その惨劇を終わらせたのは、ミッドウェーとハワイからやって来た4発爆撃機だった。日本艦隊は損傷艦を守るように撤退していった。






次回更新 8月20日 05:00


少しやり過ぎたような気がします。

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