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燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
発火する太平洋
42/56

MI作戦 金剛

本日2話。


秋雲が分身の術を使いましたので、1隻は高波に変更。

 日米空母機動部隊同士の戦いは、日本に軍配が上がった。これから追い打ちを掛け勝利を絶対のものにする。

 アメリカ機動部隊を追撃する日本戦艦部隊の乗員はそう考えている。



 これまでに届いた電文によると、アメリカ空母の損害は、未確認大型空母2隻撃沈、1隻撃沈確実、1隻撃破。レキシントン級空母1隻撃沈。1隻撃破。未確認大型空母は噂のエセックス級だろう。彩雲がその高速を活かし上空に居ると聞く。

 さらに大型巡洋艦3隻撃破。1隻は後進で進んでいると言う報告が有る。低速で進んでいる船などすぐに追いつく。他に数隻撃沈や撃破が有る。

 味方の損害は……今は忘れよう。




『電探に反応。正面。距離二十二海里』


 しばらくして


「正面。艦影」

『先ほどの反応。接近中。相対速度50ノット。艦影複数』


 見張り員も見つけたか。向こうも速力は出している。すぐに始まる。腕のふるい所だ。これだけの船が居る。負けん。


第一戦隊    大和 武蔵 信濃

第三戦隊     金剛 榛名

第六戦隊      伊吹 生駒 栗駒 浅間

第七戦隊      最上 三隈 鈴谷

第三水雷戦隊    酒匂     

 第二十四駆逐隊  海風、山風、江風、涼風

 第十駆逐隊    秋雲 夕雲 巻雲 風雲         

 第十二駆逐隊   嵐  荻風 舞風 高波

 第七駆逐隊    朝潮 大潮 満潮 荒潮


 二戦隊・五戦隊・八戦隊と二水戦を空母の護衛に残してきた。奴らの分まで頑張らねば。

 一機艦次席指揮官、分遣隊司令長官栗田健男中将はそう思う。


「艦隊、面舵。針路30度へ」

「面舵。針路30」

『面舵。針路30。ヨーソロ』




「日本艦隊、進路を北へ取りました」

「同航戦に持ち込む。艦隊取舵。針路60」




『敵艦隊、進路を北ヘ変えます。距離3万3000』

「敵艦隊変針、北へ向かいます。距離3万2000」


 まあ機械と人間が同じとも思えないからな。


「同航戦になるか」

「当然と言えば当然です」

「砲術参謀、艦隊打ち方用意」


『敵艦隊。依然として接近中。距離3万。先頭の反応は中型、その後ろに戦艦と思わしき反応4個。さらに後方に中型3、小型5以上』

「敵艦隊接近中。巡洋艦を先頭に戦艦4。後方に巡洋艦3以上」


「艦隊打ち方始め。初弾は2万5000」

「打ち方始め。初弾2万5000」




「敵艦隊との距離。18マイル」

「針路このまま。14マイルで同航戦とする。14マイルで艦隊打ち方始め」


『敵発砲』

「もう撃ってきたのか」

「レーダー。現在距離は」

「15マイル700ヤードです」




『弾着。遠遠。前前』

弾着だんちゃーく前前、遠近不明」


 電探は正確だな。見張りは敵艦の前に弾着すれば遠近の判断ができないのは当然か。


「砲術参謀。電探射撃だろう。初弾からは無理なのか」

「やはり初弾は当たりません。上空の気流や海流も有りますし。観測機はこうも上空で飛び交っていると出せません」


 敵味方とも上空に戦闘機が張り付いている。観測機などいい鴨だろう。


「航空参謀。戦闘機には聞けないか」

「空戦のさなかに聞けるとも思いません」

「詮無いことを言った。許せ」




『弾着。本艦左前方600』

「下手くそか」

「初弾ではこんなものでしょう。どうしますか」

「仕方ない。14マイルまでに何発か浴びそうだ。撃ち返す。艦隊オープンファイヤ」

「司令官。同航戦にするのは14マイルでよろしいか」

「艦長。それは変わらない」

「了解」


 すでに測的を終えていた主砲が発砲した。





 お互いに当たらないまま、至近弾は有ったがそもそも進路が同航になっていないので牽制と修正の意味が強かった。

 それが変わったのは2万2000で同航戦になってからだった。


       

        ↑北  


    酒匂

   海風

   山風

   江風

   涼風

  秋雲

  夕雲

  巻雲

  風雲

 嵐

 荻風

 舞風

 高波

朝潮  大和    アイオワ     ラドフォード

大潮  武蔵    ニュージャージー レンショー

満潮  信濃    サウスダコタ   コニー

荒潮  金剛    インディアナ   ジェイキンス

    榛名    アラバマ     ストロング

    最上    ウィチタ     コンウェイ

    三隈    ボストン     ワズワース

    鈴谷    ボルチモア    イシャーウッド

    伊吹    サバンナ     クリーブランド      

    生駒    コロンビア

    栗駒    モントポリア      

    浅間    デンバー  

          サンタフェ

          ナッシュビル

          キンバリー

          ルース

          マラニー


           ↓南



「二水戦は先行し2万で雷撃せよ」2万5000になる前に出された命令だが、速度差が小さく後方に居た二水戦が大和を追い越したのは2万5000で、発射位置に付いたのは同航戦になった頃だった。

 アメリカ海軍も駆逐艦を前に出すが、少し遅れている。水雷戦隊旗艦クリーブランドが先頭に立っていたが駆逐艦が全速を発揮できないので、駆逐艦が先行。クリーブランドは最後尾に付いた。この時の遅れが今の陣形になっている。




「敵戦艦も5隻だ。こちらと同じ。金剛と榛名は苦労するだろうが、必ずや勝つと信じている。自分の技量を信じ敵を侮るな。各員一層の奮励努力を期待する」


 同航戦となり本格的な撃ち合いが始まる前に艦隊内に放送した。

 栗田一機艦分遣隊司令長官は、金剛・榛名ではなく二戦隊なら完勝だったのではと考えるが、速力でこの展開にはならないだろうから仕方ないと思い直した。戦場で「たら・れば」は厳禁だ。


「二水戦はどうか」

「現在次発装填中です」

「そうか」


 ポートモレスビー沖夜戦で2本でも敵艦隊の霍乱になったのだ。大遠距離とは言え電探照準の昼戦ならもう少し当たるだろう。そう考え、2万での発射を指示していた。そして本隊からかなり先行して2万で発射。現在は2万3000の距離を取り、減速して次発装填中だった。本隊は何が何でも敵戦艦と速度を合わせ直進していなければいけなかった。アメリカ海軍が、あの動きは発射だと気がつかねばいいが。最上以下の巡洋艦も発射管は有るが、射点的に命中しそうにないので待たせてある。

 司令室の中からは外が見えない。これではな。やはり、艦橋がいい。


 激しい衝撃が襲ってきた。


「右舷中央に被弾。高角砲2基消失。火災発生は無し」


 これで3発目か。装甲部は問題ないが薄いところと非装甲部はかなりの損害が有るのだろう。大和が撃ち合っているのは敵1番艦の未確認の大型戦艦だ。おそらく40センチ砲だろう。


『敵1番艦に命中。艦首と中央に2発です』


 5発の命中か。これではまだ参らないだろうな。


『敵1番艦。艦首に火災発生の模様』

『金剛!轟沈!轟沈です!』


「なに!」



次回更新 06:00


金剛さん、出番なかった。

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[気になる点] 秋雲が分裂してますよ…
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