MI作戦
MI作戦が発動しました。
今作のメインイベントです。
MI作戦は、ミッドウェー攻略と見せかけて実際はアメリカ艦隊の壊滅(出来れば)を目指すものだった。
問題はこんな変な作戦を練り上げることの出来る作戦参謀が少ないことだった。そこで左遷した者を連合艦隊に一時的とは言え呼び戻すことにした。
黒島亀人中佐(降格)他数人が呼び戻された。監視役に第八艦隊参謀の神重徳大佐を付けて。神重徳大佐は第八艦隊が無様を見せた主原因が黒島と見ており、監視に手抜きも酌量もしなかった。
作り上げられた作戦は、順当なものだった。「奇をてらえば悟られる」奇をてらうことを得意とする者が言うと真実味がある。
今の潜水艦による監視体制はそのままとし、十分な交代潜水艦の用意をする。
今後大艇による偵察は行わない。
最低でも1個師団を輸送できる船団を艦隊に付属させる。
とにかく電探装備艦を充実させる。
この4点が強調された。
偽電多数が発信される。電文は偽だが発信元は本物なので注目されるだろう。
アメリカ側は日本海軍が大きな動きを見せると警戒してる。だが、どこが目標なのか分からない。そこで、各地の嘘情報をばらまいた。
その中に「ミッドウェー基地の真水蒸留器故障。水の輸送を求む」も有った。
そして「RNで水不足」と日本から発信した。
引っ掛かった。双方がそう考えた。
ミッドウェー攻略作戦が発動されたのは赤城の修理完了を待ち18年末まで延びてしまった。
18年11月末であった。
18年11月30日。内浦湾に集結していた第一機動艦隊は抜錨した。
第一機動艦隊
旗艦 大和
第一航空戦隊 尾張 赤城 加賀
秋月 冬月 夏月
第四航空戦隊 隼鷹 飛鷹
桃 栗 梨 柿
第五航空戦隊 翔鶴 瑞鶴 蒼龍
涼月 初月 霜月
第六航空戦隊 瑞鳳 翔鳳 龍鳳
新月 照月 春月
第一戦隊 大和 武蔵 信濃
第二戦隊 長門 陸奥 伊勢 日向
第三戦隊 金剛 榛名
第五戦隊 妙高 足柄 羽黒
第六戦隊 伊吹 生駒 栗駒 浅間
第七戦隊 最上 三隈 鈴谷
第八戦隊 利根 筑摩
第二水雷戦隊 阿賀野
第八駆逐隊 朝潮 満潮 大潮 荒潮
第十五駆逐隊 黒潮 親潮 早潮 夏潮
第十六駆逐隊 初風 雪風 天津風 時津風
第十一駆逐隊 浦風 磯風 野分
第三水雷戦隊 酒匂
第二十四駆逐隊 海風、山風、江風、涼風
第十駆逐隊 秋雲 夕雲 巻雲 風雲
第十二駆逐隊 嵐 荻風 舞風 秋雲
第七駆逐隊 朝潮 大潮 満潮 荒潮
艦隊給油艦 4隻 特設含む
艦隊補給艦 2隻
ミッドウェー攻略部隊
輸送船各種 24隻
特設空母 8隻
松級駆逐艦 8隻
海防艦 14隻
南方警備と本土に戦力として残るのは少数だった。給油艦や補給艦はいずれも航海速力20ノットを誇る川崎型で、他の輸送船や特設空母もほぼ同じ速度性能だった。
日本海軍の全力出撃と言っても良かった。
MI作戦前段として、ウェーク島攻撃が行われた。保持する気はないので占領はしない。飛行場を使用不能にすることが目的だった。
「ウェーク島哨戒網が邪魔ならしいな」
「ミッドウェーに来るでしょうか」
「来る」
「ヌーメアの時も暗号文にヌーメアと入っていた。暗号書をその後変えたがようやく解析可能になった。そして「RNで水不足」だと」
「誘い出されていませんか」
「可能性はある。しかし、打ち破ればいい。向こうも空母が増えたようだが、エセックス級空母5隻が就役した。他に小型だがインディペンデンス級空母も4隻いる。サラトガ、レキシントンに加えこの布陣だ。史上最強だよ」
「はあ」
自信満々の太平洋艦隊司令長官に不安を持っている参謀長。司令部の窓からは出撃準備を整えて出撃するばかりの艨艟達が見える。
空母
レキシントン級
レキシントン サラトガ
エセックス級
エセックス イントレピッド バンカーヒル ヨークタウン エンタープライズ
インディペンデンス級
インディペンデンス プリンストン カウペンス モンテレー
11隻の空母はいかなる敵も打ち破る布陣と見えた。
されに戦艦もアイオワとニュージャージーが加わり、巡洋艦も新造艦が並ぶ。駆逐艦はずべてフレッチャー級になった。全ての艦にレーダーが装備されている。
勝てる相手がいるとも思えない。
「来るな」
「はい。連絡の無い哨戒潜水艦がいます」
「逃げ切ってくれれば良いが」
「奴らの対潜能力は高いです。これほどとは」
「ミッドウェー基地に、警戒を厳重にするよう指示を出してくれ」
「了解しました」
空になった真珠湾を見下ろしながら太平洋艦隊司令長官は指示をした。
だが、ミッドウェー攻略と見せかけてここに来るか?
陸軍の戦闘機だけで200機はいる。海軍と海兵隊も併せれば戦闘機だけで400機を超える。B-17やB-24爆撃機も数十機いる。そんなところに来るだろうか。
ミッドウェー攻略で空母を誘い出し、南から来るか?
哨戒網は充実している。南は無理だ。ジョンストン島を使われたので監視部隊を置いた。レーダーもある。やはり南は無理だな。
スラバヤの連中は上手くやってくれるだろうか。奴らが舞台装置としてミッドウェーを使うなら、俺たちはスラバヤを使う。日本軍、いや日本の生産力ではもう我が国に対抗出来るのは今しか無いだろう。奴らも賭けてきている。考えればきりが無い。因果なものだ。太平洋艦隊司令長官とは。
次回更新 8月14日 05:00
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