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燃ゆる太平洋   作者: 銀河乞食分隊
変わる世界
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超合金 丙

超合金応用艦登場

本日3話め。

 機関学校校長は慎重だった。とにかく秘密を守る。これを最優先とした。海軍内部でも政治的・思想的に怪しい人物には触らせないよう努力をした。

 そして、苦労の末、機関科の地位向上を成功させた。それはさわりだけだった兵科教育の増加を伴い、卒業年限が1年延びた。同時に兵学校生徒が一時在校して機関を学ぶ事にもなった。機関学校校長の考えは兵機同一だったが、取り敢えず一歩を踏み出せた。

 発見した生徒達は当然のように海軍を辞めるなど許されない。代わりに待遇が少し良くなるようだ。その中でも2種とされた生徒は、厳しい監視が付いた。

 海軍でも海軍憲兵を運用するようになったのは、この事件が切っ掛けだった。


 生徒達は機関学校卒業後しばらく実習についていたが、艦に配置されることも他の基地に配置されることもなかった。舞鶴鎮守府勤務となった。しかも司令部直属であった。舞鶴要港部は重要だとされ鎮守府に戻った。



 2種となった生徒、現海軍機関少尉望月浩太朗は思い出す。


『何故俺の血統が』

【恩が有るからです】

『恩?』

【この星に漂着した我々は『待て!この星とか、漂着とかってなんだ』】

【文字通りです。星間航行中の事故で針路から大きく逸れた我が船は『待て。船だと?』】

【説明しますから、少し静かにお願いします。良いですね。敵対的として排除しますよ】


 勿論全員が首を縦に振った。何回も。


【では。まず我々が宇宙空間を航行していたのは銀河間移民船団に所属していたからです】


 意味のわからなさに呆然とする全員。


【直線距離で1200万光年と言う彼方に達するために超光速航行技術で航行していました】

【計画上、5年で到着する予定でした。現に先行調査船は往復で8年と、その日程に余裕を持って帰ってきました】

【何故そんな遠くと思うでしょう。理由が有るのです。移民をするには少なくとも半径1000光年以内に知的生命体がいないことが条件でした。その条件に合う星雲が有ったんです】

【満を持して移民船団は出発しました。順調だったんですよ。5000隻中4隻を除いては】

【分かりますね。4隻のうち1隻がこの船です】


 ちょっと待ってとばかりに手を挙げた。


【良いでしょう。質問ですよね。生理現象ですか】

「質問です」

【どうぞ】

「船?この施設が船ですか」

【この施設は船に通じる通路に造られました。船自体は、そう日本海の底に沈んでいます】


 ざわめく皆。


【事故で船団から離れた4隻は、船団への復帰も出来ず生き残る道を探しました】

【一番損傷の酷い1隻は途中の航行に耐えられず、乗客乗務員可能な限りの物資を3隻に移動させると、恒星に突っ込み消滅しました。どこかで船が拾われては大変だからです】

【3隻はこの銀河系星雲にたどりつき、それぞれ別の星を目指しました。良い条件の星が有ったら教えあおうと】

【ですが、我が船は機関に重大な問題が発生してこの星に緊急着陸しました。それがこの地です】

【そして、あなたの祖先に出会ったのです。あなたの祖先は、見た目の違う我々を恐れると共に興味を抱いてくれました。他の人たちは皆逃げたと記録にあります】

【いろいろ話した結果、・・・そうですね、数日で言語の翻訳が可能になった、と記録にあります。今と比べて語彙が少なく苦労したようです】

【我々の宇宙船は修理も出来ず、この星で朽ちていくしかありません。そこであなたの祖先は、我々にここに住め、と言ってくれたそうです】

【我々の論理上、地域住民の了解がなければその地で生活してはいけないと決められています。船の最高意思決定装置である[セアズナンバー]によってその論理は守られます。さもないと我々はただの侵略者になってしまう。我々が様々な宇宙空間で学んだ事から決められています】

【そして、この地で生活が始まりました。日誌によると、広い空、澄んだ大気、綺麗な海。とても良いと】

【私を造った者達は、この星の生物とは基本的に違う生物です。しかし、交配可能な遺伝子でした】

【我々は交配した場合の遺伝子的影響を考えて陸地から遠ざけることにしました】

【ですが、陸上生活の素晴らしさを忘れることが出来ず、居住地域を設けて暮らしました。そして、我々の血が滅ぶまでこの地の民との交配を禁止しました】

【ですが、船に乗っていた移民の中から数人が禁忌を破ってしまいました】


 さっと手を挙げる。


【聞きたいことは分かります。禁忌の子孫ではないかと言うことですね】


 首を縦に振る。


【違います。禁忌の子供は、隔離されて育てられました。観察するためにです】


 皆のうめき声が聞こえる。


【それ程までに異種族間の交配は危険なのです。影響は分かりません。そして、影響はありました】

【我々ともあなたたちとも違う、遺伝子的に不安定な人種が出来上がったのです】

【その頃には、ここに住んで良いといてくれたあなたの祖先は亡くなっていました】

【我々は、200年間程、居住地域に引き籠もりました。幾多の反乱や暴動はありましたが鎮圧されました】

【反乱や暴動が起きる程、精神的に追い詰められたのです。そして我々は賭に出ました。冷凍睡眠に入ると】


 質問。手を挙げる。


【冷凍睡眠ですね。危険な技術です。1000年後に完全な状態で覚醒できる者が95%ほど。後の5%は覚醒しないか何らかの異常を抱えます。今は推定で70%程まで落ちているでしょう】

【そして船を日本海の底に沈めたのです。「将来、この星の技術と論理が我々に近づいた時に、冷凍を解除するように」とセアズナンバーに命じて。それから、この星への影響を考え我々の痕跡は消して】


「影響」 思わず口に出てしまった。


【今の科学水準から1万年以上進んだ技術です。危険としか言えません】


 うんうん。


【我々をこの地で住んでも良いと言ってくれたあなたの祖先に感謝の意味を持って、我々の技術を限定的に与えようと言うことになりました】

【その時代の技術水準から大きく離れることの無い技術をと言うことです】

【その技術とは・・・・・】


 いろいろ消化できそうに無い事実だったが、一番驚いたのは船1隻に10万人収容していると言うことだった。4500年前にこの科学力で10万人いれば、地球の主となれただろうに。知的生命体とは、意味のある会話をし、道具を使うか高度な****形態なら認められるそうだ。****は理解できなかった。妖怪みたいな物ですと言っていた。

 彼らの倫理観に感謝するしかない。





 最初に実現できた技術は合金技術だった。他の技術は概要さえ理解できない技術も有り、一番重要かつ喫緊に必要な鉄系合金技術と医療技術を引き出すことになった。

医療技術は、生物学的に違う上に技術水準が隔絶しすぎており下地も無い技術は提供できないと断られた。それでもヒントはくれた。


 大正13年中は試験製造と耐久試験に明け暮れ、ようやく実用されたのが大正14年だった。

 最初に造られたのは通船だった。徐々に大きくしていく。実戦投入が考えられる艦で最初に造られたのが1号駆潜艇だった。何故駆潜艇かというと、ヨーロッパの戦争で潜水艦が猛威を振るった事実からだった。貴重な水上戦力である駆逐艦を充てるのは勿体ないと考えたのだった。

 駆潜艇は合金使用艦として成功した。初の全溶接である。ただ、これ以上の大型艦艇には全溶接は時期尚早と見られ、重要部分は従来の鋲接とされた。それでも船殻重量は大幅に減っている。

 そして、整備中だった特型駆逐艦中期艦から合金が導入された。これも成功と見なされ、空母という大型艦に使われる。龍驤だった。

 建造中だった高雄級各艦には手配が間に合わず、装甲板と手配が間に合った部分のみの導入となった。

 続く最上級は船体から機関まで全て超合金だった。


 

宇宙人の施設でした。血統の理由は、宇宙人の論理ですから。

次回更新 7月23日 05:00

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