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錬生術師、星を造る 【完結済】  作者: モモル24号
第1章 ロブルタ王立魔法学園編
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第9話 パーティー登録① 王都のギルド

 王都のギルドにようやく辿りついた。王都での冒険者活動の登録をするために来ただけで、何でこんなに疲れないといけないんだろうか……まったく。


 王都のギルドはまるで一流の高級宿屋(ホテル)なのってくらい立派。外門からして豪華で、わたしの故郷の領主邸よりも、大きくてお金が掛かけていそうだ。


 石造りの壁も、ただ積んでいるのではないようね。隙間を細かな石と土を粘液で固め、見栄えよく塗装までしていた。


 よくみると塗料も耐火性のあるタンタル石を粉末にして錬金術で混ぜ合わせたもので出来ている。王都ギルドの職人達のレベルの高さを伺わせた。


「ギルドの敷地内にダンジョンがあるんだって」


 ヘレナは授業中に、王都のダンジョンについて聞いたらしい。魔法学科はヘレナのような前衛職も多いから、ダンジョン経験者もいる。


 ダンジョンへ行くのは禁止されていないけれど、高い授業料を払っているのだから本分を忘れるなと窘められたようだ。


「それにしても豪華なのは、万一を考えてのことなのね」


 石造りで頑丈で高さのある壁は、緊急時に内部を閉鎖するためのものなのだろう。壁の高さはわたしの背丈の四倍はありそうだもの。


 ギルドの敷地内にはギルドのメインホールのある建物の他に、職員や所属メンバーのホーム、ギルド直営の食事処や居酒屋、雑貨屋や工房まである。


 ダンジョンのあるのはメインホールの建物の奥で、両側が模擬戦などを行う広場になっていた。


「解体とかもそっちなんだね」


 臭いでわかるわよね。ご丁寧に施設の案内板まである。わたしのような田舎者や、文字が読めなくてもわかるように大きな案内板は絵でなんとなく伝わるようにしていた。


 施設についての箇条書きは、別の案内板に書かれていた。王都のギルドメンバーを優遇しています、とあからさまにわかる内容になっていたのが逆に潔くていいわ。


 あの酔っ払い達もきっとギルドのメンバーなのだろう。ここではちゃんと地元の冒険者の方が立場が強いようで羨ましい。


 メインホールのある建物はわかりやすく中央に進んだ所にあって、中に入ると受付が広く取られていた。


 ダンジョンと直結しているためか、かなりの数の冒険者たちがうろついている。パーティーを当日募集する人達もいて、人数も得意な役割もバラバラだ。


 わたしとヘレナは、下級階級を扱う受付に足を向けた。人数が多い銅級や鉄級のために、こうして受付カウンターが階級ごとに分けられているギルドはよく見る。


 王都ではさらにパーティー用の依頼受付が二段階に分かれて設置されていた。


 入口付近には外での騒動を聞きつけたらしい冒険達がまたいた。ニヤニヤしながらからかってきたのを、わたしは無視してやったよ。


「はい、活動の登録と、パーティー申請の登録は完了です」


 登録はすんなりいった。外で転がってる冒険者達の治療費用に関しては、目撃者と当人達から調書を取って支払いを命じるそうだ。


 要は日常行われている冒険者同士の喧嘩に介入しない方針を示されたわけだけど、治療が名目となので一応は動いてくれるようだった。わかってるから治療扱いにしたのは確かだ。


 材料費だけでも取り返せればいいのよ。どちらかというと女の子だけの田舎者だからって、舐めるなって意味合いが強いのだから。


 これだけ人が多いと噂の効果は薄そうだけど、王都の往来でのたうち回るあいつらくらいは絞ってくれるでしょ。


 登録が済んだので帰ろうとしたわたし達に、声をかける人がいた。もう今日はすでに災難あったばかりだから、勘弁してほしいのだけど。


「……少し話しがあるんだけど時間をくれるか」


 そこにはヘレナが警戒していた魔法学科の子が立っていた。ぶっきらぼうで気は強そうだけど、誰彼構わず噛みつくわけではなさそうね。


 どうもわたし達を探していたみたいだね。浴場では逃げちゃったからかな。


 ギルドのメインホールには、冒険者同士が座って話せる談話スペースがある。お金を払って頼めば、水でも果汁飲料でもギルドの職員が運んで来てくれる。


 空いていた席の一つにわたし達は向かう。わたしと寄り添うようにヘレナが座り、テーブルの反対がわりにその娘が座る。


「何か飲むか?」


「奢って下さるのかしら」


「ああ」


「それなら果汁飲料を。ヘレナも飲むわよね」


 ヘレナが遠慮しだす前にわたしは三人分の果汁飲料を職員に頼む。


「お前····まぁいい」


 興奮せずに思いとどまってくれて良かったわ。果汁飲料を頼んでしまったので、わたしの図々しい振る舞いに呆れて帰られても困るもの。


 ギルド職員が飲み物を運んでくるまでの間、わたし達はただ黙ってお互いの観察をしていた。



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