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錬生術師、星を造る 【完結済】  作者: モモル24号
第3章 星を造る 神の真似事編

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3 馬賊の街

 エルミィの突撃をかわして休養を取ったわたしは、近接武器がメインの仲間のための遠距離攻撃武器を作成している。

 単純に手数を増やしたいのと、異界の強者対策でもあった。


「あいつらは強いからね。それに蠍人の時のように同時にデカブツが複数いると、わたし達の方が詰みかねないもの」


 元シンマの難民の人達の話しや、吸血鬼族の偵察隊、蠍人達の生き残りの情報から、わたし達はシンマの王族や大貴族の逃げた後を追う形でリビューア帝国にやって来た。


 時間もだいぶ経ってしまっているので、追跡ってわけじゃないわよ。逃げ込んだ先を調べて行く方が情報が追いやすいからそうしただけなのよ。何か気になることもハッキリさせたいからね。


 遊牧民族の集落らしき村が見えて来た。リビューア帝国と、新しくなったバスティラ王国との国交は当然ながらない。

 リビューア帝国が旧シンマの王族や貴族を保護し、国家存続を認めたのならば、バスティラ王国と敵対を表明する事になる。


 いままでの所は、リビューア帝国は旧シンマとの国境の川を越えて何かするような様子は見せていなかった。


「だから街道を避けて、荒れ地を通って来たんだね」


 ヘレナは素直でいい娘よね。街道からロブルタやバスティラの使者として行く手もあった。しかし、蠍の魔物を退治しながら流れて来た冒険者を装う方が、潜入しやすい。


 わたし達は一応、冒険者の肩書き持っているからね。冒険者であるわたし達に、暗殺者達のスカウトが来るかもしれない。


「それは流石にないと思うよ」


 ヘレナってば現実的ね。ほら、見なさいよ。お迎えの集団が来たわよ。


 あれは戦闘用に訓練された馬ね。荷馬と違って、足がかなり速いわね。海を駆けし者(アルヴァル)程じゃないけれど。数は百以上いる。


「バステト、あれはどっち?」


 駆けながら、こちらに向けて遠射の構えをしている小隊もいる。ていうか、矢を放った。


「敵だねィ」


 バステトは、威嚇ではなく殺意を感じ取った。すかさずエルミィが円盤君の上に移り、魔本を設置して櫓を出す。


 ヌッフッフ〜、これぞわたしとノヴェルの合作の真骨頂よね。簡素な射撃台座兼見張り台座はおまけなのよ。


 移動の邪魔になるから取り外し可能な櫓をって考えた結果、魔本の飛び出す絵の実体化に成功したのよ。

 頑張って大工職人さんにならなくても、ノヴェルが精巧で実体化をしやすい絵にするだけでいいの。投擲式風樽君みたいな複雑なのはまだ無理なんだけどね。


 生き物として認識すれば、切り替え式の魔銃とかを部品ごとではなく、そのまま本体を作成出来そうね。


「カルミア、考え事をするなら円盤君の中に隠れて」


 メネスがわたしを円盤君内に引きずり込んだ。もういつもの事なので手慣れてるわよね。お手を煩わせてごめんなさい。先輩型器械像(アストタイプタロス)に待機したルーネに、メッってされた。可愛い。先輩が普段やらない仕草なので、新鮮なのよね。


 騎馬の部隊は暗殺者の部隊とは関係なさそうだった。馬賊というのかしらね。


「金目の物を持っていそうな集団に見えたようだね」


 ガレスとガルフの足が止まり円盤君も動きを止めた。ワンコ達が応戦する間に円盤君は馬賊達に囲まれる。影役を務めるルーネの後ろに座る先輩が、円盤君を囲う賊徒へ魔銃の弾丸を撃ち込む。ワンコ達がいるので刃はつけてないのよね。


 ヘレナとティアマトも円盤君の乗り口を守るように戦う。バステトは背後をバルスに乗りながら切り払って回る。メネスとシェリハは円盤君の横から収納式の台座に乗り出し、円形風樽火門(フレミールドーム)から応戦していた。


 散々数の暴力に対して戦った中で、わたしも色々対抗手段を積み重ねて来たわけなのよ。


「エルミィ、動くよ」


 わたしの合図で、ヘレナとティアマトがガレスとガルフに搭乗し馬賊の中へバステトと一緒に突撃した。エルミィは櫓から落ちないように足場を固める。

 円盤君は自動走行型だからね。馬賊達を蹴散らすように、わたしは円盤君をヘレナ達と別の馬賊達に突っ込ませた。


「先輩、後ろの入り口から円形風樽火門(フレミールドーム)に乗り込んで貰えますか」


「任せたまえ」


 先輩は嬉しそうに台座に乗り込み、馬賊へ向けて火力全開で攻撃を始めた。円盤君を動かすわたしにかわりノヴェルが前面の敵に対応してくれる。

 逃げ遅れた敵には円盤君の体当たりをぶちかました。


 機動力と数でわたし達を襲うつもりだった馬賊が恐れをなして退く。


「追撃するのかね」


 馬賊達は統率も取れている。戦力の一部は見せたけれど、全てではないからね。


「息のある賊徒から情報を取りましょうか」


 バステトがニヤニヤしながらバルスに獲物を咥えさせていたからね。ヘレナやティアマトも、息のある喋れそうな賊徒は拘束し、他はトドメをさして回った。うん、徹底してるよね。


 尋問はバステトとティアマトが見張りながら、シェリハがごっつ君を動かして行った。


 リビューア帝国の東端の地域は、旧シンマ王国の影響で砂漠化して来ていた。国境近くの川沿いも、大地の力を奪われやすいためか、作物が実り難くなり、街ぐるみで賊徒化している所が多いようだ。


 旅商はもちろん、シンマやリビューア帝国内へも略奪に向かっていたらしい。今回は、蠍の魔物の群れを警戒し巡回していた所に、獲物を見つけ襲ったみたい。蠍の魔物の群れより厄介な相手だと思わなかったようね。

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