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サンタとサタン -Merry Christmas, The Morning Star.-

作者: Ellie Blue


 あるクリスマス・イブの夜。

 悪魔が一人ぽつんと、

 遠くから町の灯りを眺めていました。


「楽しい楽しいクリスマス。

 良い子にはプレゼント! か……。

 フン、俺には関係のない話だな」

 

 するとそこへ、声がかけられました。

 赤いとんがり帽子と暖かそうな服に、

 白いもじゃもじゃのひげと大きな袋。

 サンタクロースのおじいさんです。


「おーい、そこの君、ちょっと手伝ってくれんかね?」


 サンタのおじいさんは困ったように続けました。


「今年は赤鼻のトナカイが風邪をひいてしまってな」


 悪魔は首を横に振り、

「とんでもない。俺は、悪魔だぜ?」と言いました。

 だって彼は、自分のことを

 悪い悪い悪魔だと思っていましたから。


 サンタのおじいさんはそれを聞いて、

 ホッホッホゥと朗らかな笑い声を上げました。


「いたずらっ子には、グルグルの、

 お前の角が役にたつんじゃ」

 サンタのおじいさんには、悪い子を

 こらしめるお仕事もあったのです。


「へぇ、そうかい」

 そうして悪魔は、そういうものかと

 おじいさんを手伝うことにしました。






 悪魔はおじいさんを背中に乗せて

 空を飛び、町の家々を周ります。


 えんとつから部屋に入って、

 寝ている子のそばにそっと

 プレゼントを置いては、

 次の家、またその次の家へ……。


 そうして二人は大きな袋が

 すっかりしぼむまでプレゼントを

 配り歩き、夜が明ける前に

 町の良い子たちにプレゼントを

 配り終えました。


 ああ、そうそう。この町には、

 悪い子なんて一人もいませんでしたよ。


 サンタのおじいさんは、全員の分の

 プレゼントをちゃあんと用意していました。




 町はずれの家から出たところで、

 袋の中に最後に一つ残っていた

 プレゼントを、おじいさんは

 悪魔へ手渡しました。


「お手伝いをしてくれた良い子に、

 サンタクロースからのプレゼントじゃよ」


 赤い包みに緑のリボン。

 リボンには金の刺繍のフチ飾りまで

 ついていました。

 丁寧な丁寧なプレゼントです。






 悪魔はぐいと

 空を見上げました。


 明け方の空には、

 一つのひときわ

 大きな星が、

 キラキラ、

 キラキラと

 輝いていました。




 メリー ・ クリスマス。

 良い一年を。






〈星について〉

 明け方の空に大きく輝く金星を「明けの明星」と呼びます。

「明けの明星」は天使ルシフェル(ルシファー)を指す言葉でもあります。


〈ルシファーについて〉

 割愛。


〈サンタについて〉

 セント・ニコラウスが訛って「サンタクロース」になったと言われています。

 ラテン系言語(仏、伊、西語など)では「クリスマスの父」の意の言葉で呼ばれます。


〈「父」について〉

 割愛。


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