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コーヒーとランドセル

作者: さばみそ

「おめでとうございます!」

ホームルームの教室が色めき立つ。みんな笑顔で祝福やからかいの声をあげる。他のクラスも何事かとざわついているだろう。朝ではなく帰りのホームルームで報告したのはそういうことを考えてのことだろう。先生も頬を赤らめて、目を潤ませてすごく素敵な笑顔をしている。僕は悟られないように一緒に祝福する。

自分で言うのもなんだけど、これでも人一倍知識はある。どんなに僕が先生のことを好きでも、たとえ先生も僕を好きでもそこには障害しかない。先生と生徒という関係はもう少し大きくなればドラマにでもなっただろうか。小学生と大人では年齢差が大きすぎてより問題が大きくなる。仮に僕が大人になるまで待ってくれるって言われても、お互いにその間に心変わりする確率も高いだろう。そう、元々無理な想いだったんだ。そう考えて落ち着こうと頑張った。

なんだかよくわからないうちに僕は歩いていた。先生にどう挨拶して出てきたかも覚えていない。失礼なことしてなければいいんだけど。と、またぼんやり歩く。しばらく歩くと、いつもの自販機の前。寒い日はいつもココアにするかコーンスープにするか迷う自販機の前。今日は迷わずボタンを押した。先生が好きな缶コーヒー。好きな俳優がCMしてると言っていつも飲んでた缶コーヒー。一口飲んだら苦くて涙が出た。探し物のふりをしてランドセルに顔を突っ込んだ。世間はいい夫婦の日。初恋の終わりはとても苦い味がした。

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