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はやく犬になりたい

作者: 大岫千河貢

なぜ、私は今人間なのだろか。


目の前で気持ちよさそうに寝ている愛犬を見て、私はそう思ってしまった。

いや、そう思ってしまったのではなく、気付いてしまったのかもしれない。

私がなぜ犬なのではなく、人間なのかということに。


愛犬は日中寝ているにも関わらず、夜食を食べたら就寝し、私の就寝時に同じく就寝し、朝食を食べて就寝している。


かくいう私も以前、うつの症状で一日の大半を寝て過ごしていたのだが、こんなに幸せそうに寝た試しがない。毎日、起床すると一日の大半を寝て過ごしてしまった絶望感と後悔に苛まれ、自分の行動を否定し続けていた。


だが犬は、一日の大半を寝て過ごしていても幸せそうな顔をしているのだ。なんとこの上ない幸福感か。想像しただけで羨ましい。愛犬の行動を見ていたらその幸福感が痛いほどわかるものだ。


私は、はやく犬になりたい。

犬になって、物欲など捨て去りたい。何かを手にいれたいだの思わなくてもいい、自己を否定することなくただ幸福感に満たされたいものだ。


…………


文豪っぽく「私」なんて使って、ちょっと背伸びした言葉で考え事してみたけど、やっぱやめた。


大豪邸の家の犬に生まれてぇ~。

大豪邸の家の犬に生まれて、365日いい食事をして、でかい庭でフリスビーをキャッチしてみてぇな~。


そんでもって芸能人の愛犬で有名犬になって、世間からチヤホヤされたりなんかしちゃったりして。


お兄さんによしよしされたいし、お姉さんに抱きしめられたい。


あー、てか……はやく死にたい。

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